ステロイドホルモン活性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 22:28 UTC 版)
「テストステロン」の記事における「ステロイドホルモン活性」の解説
ヒトをはじめとする脊椎動物におけるテストステロンの作用は、アンドロゲン受容体の活性化(直接またはジヒドロテストステロンとして)、エストラジオールへの変換と特定のエストロゲン受容体の活性化など、複数のメカニズムを介して生じる。また、テストステロンのようなアンドロゲンは、膜アンドロゲン受容体(英語版)に結合して活性化することが判明している。 遊離したテストステロン(T)は、標的となる組織細胞の細胞質に運ばれ、そこでアンドロゲン受容体に結合するか、細胞質の酵素である5α-還元酵素によって5α-ジヒドロテストステロン(DHT)に還元される。DHTは、テストステロンよりもさらに強く同じアンドロゲン受容体に結合するため、そのアンドロゲン活性はTの約5倍になる。T-受容体複合体またはDHT-受容体複合体は、細胞核内に移動し、染色体DNAの特定のヌクレオチド配列に直接結合することができる構造変化を起こす。結合した部分はホルモン応答要素(英語版)(HRE)と呼ばれ、特定の遺伝子の転写活性に影響を与え、アンドロゲン効果を生み出す。 アンドロゲン受容体は多くの脊椎動物の組織に存在し、男性も女性も同程度の量であれば同じように反応する。男性と女性の生物学的な違い(英語版)の多くは、出生前、思春期、生涯を通じてのテストステロンの量が大きく異なることによる。 骨と脳は、テストステロンの主な作用がエストラジオールへの芳香族化(英語版)に依存する、人間の重要な組織である。骨では、エストラジオールが軟骨から骨への骨化を促進し、骨端の閉鎖と成長の終了をもたらす。中枢神経系でも、テストステロンがエストラジオールに芳香族化される。テストステロンよりもエストラジオールの方が、視床下部への最も重要なフィードバック信号として機能する(特に黄体形成ホルモン(LH)の分泌に影響する)。多くの哺乳類では、テストステロンから派生したエストラジオールによって脳の性的二型領域が生前または周産期に「男性化」されることで、のちの男性の性行動がプログラムされる。
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