やおいという言葉の誕生とは? わかりやすく解説

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やおいという言葉の誕生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 05:55 UTC 版)

「やおい」の記事における「やおいという言葉の誕生」の解説

坂田靖子主宰する漫画同人会ラヴリに、会員の磨留美子の描いた『夜追い』(夜追)という漫画があり(波津彬子は、意味はよくわからないが独特の色気がある作品評している)、真面目に付けられタイトルだが、作者自身が後に「ヤマオチも意味もない」とタイトル当てはめていって言っていたという。当時同人誌参加者はたいてい漫画家目指しており、漫画雑誌投稿する編集担当者から「ヤマがない」「オチがない」などとと批評されており、編集者ストーリー構成厳しく書き手には山・落ち・意味をきちんと備えたものを書かなければならないという強迫観念があったといわれる。こういった状況背景に、ラヴリの仲間内シャレとして「ヤマオチも意味もない」という意味で「やおい」という言葉流行ったその後ラブリメンバー波津彬子他のメンバーらに声をかけ、1979年12月20日波津彬子責任編集同人誌『らっぽり』「やおい特集号」が発行されたが、波津は『夜追い』の不思議な魅力追求し、定義づけしようという意図作った述べている。これが「やおい」という言葉初出といわれる最初は「やおい」には性的な意味は含まれていなかった。BL作家霜月りつ によると、当時同人活動でもストーリー性やメッセージ性のない漫画・小説などはバカにされていた。そういった状況で、実力派揃い漫画サークルがこういった本を出しストーリーがなくても、書きたいところだけを書いてもいいという自由さ提示し売れて高く評価されたことで、こういうことをやってもいいんだという免罪符のようなものになり、ストーリー性の薄い、作り手読みたい描きたいシーンだけを集めた創作物作られるようになった作り手読みたい描きたいシーンだけを集めると、結果的に男同士のあぶない話」ばかりだったのだという。霜月は、『らっぽり』の「やおい特集号」は、この時代エポック的な同人誌のひとつで、非常に影響大きく、「なにかえっちなものを描きたいけど、それがなんなのかわからないという人にひとつの方向性与えた」と述べている。(なお当時商業では雑誌JUNE」などでオリジナル美青年美少年同士同性愛漫画があったが、JUNE作家には、自分たちのマンガは「やおい(やまもおちもいみもない漫画ではなくJUNEである」という自負があり、「やおい」と呼ばれるのには抵抗感あったようである。) 上記の『らっぽり』のエピソード一般に広く知られていたわけではない。やおいの語源は、作品のほとんどが直接的な描写のみによって構成されることから、ストーリー構成必要なヤマ(山、山場無し」「オチ落ち無し」「イミ(意味)無し」の3つが無いという意味で、この三語を繋ぎ、そう呼ばれるようになったといわれてきた。元々はジャンル問わずヤマオチも意味もない低質な漫画作品全般を指す用語として使われていた。その否定的な含意から、しばしば愛好者自己卑下的な心情表していると考えられている。しかし、パロディ感覚満ちた遊び心から生まれた面もあり、東園子は、やおいと呼ばれる作品やそれを読む自分相対化し、明るく笑い飛ばすような諧謔ニュアンスもあるのではないか指摘している。中島梓栗本薫)は『小説道場』(「JUNE」の読者投稿小説中島批評するコーナーで、ここから多くBL作家生まれた。やおいという言葉がよく用いられ時代連載)の単行本で、やおいという言葉は「『意味のあることだけが正しい』とされてきた既成社会への挑戦」であり「ヤマありオチありイミあり」社会対すゲリラテーゼ」と捉えている。東は中島解釈を受け、「ヤマありオチありイミあり」の物語は、他の人が読んで面白く感じられる話であり、「自分楽しませてほしい」という他者欲望意識した作品だと考えられるが、「ヤマなしオチなしイミなし」の物語であるやおいは、「他者欲望奉仕することを拒否し書き手欲望のみに従った物語であることを宣言した名称」ではないか述べている。 現在では若年層は元々は否定的なニュアンスがあったという経緯知らないままに使っている場合があるが、自身の作品を「やおい」と呼ばれることに嫌悪感を抱く作者存在する女性向けパロディ同人誌でも男性同士同性愛ではなく男女異性愛描いているものは、やおいと区別してノーマル」と呼ばれることがある実際にはやおい作品でも厳密に描写だけから構成されるような作品少なく十分に物語性備えたものであってもやおいと呼ばれ、やおい系作品であるが物語性備えていることを強調するときは「やおいあり」ということもある。

※この「やおいという言葉の誕生」の解説は、「やおい」の解説の一部です。
「やおいという言葉の誕生」を含む「やおい」の記事については、「やおい」の概要を参照ください。

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