αノート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 18:58 UTC 版)
αノート(アルファノート)は、 佐野が愛知県立豊川工業高等学校(後の愛知県立豊川工科高等学校)在学中に書き溜めた、シャープ製ポケットコンピュータ用プログラム群を集積し、技術書としての体裁を整えた上で、同校が1992年に発行したソースコード集である。主なターゲット機種は市販機のPC-E200と、学校教育専用機のPC-G800シリーズ。PC-G813等、一部の機種はC言語にも対応していたが、掲載されたソースコードはBASICとZ80Aに対応する機械語のみである。ソースコード以外にも、PC-G800シリーズでの圧電スピーカーによるビープ音の出力と、PC-E200を含むPC-G800シリーズ間での複信を同時に実現する周辺機器の回路図等が掲載された。グラディウスを再現する本格的なシューティングゲームやテトリス、コラムス、3D迷路ほか、美少女ゲーム、ロールプレイングゲーム等、緻密にプログラミングされた作品が多く含まれる一方、掲載量はタイトル単位で約50本、B5判で103頁に及ぶ(目次や付録を含めると112頁)。ソースコード部分は、ポケットコンピュータ用プリンターによって出力された活字であったものの、注釈、訂正箇所を含む本文は、その名の通り、佐野が大学ノートに書き溜めた原文直筆のまま印刷された。収録内容には工学社の『月刊I/O』や、別冊の『ポケコンジャーナル』に佐野が寄稿した情報も含まれる。発行当時、当該機種向けのソースコードを多数掲載した冊子は、ポケコンジャーナルを除けば、αノートをおいて他に例が少なかった。掲載作品の中でも特に異彩を放つプログラムとして、ドット単位のマトリクス制御や、スーパーファミコンのようなグラフィックの回転、拡大、縮小、スクロール、多重スクロール、ラスタースクロールをソフトウェアのみで擬似的に実現したライブラリが挙げられる。当該ライブラリは汎用性に富み、あらゆる作品に応用できる可能性が示唆されたため、佐野は他のプログラマにも積極的な利用を促そうと考えた。そこで佐野は、当該ライブラリに「あぴゃくぴゅとまてぇぴょ」と、早口言葉にも近しい名を設定。これについて、佐野は後年「グリチルリチン酸ジカリウムのように、あえて覚えにくい名を付ければ、反対に覚えようと努力してもらえる可能性を狙ったが失敗した」と語っている。アルファノートの発行から数年後、佐野はx86アーキテクチャのマイクロプロセッサ向けにも「あぴゃくぴゅちょちょまっぴぃぴょ」と称する当該ライブラリの派生版をリリースしたが、そちらも普及せずに終わった。佐野はオブジェクト指向言語や、スクリプト言語の関数にも「チョメチョメ一丁目」等、しばしば戻り値が全く想像できないユニークな名を好んで設定する。
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