S端子 信号

S端子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/22 08:37 UTC 版)

信号

従来のコンポジット端子で接続するとYとCがミックスされているため、クロスカラーやドット妨害など画質劣化の原因になりやすい。ノーマルVHSの場合、元々水平解像度が低くそれほど画質が良くないためコンポジットで出力するとさらに画質が悪くなる場合がある。こうしたことから、ノーマルVHSデッキであっても、S端子を搭載している機種がわずかながら存在した。

家庭用ビデオテープレコーダではY/C分離し、色信号を低域変換したうえで記録する方式が採用されている。このためコンポジット映像信号の混合方式では記録・再生の過程で信号の分離と合成を繰り返し、信号の劣化が進んだ状態で表示される。それと比較してS端子で接続する場合、より良好な画質での視聴が可能となる。なお、信号はコンポジット映像信号と同様にSD画質である。

色信号は本格的なコンポーネント映像信号のようにCb/Crなどに分離したものではなく、両者を直交変調した形態である。これはNTSC規格の色副搬送波と同等であるため、単にYとCを混合すればコンポジット信号が得られる[注釈 4]

S-VHSではない通常のVHS方式やベータ方式はY信号がC信号の帯域まで伸びておらず干渉が少ないため、従来のコンポジット端子でもほぼ画質を損なうことがないとも言われている。しかしながら、元来分離して記録されているY信号・C信号を混合し、再び分離する事になるので、信号処理のロスは大きい。特にダビング時の接続ではRCA端子でのコンポジット出力・入力では、画質の低下を招くと考えられるため、S端子による接続が望ましい。

なおレーザーディスク規格の場合は、ビデオテープの場合とは異なり、輝度信号・色信号は一緒に記録されている。そのため受像機側のY/C分離回路の性能が、レーザーディスク機器のそれを上回っている場合においては、S端子による接続ではかえって画質が低下する。S端子を採用して以降のレーザーディスクの機器では、全ての映像出力信号にY/C分離処理を行い、RCA端子の出力では信号を混合していたため、かえって画質の低下を招いた。レーザーディスクの上級機においては、そのような処置は行わずRCA端子からはY/C分離回路を通さない信号を出力しているとして、これを「ダイレクトコンポジット」と称していた。


注釈

  1. ^ ED Betaの開発当初にはまだS端子は存在していなかったため、SONYはRGB端子の採用を検討していた。結局、先行して発売されたS-VHSに採用されたS端子の有効性を認め、SONYもそれに追随した。
  2. ^ なおDVDレコーダーBDレコーダーは2011年現行モデルでも従来通りS2/S1入出力端子を搭載している。
  3. ^ これに加え、2014年以降の新機種は著作権が保護されたコンテンツのアナログ出力が不可となる。
  4. ^ Y/C分離のYはYxy表色系で明るさをあらわすYから、またCはギリシャ語で色彩をあらわすChromaから採られたと言われる。
  5. ^ メスコネクターには、よりピン数の多い6ピンや7ピンのmini DINコネクタを使用してコンポーネント映像出力もできるようにしたビデオカード専用のものも存在する。S端子として使用するときは4ピンのS端子ケーブルを使用できるがコンポーネント映像端子として使用する場合は同梱の変換ケーブルが必要な場合が多い。

出典



「S端子」の続きの解説一覧




S端子と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「S端子」の関連用語

S端子のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



S端子のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのS端子 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS