ミーム汚染

実用日本語表現辞典

ミーム汚染

「ミーム汚染」とは、インターネット上で流行している言葉や画像などのミームが本来とは異なった意味で拡散されることによって人々の認識が変わってしまう現象のことを意味する表現。

（インターネット）ミームが、マスメディアやインフルエンサーによってコミュニティの外に拡散される際に、そのコミュニティ内における文化的背景やバズった経緯などの情報が抜け落ち、本来の意味とは異なった解釈で拡散される場合がある。
このとき、もともとの意味を知っていた側の人たちからすると、ミームをよく理解してない人たちによって意味が変えられてしまった（≒汚染された）と映るため、このような表現が用いられる。

例えば、「蛙化現象」という言葉は、「恋愛における心理的傾向の一種で、自分が好きだった相手が振り向いてくれた途端に受け入れられなくなってしまうこと」という意味で、2016年頃からTwitterなどを中心に言及されていた。
その後、テレビ番組などで「蛙化現象」が繰り返し取り上げられるうちに本来とは違う意味に変わっていき、2023年には「好きだった男性の特定の行動によって恋愛感情が冷めてしまうこと」などの意味で紹介されている場合もある。
このように、影響力の大きいテレビ番組などで本来とは異なった意味で紹介されることによって、世の中の多くの人々の意味の認識が変わってしまう事象に対し、もともとの「蛙化現象」の意味を知っていた人たちからすると「ミームが汚染された」と映る。

ちなみに、「ミーム汚染」という概念自体は、2008年に開設された創作コミュニティである「SCP財団」によって作られたもので、SCPにおける「ミーム汚染」とは、その独特な世界観においてさらに独自の意味を持つ。
また、「ミーム」という言葉そのもの、本来は、生物学者であるリチャード・ドーキンスが提唱した「情報や文化が模倣によって伝達されたり淘汰されたりしていく様子を遺伝子による適応進化になぞらえた概念」のことであるが、昨今では、インターネット上のSNSや特定のコミュニティ内で流行したりバズったりする言葉や言い回し、画像や動画などを指すことが多くなっている。

（2023年1月20日更新）