ZIP (記憶媒体)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 13:29 UTC 版)
デザイン
Zipシステムは大雑把に言えば、アイオメガのものより以前のベルヌーイボックスシステムに基づいている。Zipのシステムでは、リニアアクチュエータに固定された読み書きヘッドのセットが頑丈なカートリッジの中で高速回転するフロッピーディスクの上に浮かんでいる。Zipディスクは、コンパクトディスクサイズのBernoulliメディアより小さい、3.5インチフロッピーほどの大きさのメディアと、その全体的なコストを減らした単純化されたドライブデザインを使用する。
Zipは、ドライブ自体にフロッピーディスクドライブとの上位互換性を確保していないものの、標準的なフロッピードライブやその上位互換ドライブ(スーパーディスク等)よりデータ転送速度が高速なのが特徴である。標準的な1.44MBフロッピーは転送レートが500kbps(62.5kバイト/s)、平均シーク時間が数百ミリ秒なのに対し、オリジナルのZipドライブのデータ転送レートはおよそ1Mバイト/s、平均シーク時間が28ミリ秒である。なお、今日の平均的な7200rpmのデスクトップハードディスクドライブの平均シーク時間は約8.5-9ミリ秒である。
インタフェース
Zipドライブはコンピュータとの多様なインタフェースで製造されてきた。内蔵用ドライブはIDEインタフェースとSCSIインタフェースの双方が、外部接続用ドライブはパラレルインタフェース、SCSIインタフェースと(数年後に)USBインターフェイスなどがある。USB接続のものには、後にバスパワー動作の製品も登場している。一時期、パラレルインタフェースとSCSIインタフェースとを自動検出するというZip Plusと呼ばれるドライブがあったが[3]、多くの互換性の問題が報告され、後に消えた。
容量
当初、Zipは100MBの容量が採用された。ディスクの価格を通常のフロッピーディスクの価格に近づけることを考え、100MBドライブに挿入できるより低コストな25MBのバージョンが計画されたものの、このサイズのディスクは発売されなかった。
安価な値段の割りにそこそこの容量を確保した100MBという容量は、1995年当時では個人データを収納するのに十分で、競合する同サイズのメディアより早くリリースされたこともあって、ZipはMOが一般的でなかったアメリカでは大いに普及し、日本でもまずまずの普及を見せた。後に、データ転送レートとシーク時間を改善しつつ容量を250MBに増やしたZip250を発売したが、日本では既にMOが普及していたことと、CD-RやCD-RWが広がりかけていたこともあり殆ど普及しなかった。その後、容量を更に750MBに増やしたZip750を発売したものの、その頃にはCD-RやCD-RWが市場を席巻していたため、こちらも日本では殆ど普及しなかった。
- ^ “コンピューター用塗布型磁気テープ「富士フイルムDLT tapeⅣ」が国立科学博物館「重要科学技術史資料」に登録”. 富士フイルム (2021年9月1日). 2024年3月6日閲覧。
- ^ Zipディスク(100MB・250MB)販売終了のご案内 2004年9月12日
- ^ “日本アイオメガ、Zipドライブの新製品「ZipPlus」”. PC Watch (1998年1月23日). 2012年8月30日閲覧。
- ^ The Click of Death Ate My Data
- ^ "Click of death" strikes Iomega
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