MOS 6502 MOS 6502の概要

MOS 6502

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/21 04:44 UTC 版)

MOS Technology 6502
モステクノロジー 6502 マイクロプロセッサ
生産時期 1975から
販売者 モステクノロジー
CPU周波数 1 MHz から 3 MHz
パッケージ 40ピンDIP
前世代プロセッサ
次世代プロセッサ
トランジスタ 3,510,[1] 3,218[2]
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1977年に発売されたApple II に搭載されて一躍有名になり[3]、その後PET 2001(1977年1月発表、10月発売)、CBM3032VIC-1001等、主にコモドール社の製品で採用されていた。日本ではパソコン用のCPUとしての採用例は比較的少ないほうだが、互換CPUがファミリーコンピュータPCエンジンに採用されている[3][4]


概要

モトローラのMC6800をモデルに、レジスタセットの簡素化をはかり、多彩なアドレッシングモードと良く練られたパイプライン機構を持ち、同時期に設計された同一程度動作クロックの他CPU (MPU) 群に比べて格段に高速に演算処理を実行できた。レジスタを小さく、少なくし、ハードウェア規模を減らして高速化を図ったのではないかと見られる節がある一方で、以下のような特徴を持つ。

  • 0から255番地までのメモリ(ゼロページ)を1バイト少ないコードでアクセスできる(MC6800もゼロページは8ビットのアドレスでダイレクトアドレッシングが可能)
  • アドレッシングモードが豊富
    • Xレジスタでインデックストインダイレクト、Yレジスタでインダイレクトインデックストと動作が異なる

当時の競合製品と比較して破格の安値がつけられたことでアメリカのホビーストの間ではポピュラーな存在となった。設計はMC6800によく似ていて、バスが互換のほか、ピン配置も一部を除いて揃っている(完全ではないのは後述の訴訟の影響による)。68系と同様に「MPU」と呼称されることがあるが、MC6800シリーズと違ってバイトオーダリトルエンディアンである。KIM-1にも搭載された初期バージョンのチップでは、ROR 命令に不具合がありドキュメントに同命令を掲載していなかった[5][6][7]

訴訟

モステクノロジーはモトローラからスピンアウトしたチームで、当初に発表したMCS6501で起こったモトローラとの特許係争(ピン配列が完全互換だった問題)もあって、1976年に資金難から、コモドール傘下のコモドールSemiconductor Group (CSG) となっていたが、ICのマーキングにはMOSブランドがしばらく使用されていた。同社は1994年にコモドールごと倒産した(モステクノロジー社はMostek社とは別の会社である)。セカンドソースは多社にわたるが、ロックウェル・インターナショナル (Rockwell international) 社やウェスタンデザインセンター(Western Design Center、1977年にモステクノロジーのメンバーがスピンアウトした会社)、Synertek、GTEなどがあり、モステクノロジーの後を引き継ぐ形になっている。

最初、NMOSプロセスで生産されたが、後にロックウェルとウエスタンデザインセンターからCMOS版の65C02が登場した。65C02では、STZ(値$00のストア)やBRA(無条件相対分岐)といった命令が追加され、6502にあったバグが修正されたが、つくられた65C02の拡張命令のコードは両者で異なっていた。

周辺チップ英語版としては、6502用のタイミングにあわせた6521(6821互換)PIAや6522、6551 (ACIA) などが用意されていた。

6502のレジスタセット

6502のレジスタセット
呼称 説明
P プロセッサステータス
A アキュムレータ
X インデックスレジスタX
Y インデックスレジスタY
PC プログラムカウンタ
S スタックポインタ
  • 6502のレジスタはPCが16ビットであることを除き、すべて8ビットである。
  • スタックポインタも上位8ビットが$01に固定されており、スタック領域としては第1ページ(アドレス範囲 $0100 - $01FF)の256バイトのみが使用可能。

  1. ^ The MOS 6502 and the Best Layout Guy in the World”. swtch.com (2011年1月3日). 2022年8月24日閲覧。
  2. ^ MOnSter6502”. monster6502.com (2017年). 2022年8月24日閲覧。
  3. ^ a b 上村雅之さん 大いに語る。 ファミリーコンピュータ インタビュー(前編)(2013年10月号より)”. Nintendo Dream Web. アンビット (2018年7月21日). 2022年8月24日閲覧。
  4. ^ 【任天堂「ファミコン」はこうして生まれた】第7回:業務用機の仕様を家庭用に、LSIの開発から着手(3/3)”. 日経BP (2008年10月3日). 2014年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月22日閲覧。
  5. ^ MOS Technology 6502 - Bugs and Quirks”. 2022年10月23日閲覧。
  6. ^ Measuring the ROR Bug in the Early MOS 6502”. 2022年10月23日閲覧。
  7. ^ 1975年8月のデータシートでは ROR 命令を除く55個の命令が記載されており,1976年5月のデータシートでは ROR 命令を含む56個の命令が記載されている。File:MCS650x Instruction Set.jpg
  8. ^ Smotherman, Mark (2001年10月). “Which Machines Do Computer Architects Admire?”. 2022年8月24日閲覧。
  9. ^ Wilson, Sophie oral history : 2012 fellow - 102746190”. Computer History Museum (2012年1月31日). 2022年8月24日閲覧。


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