テレビから出てくる貞子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 17:23 UTC 版)
貞子のキャラクターを有名にしたのが1998年の映画版におけるクライマックスの場面、突然に点灯したテレビの映像の中で井戸の中から現れ、不自然な歩き方でにじり寄ってきた貞子が、ブラウン管から這い出て、生々しい実体を伴って高山竜司の部屋に現れ、恐ろしい形相で高山を睨みつけて呪い殺す場面である。 貞子がテレビから這い出てくる場面の前後は、貞子の動きを奇怪なものに見せることを意図して、逆回転で撮影されている。すなわち貞子役を演じる女優の伊野尾理枝はテレビの前でしゃがみ、カメラから井戸に向かって後ろ歩きで遠ざかる演技をしているのであり、映画の観客はそれを逆再生で見ているのである。貞子が高山を睨みつける場面は、顔全体は見せずに目元だけを大写しにする演出がされているが、この場面は俳優ではなく助監督の宮崎紀彦が演じており、人間らしく見えないことを意図してまつげを切り落とし、上下を逆にしている。男性の目を使うという演出は当初からの予定ではなく、元々は女優が演じる予定だったものの、「まつげを切られては他の仕事ができない」と断られたため、助監督が演じたという逸話がある。 「呪いのビデオ」に関連する場面や、貞子がテレビから這い出てくる場面で流れる、何かが軋るような甲高い音は、映写機のリールが回転する音をイメージしたものである。楽曲を担当した川井憲次はこの音を、バイオリンの弦を折れるほどに強く張った弓で乱暴に引っ掻くという技法で再現している。
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