マーケットデザインの実用化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 17:01 UTC 版)
「ゲーム理論」の記事における「マーケットデザインの実用化」の解説
国際的な学界においては2000年代以降「マーケットデザイン」と呼ばれる分野が急速に発達し、20世紀に蓄積したゲーム理論の知見が現実のさまざまな問題を解決するための制度設計として実用化されていったが、日本では各分野において実用化に対して消極的であり、先進諸国に比較しても導入が遅れている。中でも特に、通信事業の免許を販売する周波数オークションは多くの国で既に導入されて数兆円規模の収益を上げているが、日本では未だに導入されていない。日本において周波数オークションが導入されない理由として、池田信夫はテレビ局や携帯電話会社と総務省官僚の癒着を挙げている。 また、ドナー・レシピエント間のABO式血液型不適合、リンパ球クロスマッチ陽性、HLAの完全不適合などが存在する場合にドナーを交換することによってこれらの問題を解決して相互の移植を実現することを目的としたドナー交換腎移植が米国や韓国などで既に導入されているが、日本移植学会は「しかし、ドナー交換腎移植は医学的・倫理的に大きな問題を含むものであり、個別の事例として各施設の倫理審査のもとに行われるべきものである。したがって、ドナー交換ネットワークなどの『社会的なシステム』によりドナー交換腎移植を推進すべきものではない。」という否定的な見解を示しており、日本ではドナー交換腎移植が行われていない。 日本で実用化された数少ない分野のひとつとして研修医マッチングが挙げられる。アメリカで大きな成功を収めていた受入保留方式(英: deferred acceptance algorithm)を用いた研修医マッチングが2004年度から日本においても導入された。導入当初は研修医の希望を尊重して配属病院を決定するマッチング方式が医師の地方偏在を悪化させてしまうという問題が指摘されたが、鎌田雄一郎と小島武仁の研究によって理論的な解決策が示されている。
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