スペース‐ブイエルビーアイ【スペースVLBI】
スペースVLBI
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/15 17:12 UTC 版)
「超長基線電波干渉法」の記事における「スペースVLBI」の解説
スペースVLBI(SVLBI)は、アンテナのうち一つかそれ以上を人工衛星として宇宙空間に設置することで、地球の直径より大きな基線をもつ干渉計を構築する手法である。これにより、解像度は周波数が同じ場合、地上のVLBIに比べ3から10倍になる。地上のVLBIと違い、SVLBIでは衛星の位置を精密に決定する技術、ドップラー効果による観測周波数のシフトを補償する技術など、多くの技術的課題が存在するが、これらは解決されつつある。 SVLBIの構想自体はVLBIの歴史と同程度に古いものであるが、具体的に検討され始めたのは1980年代のことである。1986年から1988年にかけて、アメリカのTDRSと日本・オーストラリアの電波天文台を用いて地球の2倍程度の基線を持つ干渉計を構築する実験に成功したのがSVLBIの初の成功例である。ヨーロッパでは欧州宇宙機関(ESA)がアメリカ航空宇宙局(NASA)と共同でQUASATという計画を推進していたがホイヘンス・プローブとの優先度競争に負け中止となった。ロシアではラジオアストロンという計画が進められ、ソ連崩壊の混乱などのため計画は延期に延期を重ねられたが、2011年に無事打ち上られた。アメリカではNASAジェット推進研究所(JPL)とアメリカ国立電波天文台(NRAO)がARISE、iARISEという計画を立てているが、X線ミッションやガンマ線ミッションが優先されているため実現の目処が立っていない。 日本では宇宙科学研究所(ISAS)と国立天文台(NAOJ)がVSOP計画を立案し、1997年の「はるか」打ち上げにより実現した。「はるか」は工学実験衛星であり、天文衛星としては限られた機能しか持たなかったが、実際に天体観測を行い大きな成果をあげた。後続としてVSOP-2計画/ASTRO-G衛星についても開発費が2007年度予算として国会で承認された。しかし目標とするアンテナの精度を達成することができず、2011年11月30日に計画中止が決定された。
※この「スペースVLBI」の解説は、「超長基線電波干渉法」の解説の一部です。
「スペースVLBI」を含む「超長基線電波干渉法」の記事については、「超長基線電波干渉法」の概要を参照ください。
- スペースVLBIのページへのリンク