エゾアカガエルとは? わかりやすく解説

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エゾアカガエル

和名:エゾアカガエル
学名Rana pirica
    カエル目
分布北海道分布する固有種
 
写真(上):エゾアカガエル成体
説明
なかなか分類学上の帰属が決まらなかったが,結局新種として1991年記載された。北海道では早春産卵する大雪山高地湿原でも繁殖している。成体森林生息する区別点:北海道分布する種で,似た種類はいない。
エゾアカガエル成体


蝦夷赤蛙

読み方:エゾアカガエル(ezoakagaeru)

両生類


エゾアカガエル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/30 00:00 UTC 版)

エゾアカガエル
エゾアカガエル Rana pirica
サケのふるさと 千歳水族館飼育個体。
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: カエル目 Anura
亜目 : カエル亜目 Neobatrachia
: アカガエル科
亜科 : アカガエル亜科 Raninae
: アカガエル属 Rana
亜属 : Rana
: エゾアカガエル R. pirica
学名
Rana pirica Matsui, 1991
和名
エゾアカガエル
英名
Ezo Brown Frog

エゾアカガエル蝦夷赤蛙学名Rana pirica)は、両生綱カエル目(無尾目)アカガエル科に分類されるカエルの一種。

分布

日本北海道利尻島奥尻島礼文島国後島択捉島色丹島)、ロシアサハリン)に分布する[1]

北海道に生息する在来のカエルは、ニホンアマガエルと本種のみ。

分類

かつてはヨーロッパアカガエルRana temporaria temporaria)と同一の亜種と考えられ、その後はチョウセンヤマアカガエル(Rana dybowskii)と同一の種もしくは亜種とされていた[2]。しかし、染色体数から独立種であることが判明し、1991年に正式に新たな学名が与えられた[2]

学名の種小名は、アイヌ語で「美しい」を意味するpirkaを「ピリカ」と日本語で音写したもの[1]。本来のアイヌ語では「リ」は音節末の流音であり、母音はつかない。

形態

体長はオスが46-55mm、メスが54-72mmで、メスの方がオスより明らかに大きい[2]。体色は黒褐色から赤茶色。眼の後ろから伸びる背側線は鼓膜の後ろでゆるく曲がる。四肢はやや短く、指の間には水かきが発達する[2]。オスは下顎に左右1対の鳴嚢がある[3]

サハリン個体群は北海道個体群とは形態的にかなり違いがあるとされる[1]

ひとつの卵の大きさは1.7-2.3mmほどで、幼生(オタマジャクシ)は全長45mmまで成長し、尾は中程度の長さで太くはない[2]。捕食者であるエゾサンショウウオの幼生が多数生息する環境では、尾ひれの丈が高く、胴部がゼラチン状の物質で膨満した防御形態に変化する[1]

生態

生息環境は平地や湿地、森林や高山帯と様々である。肉食性で、昆虫類クモ土壌動物を食べる[4]。土壌動物の中でも、ヤスデジムカデを食べることが胃内容物の調査から確認された[5]

繁殖期は基本的には4-5月だが、高地では7月と遅い[2]。「キャラララ、キャラララ」と鳴き、繁殖期以外で鳴くことはほとんどない[1]。夜間の方が活発に鳴くが、昼間でも鳴く[1]。池や湿地などの浅い水域や水たまりに産卵する。卵塊は扁平な球状で、卵数は700-1100個[2]。ときにはとても大きな卵塊群を形成することもある[2]

11月から4月の冬期は、水底で冬眠する[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g 『北海道爬虫類・両生類ハンディ図鑑』pp72-77
  2. ^ a b c d e f g h 『改訂版 日本カエル図鑑』pp74-75
  3. ^ 『決定版 日本の両生爬虫類』pp100-101
  4. ^ 保坂拓磨・浅利裕伸・山内健生 (2021) 北海道帯広市の河畔林に生息するエゾアカガエルの食性.爬虫両棲類学会会報, 2021(2): 155-161.
  5. ^ Hirakizawa, N., Hosaka, T., Asari, Y., and Yamauchi, T. (2023) Myriapoda found in the stomach contents of the Ezo Brown Frog Rana pirica (Anura: Ranidae) from a riparian forest in Obihiro City, Hokkaido, Japan. Herpetology Notes, 16: 683-685.https://www.biotaxa.org/hn/article/view/73000

参考文献

  • 前田憲男・松井正文『改訂版 日本カエル図鑑』文一総合出版、1999年。ISBN 978-4829921302 
  • 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎『決定版 日本の両生爬虫類』平凡社、2002年9月20日。ISBN 4-582-54232-8 
  • 徳田龍弘『北海道爬虫類・両生類ハンディ図鑑』北海道新聞社、2011年3月31日。ISBN 978-4-89453-592-3 

関連項目




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