ほしい物リストとプライバシーの問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 17:43 UTC 版)
「Amazon.co.jp」の記事における「ほしい物リストとプライバシーの問題」の解説
Amazonのプライバシーに関する懸念は米国でも以前から指摘されていたが(他国向けのサイトでの「ほしい物リスト」の初期設定は「非公開」となっており、大きい問題にはなっていない)、日本向けサイトでも「ほしい物リスト」の問題で批判が起きた。 Amazonには「ほしい物リスト(2008年3月8日に「ウィッシュリスト」から改名された)」という機能がある。「ほしい物リスト」を作成した際、初期設定を変更しない場合、個人情報が公開される仕様になっており、話題となった。公開される情報は、アカウント名(客登録をする際に「氏名」と書かれている欄に入力した文字がアカウント名になる。ショッピングサイトの特性上、本名で登録している客が多い)、電子メールアドレス、住所(リストに住所を登録している場合のみ)、リストに登録している商品、リストから購入した商品などである。 「ほしい物リスト」のページでは、名前かメールアドレスを入力すると「ほしい物リスト」の客の検索が可能となっている。この検索機能でメールアドレスを検索すると簡単にその客の本名が分かってしまう(本名で登録していた場合)という仕様であるため、メールアドレスを公開している大手のサイトオーナーや有名ブロガーのアカウント名があちこちで書き込まれるというトラブルが発生した(なお、公開されたアカウント名が本名であるということを否定している事例もあり、必ずしも発覚したアカウント名とメールアドレスの持ち主の本名が同じであるとは断定できない)。 また、「ほしい物リスト」をしおりのようなものとして利用し、外部に本名などの個人情報が公開されていることを知らない客も多い。「ほしいものリスト」に、公開したくない趣味や嗜好、抱える健康問題、政治思想、宗教思想などが反映されている場合には、その客の生活に問題が起こる可能性がある。 Amazonの広報担当者は「公開になるという説明は必ず目につくような場所につけている。設定の変更もできるようになっている」と述べているが、実際には「このリストの初期設定は公開になっています。プライバシーの保護のため、電話番号や番地は表示されませんのでご安心ください」と表示されるだけで、アカウント名などが公開されるというリスクについては表示されない場合があった。 ほしい物リストを作成した記憶がなくても、商品画面の「ほしい物リストに追加する」というボタンを1度クリックしただけで、自動的に個人情報が公開される設定の「ほしい物リスト」が作成されてしまうという仕様になっている。商品画面から「ほしい物リスト」を作成してしまった場合は、プライバシーに関する警告などは表示されない。 また、「友だちにほしい物リストについて知らせる」という機能もある。これは指定したメールアドレスに自分の名前・電子メールアドレス・ほしい物リストを送信するという機能であるが、システムの欠陥により悪意のあるコードの含まれたウェブサイトを訪問してしまうと、悪意のある客が指定したメールアドレスに自分の名前・メールアドレス・ほしい物リストが送信されてしまうというセキュリティホールがあることが発覚した。Amazonにサインインしたままの状態であると、ブラウザを閉じていた場合でもクリックしただけでこのような被害に遭う可能性がある。 2008年3月12日、Amazonは客からの指摘をもとにした調査を理由として「ほしい物リスト」の検索機能を停止した(閲覧などは可能)。2008年3月21日、検索機能が復活したが、デフォルトで外部に公開されるという設定はそのままである。公開されるリストが存在する場合は、ほしい物リストのページに「アカウント名が公開される」といった注意が掲載されるようになったが、商品画面から新規のほしい物リストを作成した場合などは、以前と同様に警告などが表示されない仕様である。
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