ヨーイングモーメント

大車林

ヨーイングモーメント

英語 yawing moment

クルマの重心を通る鉛直軸まわりのモーメントをいう。ヨーンイグを起こさせるモーメントで、操縦安定性を解析するのに不可欠な入力である。前輪タイヤのコーナリングフォースと前輪タイヤ、重心点間距離の積と、後輪タイヤのそれとの差が主であるが、横風の風圧と着力点、重心点間距離やタイヤ接地点に働く駆動力や制動力など、前後力の左右差も大きな要素となる。最近は、制御システムを用いてより積極的にヨーイングモーメントをコントロールして、操縦安定性をステップする技術が開発され、ブレーキシステムを使ったヨーコントロールはその代表的なものである。

参照 コーナリングフォース、横風、ヨーイングモーメント(空力)、ヨーコントロール

ヨーイングモーメント(空力)

英語 yawing moment

クルマに作用する空気力によって、クルマの重心点を通る鉛直軸まわりに働くモーメントをいう。横風による横力と、その着力点と重心との前後位置関係で決まる。バンのように風圧中心が後方にあるほど、FF車のように重心が前寄りにあるほど小さくなる。一般に流線型化やピラー部の丸み化で増加し、偏揺角の増加とともに増すが、飽和する傾向がある。横力はクルマ全体を風下へ流し、ヨーイングモーメントはクルマの向きを変えて進行方向に影響するが、一般にヨーイングモーメントのほうを重視する。実際、バン形状のクルマは面積が広く横力が大きいわりに走りやすい。動圧、前面投影面積および軸距離で割って無次元化した値をピッチングモーメント係数といい、モーメントの発生しやすさを示す。

参照 動圧、ヨーイング

ヨーイング・モーメント

英語 yawing moment

偏揺モーメント。Z軸(鉛直軸)まわりに働く方向転換や旋回、スピン現象など、車両の回転運動をヨーイングといい、その力をモーメントという。横風、タイヤのコーナリング・フォース、左右の車輪の駆動力、制動力の差、路面状況などから生じる。横風の影響は車両のデザインにかかわるので、ヨーイング・モーメント係数の小さい形態を目指すことになる。日本での記号表記はMy。その係数はCYM。

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。