部分ゲーム完全均衡
(サブゲーム完全均衡 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/25 14:56 UTC 版)
部分ゲーム完全均衡(ぶぶんゲームかんぜんきんこう、英: subgame perfect equilibrium) または部分ゲーム完全ナッシュ均衡 (英: subgame perfect Nash equilibrium) とは、 ナッシュ均衡の考え方を元にした、多期間にわたるゲームの均衡概念である。
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- 1 部分ゲーム完全均衡とは
- 2 部分ゲーム完全均衡の概要
- 3 参考文献
サブゲーム完全均衡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 17:01 UTC 版)
詳細は「サブゲーム完全均衡」を参照 上で定義されたナッシュ均衡は静学的な均衡概念であった。これに対して、動学的なゲームを考える際には上述のナッシュ均衡条件に加えて「信頼できない脅しやはったり」を排除するための条件が必要となる。「信頼性のない脅し(英: incredible threat)」を排除するためには実際にプレイされることのないサブゲームにおいても各プレイヤーの戦略が正当化されている必要がある。このような発想からラインハルト・ゼルテンは、動学的なゲームの戦略の組 s* が全てのサブゲームにおいてナッシュ均衡となっているとき、それをサブゲーム完全均衡(英: subgame perfect equilibrium)と定義した。 展開形ゲーム後方の最小のサブゲームのナッシュ均衡を先に求め、そのサブゲームをそのナッシュ均衡から得られる利得の組に置き換えることによって得られるゲームを縮約ゲーム(英: truncated game)と呼ぶ。縮約ゲーム自体がそれ自身以外にサブゲームを持たないゲームになるまでこの操作を繰り返して得られるナッシュ均衡はサブゲーム完全均衡と一致することが知られている。このようなサブゲーム完全均衡の求め方は、後ろ向き帰納法(英: backward induction)と呼ばれる。 サブゲーム完全均衡は通常のナッシュ均衡が抱えるチェーンストア・パラドックス(英語版)のような問題点を解消しており、さらに計算が容易であるため、展開形ゲームの基本的な解概念として受け入れられている。もっともサブゲーム完全均衡は他のナッシュ均衡と同じくらいにしか合理的でない。かつては均衡選択問題を解くために他のナッシュ均衡を却下することが流行したこともあったが、現在の殆どのゲーム理論家の理解では他のナッシュ均衡を却下する理由は全くない。たとえば最後通牒ゲームでサブゲーム完全均衡が必ず観察されることをゲーム理論が予測するわけではない。実際、最後通牒ゲームの実験でサブゲーム完全均衡は観察されない。ただしゼルテンが示したように、プレイヤーが間違いを犯す可能性のあるゲームを想定すると、間違いのあるゲームのナッシュ均衡は、間違いのないゲームのサブゲーム完全均衡を近似する。間違いのある人間社会のゲームの均衡はサブゲーム完全均衡で一次近似できると考えられる。
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