チトクロームP450
【概要】 別名CYP。脂溶性の薬物を水溶性に変えて排泄させやすくする肝細胞内にある薬物代謝酵素。CYPには遺伝的に規定されたアイソタイプがあり、CYP1A2(~10%)、CYP2C9(~20%)、CYP2C19(~3%)、CYP2D6(~3%)、CYP3A4(~30)など、主なものは11種類、全部で約100種類ある。ある薬物の代謝に関与するCYPが欠損していると、体内に薬物が長く高い濃度で貯留することになる。また、薬物によってはCYPの酵素誘導、つまり肝細胞内での産生を高めるものもある。増えると代謝が進んで薬物濃度が早く低下する。
【CYPをめぐる薬物相互作用】 Bという薬がCYPの産生を誘導すると、Aという薬を代謝するCYPが増えるのでAの血中濃度は低くなる。Cという薬がCYPと親和性が高くてAよりも先に結合すると、CYPが減るのでAという薬の血中濃度は高くなる。さらにDという薬にCYP阻害作用があると、Aの血中濃度は高くなる。薬物代謝酵素も蛋白なので1塩基置換の変異体もある。
《参照》 薬物相互作用
シトクロムP450
(チトクロームP-450 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/23 15:18 UTC 版)
シトクロムP450(英語: Cytochrome P450)は特定の酸化還元酵素ファミリーに属する酵素の総称である。単にP450あるいはCYP(シップ)と呼ばれることがある。様々な基質を酸化し、多くの役割を果たす。肝臓において解毒を行う酵素として知られているとともに、ステロイドホルモンの生合成、脂肪酸の代謝や植物の二次代謝など、生物の正常活動に必要な様々な反応に関与している。NADPHなどの電子供与体と酸素を用いて基質を酸化することも共通である。シトクロムP450は細胞内の小胞体に多く、一部はミトコンドリアに存在する。動物では肝臓に多く、特によく研究されている。
- ^ 水谷正治、『シトクロムP450の多様性と植物の化学進化』 Regulation of Plant Growth & Development 40(1), 67-82, 2005-05-27, NAID 10015669125
- ^ Omura, T.; Sato, R. (1964). “The carbon monoxide-binding pigment of liver microsomes: I. Evidence for its hemoprotein nature”. J. Biol. Chem. 239: 2370-2378. PMID 14209971 .
- 1 シトクロムP450とは
- 2 シトクロムP450の概要
- 3 転写調節
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