児玉誉士夫とは? わかりやすく解説

児玉誉士夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 04:13 UTC 版)

児玉 誉士夫(こだま よしお、1911年明治44年〉2月18日 - 1984年昭和59年〉1月17日)は、日本右翼運動家。


注釈

  1. ^ 後の稲川会。会長は稲川裕芳で、後の稲川聖城
  2. ^ 日本大学皇道科を卒業したということになっている。
  3. ^ 大西中将が自決に使った刀は児玉が贈った物といわれる。
  4. ^ 大西中将が自決に使った刀は児玉が贈った物といわれる。
  5. ^ 右翼団体大化会の村岡健次(後の暴力団北星会会長・岡村吾一)らが児玉機関で働いていた。中国人や満州人を銃で脅し、恐ろしく安い値で物資を獲得したため略奪と呼ばれた。他の部下には副機関長となった吉田彦太郎岩田幸雄、藤吉男、許斐氏利右翼の無法者がそろった。
    この類の「○○機関」は当時大陸において非常に多く、前述の表の仕事と比して裏の仕事として中国側へのスパイ活動、抗日スパイの検挙や殲滅等を請け負っていた。以下は里見機関と水田機関とに対する関係である。
    ・児玉は吉田彦太郎を里見甫のもとへ何度もやって、里見から中国の情報をもらっていた。里見が親しい人にこぼすには、こと中国の情報収集に関しては、児玉はだめだった。 竹森久朝 『見えざる政府-児玉誉士夫とその黒の人脈』 白石書店 1976年 P 70
    ・当初、現地で商事会社東光公司を経営していた水田光義の水田機関を通じて物資を調達していた。1943年、水田が暗殺される。
  6. ^ a b 児玉のタングステン保有状況は、OSSの1943年12月14日付調査報告書に詳細な記述がある。
    児玉は1948年の釈放後、東京レアメタルという会社を銀座に作った。目的はSCAPのためにタングステンとモリブデンを調達することだった。のちに大元産業と改称された。Glenn Davis and John G. Roberts 守山尚美訳 『軍隊なき占領-ウォール街が「戦後」を演出した』 新潮社 1996年12月 P 100
    朝鮮戦争の頃、大久保利春が代表取締役であった日本海商事は、東京レアメタルの輸送部門を請け負っていた。 竹森久朝 『見えざる政府-児玉誉士夫とその黒の人脈』 白石書店 1976年 P70-71
    そして児玉は、小松信之助という人物がCIAにタングステンを納入する契約書の保証人となっている。 1954年8月10日に報告された情報。CIA Name Files, the Second Release 2002, Yoshio Kodama.
  7. ^ 児玉機関のような仕事はすでに三井三菱などの大企業が入っていたが即決主義で集めたため現地では重宝された。
  8. ^ 巣鴨拘置所での1947年4月21日付取調べによると、児玉機関の資産の総額は当時の日本円に換算して7000万円あったという。また、資産の2/3を吉田彦太郎に与えたとしている。
    ただし、終戦時の資産評価額。有馬哲夫『児玉誉士夫-巨魁の昭和史』文春新書 2013年 p.82.
  9. ^ a b 1948年6月4日の尋問。所有していたという鉱山は以下の通り。
    山梨県 塩山 乙女鉱山(タングステン、モリブデン)
    滋賀県 鮎川(ひょうたん石)
    京都府 鐘打鉱山(タングステン)
    福岡県 福岡鉱山(タングステン)
    島根県 清久鉱山(モリブデン)
    秋田県 平沢 北日本カーバイド社(タングステン鉄、モリブデン鉄)

    前掲書『児玉誉士夫-巨魁の昭和史』P.48.

  10. ^ 「1948年末、釈放された児玉は中央情報局(CIA)に協力するようになった」と後にアメリカでも報道された[要出典]という。しかし、1953年に記録され2005年に機密解除されたCIA文書で、児玉は次のように評されている。
    諜報工作員としての価値は事実上ゼロ。職業的な嘘つき、ギャング、ペテン師、根っからの泥棒。……。実際の諜報工作技能は皆無であり、金儲け以外に関心がない。
    Edward Drea, Greg Bradsher, Robert Hanyok, James Lide, Michael Petersen, and Daqing Yang, Researching Japanese War Crimes - Introductory Essays (2006), p208
  11. ^ 1953年9月1日付報告書『日本人インテリジェント・サービス』が児玉の取り組んでいる課題とするものを4点掲げている。
    ・日本共産党を破壊し、共産主義の影響力をアジアから排除すること。
    ・日本を反共産主義連盟の主要国とすること。
    ・軍閥の再武装を通じて、国家主義的日本を再建すること。
    ・予想される日本共産党による流血革命に対抗する計画を練り、それに備えること。
    前掲書『児玉誉士夫-巨魁の昭和史』p.128.
  12. ^ 戦時犯罪の疑いをかけられたくなかった海軍は児玉に処分を依頼。この海軍の秘密資金を米内光政海相の了承を得て掌中にしていた。旧海軍の資産のためアメリカも没収せずに、宙に浮いた。そして吉田彦太郎の管理する緑産業ビル地下に隠匿。後の本州製紙本社所在地。
  13. ^ 北一輝大川周明と並ぶ右翼のボス。児玉源太郎の私設秘書であった。政友会系の黒幕として隠然たる影響力を持った。児玉の出所3日前に病死。 春名幹男 『秘密のファイル : CIAの対日工作』 上巻 共同通信社 2000年 p.264
  14. ^ 「あきらぐみ」と読む。
  15. ^ アメリカ諜報担当・参謀第2部
  16. ^ 町井久之ともに芸能界とのつながりも深く、特に三田佳子と親しい。 「芸能界新興勢力の首領 バーニング・プロ社長の『実力』研究」 p.18
  17. ^
  18. ^ 1959年(昭和34年)から1960年(昭和35年)の第一波。アイゼンハワー大統領の訪日を日本政府に中止させた。
  19. ^ 警察の動員数では大統領の移動経路を確保できなかった。
  20. ^ このとき自民党からは6億円前後の資金が提供されていたが、右翼と暴力団の間で行方不明となった。児玉らは嫌疑をかけられ真相究明会まで設けられたが、いつしか沙汰やみになった。 竹森久朝 『見えざる政府-児玉誉士夫とその黒の人脈』 白石書店 1976年 P 79-80
  21. ^ 田岡を兄とする
  22. ^ 顧問には日本国粋会、松葉会、義人党などの親分がいた。実名では天野辰夫や橘孝三郎小沼正佐郷屋留雄笹川良一三浦義一らがいた。全愛会議はスト破りや組合潰しを暴力で行った。
  23. ^ 日乃丸青年隊の高橋正義を議長とし、下部組織には住吉会系の元組長や東声会町井久之が代表を務める組織があった。新潟県の山中で軍事訓練を行い、児玉は訓練後、「君達各人が一人一殺ではなく一人で百人を殺してくれることを望む」と会員に語った。青思会は日本最大の行動右翼として児玉に反目する者を恐れさせた。
  24. ^ 世界反共連盟の地域団体。後に統一教会系の反共団体・国際勝共連合の設立につながる。「朝日ジャーナル」によれば、米国では、文鮮明-児玉誉士夫-笹川良一などを通ずる関係が、米下院国際機関小委員会(フレーザー委員会。委員長はドナルド・M・フレーザー民主党議員)での証言で明らかになっている。
  25. ^ 山梨県本栖湖畔にあった全日本モーターボート競走連合会の施設で開催。
  26. ^ 前身は楠皇道隊
  27. ^ 朴政権の政策には統一教会が呼応し、安岡正篤が共鳴した。
  28. ^ 統一教会に大変賛同的であったことは有名である。
  29. ^ 当時銀座4丁目の雑居ビルに事務所を構えていた。
  30. ^ 報酬は現金1億円だった。
  31. ^ 日本精蝋では太刀川恒夫が役員に名を連ねたこともある。 竹森久朝 『見えざる政府-児玉誉士夫とその黒の人脈』 白石書店 1976年 P 160
  32. ^ 児玉が介入した乗っ取り事件は数多い。
    ・例えば野村證券社長の瀬川美能留から莫大な資金提供を受けていた。
    1973年には粉飾決算に揺れる殖産住宅相互株式会社の株主総会乗り切りに絡んで、同社長の東郷民安から児玉や、配下の岡村吾一に金銭が渡っている。
    ・他にもインドネシアへの政府開発援助では東日貿易秘書としてスカルノ大統領の夜の相手に選ばれたクラブホステス根元七保子(源氏名はデビ、後のデヴィ夫人)を送り込んで荒稼ぎをしている。
  33. ^ 博報堂ルート以外でも言論に圧力をかけた例は数多い。悪事を書き立てる正論新聞を黙らせるため、巽産業株式会社代表取締役石井唯博(後の稲川会会長石井進)を送り込んだこともあった。
  34. ^ 1960年10月設立。現在の実質的な持ち株会社は博報児童教育振興会。
  35. ^ 主として電通が宣伝広告部門で独占契約をしている企業を標的にした。三越味の素などは、広告部門の一部を博報堂に割かねばならなかった。 竹森久朝 『見えざる政府-児玉誉士夫とその黒の人脈』 白石書店 1976年 P 169-170
    なお、電通は里見甫との関係が論じられている。
  36. ^ 1972年11月30日に社長就任。9日前に「亜土」という会社を設立。資本金は200万円。のちに博報堂の株式30.6%を所有するトンネル会社となる。株式保有の過程に特別背任容疑をかけられ、1975年11月27日に福井は東京地検特捜部に逮捕された。
  37. ^ 1968年11月17日の佐藤栄作日記では、安西浩が中曽根派との協力を得るために児玉と会うことを持ちかけてきたが、佐藤は折角遠のいた児玉と再び接触を持つことや中曽根康弘が児玉の影響を受けることを嫌い、言下に断ったと綴られている。更に佐藤は腹心の福田赳夫や田中角栄に対しても児玉の動向に注意を払うよう伝えている。
  38. ^ 同年3月23日自宅へのセスナ機の特攻事件では、右翼から非難される退廃ぶりを露呈した。

出典

  1. ^ CIA Records - Name Files
  2. ^ ティム・ワイナー『CIA秘録』文藝春秋
  3. ^ 角間隆 (1979). ドキュメント日商岩井. 徳間書店 
  4. ^ 川端治 (1963). 自民党 その表と裹. 新日本出版社 
  5. ^ 大下英治『首領 昭和闇の支配者 三巻』大和書房<だいわ文庫>、2006年、ISBN 978-4-479-30027-4 p.273
  6. ^ 有馬哲夫『歴史問題の正解』新潮新書2016年、pp.185-190
  7. ^ 有馬哲夫『歴史問題の正解』新潮新書2016年、pp.195-202
  8. ^ 大下英治『黒幕 昭和闇の支配者 第1巻』大和書房<だいわ文庫>、2006年、ISBN 4-479-30018-X p.16
  9. ^ 『二本松市史5近世Ⅱ』
  10. ^ 『児玉誉士夫自伝 悪政・銃声・乱世』
  11. ^ 行地社参照
  12. ^ 本間憲一郎が天行会理事のため。五・一五事件参照。
  13. ^ 自著『われかく戦えり』広済堂出版、1975年、pp.321-327
  14. ^ 共同通信社社会部 編『沈黙のファイル : 「瀬島龍三」とは何だったのか』新潮社、1999年、47頁。ISBN 4-10-122421-8 
  15. ^ Glenn Davis and John G. Roberts 守山尚美訳 『軍隊なき占領-ウォール街が「戦後」を演出した』 新潮社 1996年12月 p.100.
  16. ^ 梨本宮・平沼・平田ら五十九人に逮捕命令(昭和20年12月4日 毎日新聞(東京))『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p341-p342 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  17. ^ 有馬哲夫『児玉誉士夫-巨魁の昭和史』文春新書 2013年 pp.67-80.
  18. ^ 総理庁官房監査課 編『公職追放に関する覚書該当者名簿』日比谷政経会、1949年、269頁。NDLJP:1276156 
  19. ^ 角栄が恐れ、中曽根が泣きついた…戦後「最恐のフィクサー」児玉誉士夫の正体”. 2020年12月6日閲覧。
  20. ^ 児玉、萩原氏宅に二か月半通う 「裏の池で釣り」が二人の出会い『朝日新聞』1978年(昭和53年)1月20日朝刊、13版、23面
  21. ^ 竹森久朝 『見えざる政府-児玉誉士夫とその黒の人脈』 白石書店 1976年 P 167-169
  22. ^ 衆議院会議録情報 第077回国会 予算委員会 第15号 1976/2/17
  23. ^ ロ事件公判 児玉を臨床尋問 苦痛を訴え途中で中止『朝日新聞』1979年(昭和54年)10月11日夕刊 3版 15面
  24. ^ 未解決事件 File.05「ロッキード事件」”. NHK. 2022年2月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月14日閲覧。
  25. ^ 権田萬治『松本清張 時代の闇を見つめた作家』(文藝春秋・2009年)第八章
  26. ^ 加藤典洋編『村上春樹』(荒地出版社・1996年)p.70






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