GOES 観測機器

GOES

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/23 03:24 UTC 版)

観測機器

GOESの観測機器は、大きく分けて4つある。

イメージャー
天気予報などで使われる雲画像は、この装置で観測する
サウンダー
大気の断面構造を観測する。米国海洋大気庁が運用している極軌道衛星NOAAシリーズのTOVSに似ている
宇宙環境モニター
プロトン、太陽X線、荷電粒子磁力を測定する
太陽X線イメージャー
太陽をX線波長帯で直接観測する

イメージャー観測

GOES-7までは、衛星をスピンさせないと実質スキャン出来なかった。GOES-8以降、衛星に問題がない限り、地球側にイメージャーを向けられるようになったこと、箱形ユニット(モジュール)になったことで、スキャンミラーをある方向に調整して観測出来るようになったので、特定の地域だけ撮影することが出来るようになった。
VASおよびVISSRでは、衛星自体がスピンしているので、スキャン開始位置を特定することが単純ではない。そこでスキャンミラーにランプの光を当て、スキャン開始位置を特定する方法がとられている。1981年に打ち上げられたGOES-5とGMS-2は、ランプの故障が原因で観測自体に露骨な影響を受けた。

日本MTSATで言われるイメージャーは、GOESで使用されるイメージャーが基本型になっている。MTSATとの違いは観測する波長帯の違いがあり、GMSからGOESへの観測切り替えの際に、波長帯に依存する観測・統計要素をやむなく中止した。各機のイメージャーは、GOES-8~15以降がITT(現在のHARRIS)社製、既に気象ミッションを終了しているMTSATでは、MTSAT-1Rがレイセオン社製、MTSAT-2がITT(現在のHARRIS)社製で、それぞれ画像のディテールや機構上の違いがある。 MTSATシリーズでは、打ち上げに失敗したMTSAT-1,MTSAT-2はITT社製でGOESシリーズとほぼ同じである。MTSAT-1Rは、MTSAT-1の打ち上げが成功していた場合MTSAT-3となる衛星で、赤外領域の分解能は、MTSAT-2よりも高い分解能を持っているが、無線の帯域制限(速度制限)による制約があるためダウングレードされた[9]

  • 参考:GOES-9が日本の気象庁にレンタルされた際、サウンダーによる観測は行われていたが、日本で使用されている信号方式(S-VISSR)と、GOESで使用される信号方式(GVAR)が異なるため、日本では受信されていても配信の対象になっていない。

SEM観測

SEM(Space Environment Monitoring / Monitor)は、GOESの初号機から運用されている。 プロトン、荷電粒子、X線線量、磁力などの観測を行う。これらの情報は、電波擾乱、衛星の運用などに利用されている。

GOES-12までは2個のアースセンサーで地球を捉え、姿勢制御を行っている(日本のMTSAT-1RとMTSAT-2もこの方式)。しかしながら、太陽光を浴びた場合に姿勢制御が甘くなる欠点があるためGOES-Nシリーズから、より姿勢制御の精度を上げるために極軌道衛星などで搭載されている「スター・トラッカー」を使用した、三軸姿勢制御方式が採用された。

イメージャーおよびサウンダーの性能は、既に運用を終了しているGOES 9-12までと同じ性能(GOESシリーズでも波長帯に違いが見られる)である。分解能はGOES-O/Pでは長波側の赤外画像で分解能が向上する。

X1フレアー発生直後のSXI画像

GOES-12から搭載されたSXIイメージャーはマイナーチェンジが施された。画像の分解能はGOES-12と比べ格段に向上。画像も3種類(AR = Active Region, FL = Flear, CS(Corona Structure)。少なくとも太陽表面のコロナホールやフレアーの状態は、ほぼ常時に近い観測が出来るようになる。分解能はGOES-12と比べて精細度が非常に高く、イメージ的にはSOHOに近いディテールのような画像が得られる。2006年12月5日にあった太陽面爆発でGOES=13のCCDに障害が発生、撮影された画像の下側に横筋が残る。2009年2月に実施された性能確認観測でも、横筋が残っている。現在はLevel-1画像で画像処理が施され、Level-0の画像に観られる横筋は完全に除去できていないものの、実用上の支障が出ないような処理が行われている。

GOES-15では経年変化による画像上に現れる横筋画像化している。

GOES-N(GOES-13 /EWS-G1)

打ち上げから、太平洋側・大西洋側のGOESで問題が発生したときのために待機していたが、GOES-12の推進剤漏洩があったことなどから、2010年4月14日よりイメージャー・サウンダーでの観測を開始し、4月26日より大西洋側での運用を開始した。GOES-12は、推進剤のリークが発生したことから、南アメリカ観測に移行する。 GOES-13の2010年4月以降における障害は特に起きていないが、GOES-16の配備により大西洋側の予備衛星として待機する。 SXIイメージャーの障害(フレアーによるCCDセンサーが一部破壊されている)があるため、SXIイメージャーによる太陽表面観測は中断したものの、非定常で観測は行われている。SXIイメージャー観測はGOES-14(待機中)もしくはGOES-15(太平洋側)が定常観測を行った。2017年12月に打ち上がったGOES-R(GOES-16)の運用が始まったことにより、2017年12月18日にGOES-R(GOES-16)に移行、西経60度に移動しバックアップ運用になる。

その後NOAAは、インド洋にて運用されているMETEOSAT-8(EUMETSAT)の姿勢制御用燃料枯渇による観測断が懸念されたところから、アメリカ軍などと協議を行い、2019年7月からインド洋へ向けて移動させ、2020年2月中旬からインド洋上空東経61.5度にて観測を開始[10]。併せて衛星の所管がNOAAからアメリカ宇宙軍に移り(NOAAとの合同)、あわせて衛星の名称をEWS-G1(Electro-optical Infrared Weather System Geostationary)[11] に改称し、観測を行っていたが軌道離脱に必要な推進剤残量の問題から、2023年11月よりGOES-15がEWS-G2として観測を開始した。
EWS-G1の最後は、CIMMSのサイト[12]にて画像が公表された。

GOES-O/P(GOES-14/15)

それぞれが打ち上げられ、前者が待機衛星として、後者は打ち上げ後太平洋側に配置されて観測を続けている。GOES-14は、SEM/SXI による観測を開始した。


  1. ^ “GOES-R”. NOAA/NASA. http://www.goes-r.gov/ 2013年11月4日閲覧。 
  2. ^ “NOAA’s GOES-S satellite roars into orbit”. NOAA. http://www.noaa.gov/media-release/noaa-s-goes-s-satellite-roars-into-orbit 2018年3月1日閲覧。 
  3. ^ ABI Scan Mode Demonstration Hurris
  4. ^ = NOAA “GOES-17 ABI Performance”. https://www.goes-r.gov/users/GOES-17-ABI-Performance.html = NOAA 2019年2月20日閲覧。 
  5. ^ = NOAA “GOES-R ABI Bands Quick Information Guides”. https://www.goes-r.gov/education/ABI-bands-quick-info.html = NOAA 2018年4月1日閲覧。 
  6. ^ = NOAA “GOES-East ABI Flex Mode (Routine) Schedule - Abridged”. http://www.ospo.noaa.gov/Operations/GOES/east/g16meso.html#note = NOAA 2018年4月1日閲覧。 
  7. ^ = HARRIS “ABI Scan Mode Demonstration”. https://www.youtube.com/watch?v=qCAPwgQR13w = HARRIS 2018年4月1日閲覧。 
  8. ^ GOES-17 ABI Performance NOAA
  9. ^ 木川誠一郎「運輸多目的衛星新1号のイメージャについて」(PDF)『気象衛星センター技術報告』第39号、2001年3月。ISSN 03889653NCID AN00331581国立国会図書館書誌ID:5777386https://www.data.jma.go.jp/mscweb/technotes/msctechrep39-3.pdf2018年4月24日閲覧 
  10. ^ CIMSS Satellite Blog 2021年3月
  11. ^ USSF and NOAA Begin Joint Operations of Infrared Weather Satellite 2020年9月
  12. ^ CIMSS Satellite Blog 2021年3月
  13. ^ a b c Notification of GOES-12 (GOES-South America) Decommissioning 2013年7月9日関係国向け告知より
  14. ^ GOES-17 Post-Launch Testing and Transition to Operations 2018年10月
  15. ^ NOAA’s GOES-T blasts into orbit Earth from Orbit: NOAA’s GOES-18 is now GOES West 2023年1月4日
  16. ^ GOES HISTORY”. GOES-R. 2021年3月28日閲覧。
  17. ^ 総覧 世界の地球観測衛星 Web版 等を参照。
  18. ^ GOES-1”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年5月12日). 2009年6月23日閲覧。
  19. ^ a b GOES-2”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  20. ^ a b GOES-3”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  21. ^ GOES-4”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  22. ^ GOES-5”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  23. ^ a b GOES-6”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  24. ^ GOES-G”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  25. ^ GOES-7”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  26. ^ NOAA retires GOES-7 after 25 years as a weather and communications satellite NOAA 12 April 2012
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  28. ^ GOES-9 STATUS”. NASA (2007年6月14日). 2009年6月23日閲覧。
  29. ^ NOAA Deactivates GOES-10 after 12 Years of Tracking Storms”. NOAA (2009年12月2日). 2009年12月3日閲覧。
  30. ^ Tomorrow's Operational GOES-West Transition Plan (GOES-11 to GOES-15), Issued: December 5, 2011, 1915 UTC”. NOAA. 2011年12月6日閲覧。
  31. ^ GOES 14 Operational Status”. NOAA (2015年1月15日). 2021年3月28日閲覧。
  32. ^ GOES 15 Operational Status”. NOAA (2019年2月28日). 2021年3月28日閲覧。
  33. ^ GSpace Force accepts second weather satellite through NOAA partnership”. USSF (2023年9月22日). 2023年10月25日閲覧。
  34. ^ GOES-16 wikipedia english gpage
  35. ^ GOES Operational Status”. NOAA. 2021年3月28日閲覧。
  36. ^ GOES-17 wikipedia english gpage
  37. ^ GOES Operational Status”. NOAA. 2023年1月7日閲覧。
  38. ^ GNOAA's GOES-18 Satellite”. NOAA. 2022年3月3日閲覧。
  39. ^ Earth from Orbit: NOAA’s GOES-18 is now GOES West”. NOAA. 2023年1月7日閲覧。



Goes!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/08 03:52 UTC 版)

Goes!』(ゴーズ)は、プチレーヴより2014年8月27日から2015年2月25日にかけて発売されたドラマCDシリーズおよびそれを原作とするPlayStation Vita用ゲームソフト。 本項では2015年11月26日に発売されたPlayStation Vita用ゲームソフト(以下ゲーム版)についても開設する。




「Goes!」の続きの解説一覧

フス (オランダ)

(GOES から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/23 22:42 UTC 版)

フスオランダ語: Goes [ɣus] ( 音声ファイル))は、オランダ南西部のゼーラント州のゾイト=ベーフェラント島にある基礎自治体(ヘメーンテ)および都市。後者の人口は約2万7000人である。


  1. ^ Samenstelling B&W” [Members of the board of mayor and aldermen] (Dutch). Gemeente Goes. 2013年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月10日閲覧。
  2. ^ Kerncijfers wijken en buurten” [Key figures for neighbourhoods] (Dutch). CBS Statline. CBS (2013年7月2日). 2013年7月11日閲覧。
  3. ^ Postcodetool for 4461GE” (Dutch). Actueel Hoogtebestand Nederland. Het Waterschapshuis. 2013年12月8日閲覧。
  4. ^ Bevolkingsontwikkeling; regio per maand” [Population growth; regions per month] (Dutch). CBS Statline. CBS (2013年12月23日). 2013年12月24日閲覧。


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