ZIP (記憶媒体)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 13:29 UTC 版)
概要
光磁気ディスク(MO)とは比較にならないほど高速なアクセスが可能である。ディスクには1992年に富士フイルムが開発した[1]、薄膜の磁性層を形成して記録密度を高めるATOMM(Advanced super Thin layer & high Output Metal Media)を採用することで大容量を実現している。発売当時、同社のBernoulliディスクと同様にディスクを湾曲させヘッドとの距離を保っているとメディア等で誤解されたが、実際にはハードディスクと同じくヘッドを浮上させてディスクとの距離を一定にしており、同社はそのBernoulliディスクの機構は使っていないと公表している。
日本国内においては富士フイルムがメディアを生産していた[2]。また、セイコーエプソンなどがライセンスを持っていた。
米国においては、他の大容量メディアと比較するとメディア、ドライブ共に安価だったため、発売前から話題を呼んだ。拡張カードがなくてもパラレルポートに接続でき、SCSI接続も可能という利便性の高さもあって、登場からしばらくは主要なメディアの一派を形成した。一時はポストフロッピー(フロッピーの代替)メディアの最有力候補と言われ、「フロッピーはそのうちZipドライブに置き換わる」とまで言われていた。海外のパソコンメーカー製品でZipドライブ搭載機種が一時期多く見られたのもそのためである。
一方で日本ではすでにMOが普及していたためあまり浸透しなかった。MOと比べるとドライブは安価だがメディアの値段が高く、ある程度普及が進んでも単価はあまり下がらなかった。これはメディア売り上げで利益を確保する開発元の狙いがあったと言われる。結果、相対的に見ると割高になってしまった。その後、より大容量で低価格のCD-R/CD-RW/記録型DVD媒体の普及もあって市場は縮小を続けた。 メディアのフォーマットはMOと同じスーパーフロッピー形式であったため、当時まだ普及率の高かったPC-9800シリーズと、急速に普及しつつあったPC/AT互換機間での大容量データ交換にも利用可能であった。
- ^ “コンピューター用塗布型磁気テープ「富士フイルムDLT tapeⅣ」が国立科学博物館「重要科学技術史資料」に登録”. 富士フイルム (2021年9月1日). 2024年3月6日閲覧。
- ^ Zipディスク(100MB・250MB)販売終了のご案内 2004年9月12日
- ^ “日本アイオメガ、Zipドライブの新製品「ZipPlus」”. PC Watch (1998年1月23日). 2012年8月30日閲覧。
- ^ The Click of Death Ate My Data
- ^ "Click of death" strikes Iomega
- ZIP (記憶媒体)のページへのリンク