MiG-25 (航空機)
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別名 Спирт-Воз
ロシアでは『アルコール運搬機』を意味するСпирт-Воз (Spirt-Voz) という愛称が用いられた[15]。これは、気化熱冷却用におよそ300リットルもの穀物アルコールを搭載した事に由来する。ヴィクトル・ベレンコの語った中には「搭載する筈のアルコールを地上の整備長が退屈凌ぎに飲んだ為、密かに水とすり替えていた。そのせいでキャノピーに着氷していた」という逸話もある[16]。
スペック (MiG-25P)
- 全長:21.55m(機首先端から水平尾翼後端まで。機首ピトー管含まない)、22.3m(同。機首ピトー管含む)
- MiG-25とMiG-31の両機の大きさは、その形状の違いにもかかわらず、ほとんど変わらない。
- 全高:6.10m
- 翼幅:14.01m(偵察機型MiG-25Rは13.42m)
- 翼面積 : 61.40 m2
- 翼面荷重量 : 598 kg/m2
- 空虚重量 : 20,000 kg
- 通常重量 : 36,720 kg
- 最大離陸重量 : 41,000 kg
- 発動機 : ソユーズ・ツマンスキー R-15BD-300 2 基
- 推力
- ドライ出力 : 8,790kg×2
- アフターバーナ出力 : 11,190kg×2
- 推力重量比 : 0.41
- 速度
- 速度制限 : マッハ 2.83 (3,090 km/h)
- 最大速度 : マッハ 3.2 (3,490 km/h)
- 航続距離
- 完全武装 : 1,730 km
- 戦闘行動半径 : 未知数
- 非武装時 : 2,575km
- 上昇率 : 208 m/s
- 実用上昇限度 : 20,700 m
- 海面上昇率 : 毎分12,495m
- 最大到達高度記録 : 37,600 m
- 燃料搭載量:4,500L
- 最大G:4.5~8
- 乗員 : 1名
- 武装
- 固定武装:なし
- 空対空ミサイル:R-40Rレーダー誘導型空対空ミサイル×2、R-40T赤外線誘導型空対空ミサイル×2(AA-6)
- 胴体下面中央に5,300リットル入りの外部燃料タンクを懸吊可能(各型)
- アビオニクス
- RP-25 Smerch
- RV-UMまたはRV-4[17]
登場作品
映画
- 『ラスト・カウントダウン/大統領の選択』
- 1990年のテレビ映画。3機のMiG-25が、主人公たちの乗るB-52を迎撃する。尾部銃座にて1機が撃墜され、2機は核攻撃に巻き込まれる。
- 『ファイヤーフォックス (映画)』
- 1982年の映画。クリント・イーストウッドが監督・製作・主演を担当。『MiG-31 ファイヤーフォックス』という架空のソ連の戦闘機を盗み出す作戦。
アニメ・漫画
- 『CAPTAINアリス』
- 亡命の際に使用。
- 『アイドル防衛隊ハミングバード』
- OVA第3作「'95風の唄」および第4作「'95夢の場所へ」において南太平洋にある軍事独裁国家(具体的な国名等は登場しない)の主力戦闘機として登場。射出座席の代わりに自動操縦装置を搭載した完全フルオートパイロット機という架空の設定で、パイロットが搭乗していない(有人機同様、自動操縦装置は機体に危険が及ぶと射出される機構になっている)。
- 現実のMiG-25に機銃は搭載されていないが、作中の機体には機首下面左側に機銃が装備されており、実際の性能とは異なり有人のF/A-18と互角の格闘空中戦を行う高い運動性を発揮している。
- 『アルジェントソーマ』
- Phase:1「再生と死と」冒頭で、空気取入口側面にカナード翼を追加した国連空軍高高度迎撃機のMiG-25改(架空機)が登場。
- 『エロイカより愛をこめて』
- 『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』
- デストロン・トリプルチェンジャー空陸参謀ブリッツウィングの変形形態のひとつとして登場。
ゲーム
- 『フィクショナル・トルーパーズ』
- エストビア連邦軍のランク2として選択可能。リプレイ劇画にも登場し、M3の高速を生かして護衛戦闘機を振り切ってメカール軍の早期警戒管制機を撃墜している。
- ^ E-155とも書かれる。
- ^ It cost far less than titanium and allowed for welding, along with heat resistant seals.The MiG-25 was constructed from 80% nickel steel alloy, 11% aluminium , and 9% titanium .The steel components were formed by a combination of spot-welding , automatic machine welding and hand arc welding methods.
- ^ 雑誌『航空情報』出典。
- ^ 『ミグ戦闘機―ソ連戦闘機の最新テクノロジー メカニックブックス』原書房から。
- ^ 機体を本格調査 防衛庁 部外者を排除『朝日新聞』1976年(昭和51年)9月25日夕刊、3版、11面
- ^ 自爆装置を一部外す『朝日新聞』1976年(昭和51年)9月21日朝刊、13版、3面
- ^ ニッケル鋼の比重はアルミニウム合金の3倍だが、強度も3倍なので使う鋼材の量は3分の1で済み、注意深く設計すればそこまで重い機体にはならない。また、機体をニッケル鋼にしたことでジュラルミンでは困難な溶接構造を用いることができた。そのため、リベット留のジュラルミン機体では機体の内側にシール材を手作業で塗布しなくてはならないのに対し、その作業が不要になり、手の入らない機体細部まで燃料タンクにすることができ、17,660 Lもの燃料搭載が可能となった。更なる溶接機体のメリットは、燃料タンクに亀裂が入って燃料漏れを起こしても、すぐさま破損箇所がわかる事。この機体の隅々まで収納された燃料が機体の熱を吸う事で空力加熱も抑えられた。弱点はニッケル鋼はアルミニウム合金に比べて弾性係数(ヤング率)が2.5倍から3倍高いので、機体が強度不足に陥る点。
- ^ F-15C Eagle vs MiG-23/25: Iraq 1991. Doug Dildy, Tom Cooper, Bloomsbury Publishing, 2016. P.35
- ^ Steve Davies. F-15C Eagle Units in Combat, с. 53.
- ^ 『週刊ワールドエアクラフト』2001/6/12号、P11より。
- ^ ラケーシュ・クリシュナン・シンハ (2016年9月29日). “ソ連中尉の日本亡命でMiGに恩恵”. ロシア・ビヨンド日本語版. 2021年7月23日閲覧。
- ^ Syria's MiG-25s fly again
- ^ Azerbaijan to modernize MiG-25 foxbats included in Air Forces’s inventory
- ^ “МАПО МиГ МиГ-25РБВ”. www.airwar.ru. 2023年5月27日閲覧。
- ^ Спирт (spirt: アルコール), Воз (Voz: 荷馬車) 。「エアコンバット DVD コレクション 超高速迎撃機フォックスバットのすべて」に、この愛称について言及している場面がある。ただし、このDVDは日本語音声と英語音声で収録されており、日本語音声では「スピルトヴォース」ではなく「スピオトフォズ」と発音している。一方、英語音声では「スピートフォーズ」と聞こえる。しかし本項では「ロシア語綴りに基づく日本語表記」を用いることとし、「スピルトヴォース」とした。
- ^ ラケーシュ・クリシュナン・シンハ (2016年9月29日). “How a Soviet pilot's defection showed West the secret MiG”. UPI通信社. 2021年8月11日閲覧。
- ^ 世界の傑作機『No..83』出典。
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