GOES GOESの概要

GOES

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/23 03:24 UTC 版)

GOES-Nシリーズ


GOES-R シリーズ

GOES-17

NOAAは2016年11月19日にGOES-R[1]を打ち上げ、2017年12月18日より大西洋側のGOES-East(GOES-16)として運用を開始した。また、GOES-S(GOES-17)を2018年3月1日[2]に打ち上げ、2019年3月12日より、137.2°Wにて運用を開始した。

これまでのGOESシリーズと異なり、観測機器が大幅に更新され、GOES-Nシリーズより大型化、そして大容量の電力に対応した。製造はロッキードマーチンである。

ABI(Advanced Baseline Imager)
GOES 8~14のイメージャー (雲などの水平分布を観測) とサウンダー (温度、湿度などの鉛直分布の観測) を発展させた観測装置。全球観測を5分で観測出来るようにする(従来は24分要した)。また、観測チャンネルも波長帯で16チャンネルと大幅に増強される。Himawari-8/9のAHI(Advanced Himawari Imager)と同じようなところがある。

AHIは、GOES-Rシリーズで使用するABIのうち波長帯域を改造したもので、結果的にABIに先行する形で使用が始まった。

ABIによる観測ではGOES-Nシリーズまでと比べて拡張されている。観測間隔は全球観測にて3時間/回から、10分/回に増強。また、アメリカ本土地域の観測が30分/回から5分/回に増強され、新たにターゲット観測(MESO-1,MESO-2)も高頻度 [3]で観測できるようになった。

GOES-17では、ABIの冷却システムが影響し、太陽光の入射角によって大量のノイズが発生することが認められたため、通常の観測とは異なる冷却時間を設けた特別な観測スケジュールが組まれる。[4]このスケジュール変更は事前に告知される。

波長帯は、赤外4ch、可視1chの5chから、可視・赤外併せて16ch[5]に増やした上で、分解能を現状の4倍(縦横の分解能を各2倍に引き上げる)にした。
スキャン方式は、GOES-Nシリーズに近い格好であるが、スキャンできる南北方向の幅が広がったことにより、全球観測におけるスキャンにかかる時間を28分から15分にまで短縮でき、スキャン回数も大きく減らすことができた。また、全休1回当たりに、北米地域が3回分、ターゲット領域について30秒間隔でのスキャンができるようになっている[6][7]
バンドNo 波長帯
(μm)
波長の名称 波長の種類
01 00.47 可視
02 00.64 可視
03 00.86 植生帯 近赤外
04 01.37 上層雲系 近赤外
05 01.6 雪氷域 近赤外
06 02.2 雲粒 近赤外
07 03.9 近赤外ウインドウ 近赤外
08 06.2 対流圏上層水蒸気 赤外
09 06.9 対流圏中層水蒸気 赤外
10 07.3 対流圏下層水蒸気 赤外
11 08.4 雲頂面 赤外
12 09.6 オゾン 赤外
13 10.3 赤外(長波長ウィンドウ) 赤外
14 11.2 赤外(長波長ウィンドウ) 赤外
15 12.3 赤外(長波長ウィンドウ) 赤外
16 13.3 CO2 赤外
GLM(Geostationaly Lightning Mapper)
一部の極軌道衛星で搭載されている、雷光観測システムを静止衛星で観測出来るようにする。

Solar Ultra Violet Imager (SUVI)

Extreme Ultra Violet / X-Ray Irradiance Sensor (EXIS)

SEISS(Space Environmental In-Situ Suite)
現状のGOES-12、GOES-Nシリーズでのシステムを拡張して、X線短波長側も観測出来るようにする。
静止位置変更
太平洋側のGOES-WEST(現在は、GOES-15)がある西経135度から、GOES-S(GOES-17)シリーズから西経137.2度に変わる。GOES-Rシリーズが使用する電波周波数が、近傍の衛星と干渉が発生するとされたことと、GOES-Nシリーズとの干渉も併せて発生することから、国際機関の調整によって静止位置が変わる。


GRB(GOES Rebroadcast)
衛星経由で送信しているGOESの観測した画像が大幅に変わる。チャンネル数が増加したことから転送速度を格段に速くする。GVARでは、2.1Mbpsでダウンリンクしているが、GRBでは17.2Mbpsまで速度が上がる。
GVARを受信している利用者への影響が大きすぎることと、GOES-RシリーズからGOES-Nシリーズに急遽切り替える様なことが生じた場合の対策として、各チャンネルの画像のうち一部のチャンネルを抜き、直接衛星で受信している利用者へ配信するEGVAR(Emmurated GVAR)が配信される。EGVARは現行のGVARと互換性を持たせてあるので、これまでのGVAR受信設備でもGOES-Rシリーズから受信することが出来る。転送速度などに違いが生じることから、何らかの改造が必要になる。

仕様

最大寸法
長さ:6.1 m
高さ:5.6 m
奥行:3.9 m
質量
打上げ直後(軌道上初期):5,192 kg (GOES 16/17)
軌道上末期:2,857 kg (GOES 16/17)
寿命
約15年
電力
4,000W (最大)

GOES-16

GOES-16は、これまでのGOES-Nシリーズから移行し、大西洋側での運用を開始した。高頻度観測ができるようになったことで、熱帯低気圧(ハリケーンを含む)および前線上で発生する大規模な積乱雲に伴う悪天の監視に貢献している。ABIおよびGLMによる観測で重大な障害は起きていない。GOES-16に障害が発生したときは、南米北部上空に待機しているGOES-14が使用される。

GOES-17

GOES-17は運用開始当初、GOES-15との併用期間が設けられた。これは移行に際して、太平洋側に向けられている設備の更新が遅れたためである。この影響でGOES-15との併用が半年設けられ、その間に設備の改修などが進められた。
通常運用されていたGOES-17のABIにて2019年春、近赤外、水蒸気波長帯、赤外波長帯にて突如として画像が乱れる症状が発症し、一時的にGOES-15による観測に切り替えられた。原因はABIのセンサー冷却システムで冷却剤の流動性低下により、センサーの温度維持がふらつくためである。
低下する時期が太陽の直射光がセンサー内に入る、春秋期の夜間に起こることが判明[8]し、その間の観測運用が変更されることになった。2023年春にはGOES-18による観測となったことで、他のGOES予備として待機している。

GOES-N/O/Pシリーズ

GOS-15

GOES-N(後にGOES-13)は、試験を兼ねながら運用を開始した。 基本体系は、GOES-8-12を継承しているが、GOES-12で初めて搭載されたSXIイメージャーが全てに搭載される。衛星はボーイング社が開発・製造する。当初4機製作し打ち上げる予定であったが、2006年現在3機打ち上げに変更された。理由はGOES-Rシリーズの打上時期と重なってしまうため。電力も大幅にアップし、現在使用される電力は最大2kWクラス、衛星食時でも維持出来るよう、バッテリー容量も大幅にアップしている。

GOES-O(後のGOES-14)は、当初予定より5か月遅れ2009年5月に打ち上げられた。2010年4月より宇宙環境観測を開始している以外、待機モードで運用されている。2010年にはGOES-P(のちのGOES-15)が打ち上げられ、性能試験を行っている段階でスタンバイモードで運用される。

GOES-Nシリーズ共通仕様

総全長
8.4 m(太陽電池・本体含む)
高さ
9.1 m(本体・磁力計ブーム端)
奥行
2.9 m
質量
3.2 t(打上時)1.6 t(末期)
設計寿命
10年(運用8年)
電力
2 kW(運用時)1.95 kW(最大72分 衛星食バッテリー運用)
観測装置
光学観測装置(イメージャー)
特定波長大別観測(サウンダー)
太陽X線画像観測装置(SXIイメージャー)
磁力計
X線観測装置
高エネルギー計測装置
荷電粒子観測装置
プロトン・α線観測装置

  1. ^ “GOES-R”. NOAA/NASA. http://www.goes-r.gov/ 2013年11月4日閲覧。 
  2. ^ “NOAA’s GOES-S satellite roars into orbit”. NOAA. http://www.noaa.gov/media-release/noaa-s-goes-s-satellite-roars-into-orbit 2018年3月1日閲覧。 
  3. ^ ABI Scan Mode Demonstration Hurris
  4. ^ = NOAA “GOES-17 ABI Performance”. https://www.goes-r.gov/users/GOES-17-ABI-Performance.html = NOAA 2019年2月20日閲覧。 
  5. ^ = NOAA “GOES-R ABI Bands Quick Information Guides”. https://www.goes-r.gov/education/ABI-bands-quick-info.html = NOAA 2018年4月1日閲覧。 
  6. ^ = NOAA “GOES-East ABI Flex Mode (Routine) Schedule - Abridged”. http://www.ospo.noaa.gov/Operations/GOES/east/g16meso.html#note = NOAA 2018年4月1日閲覧。 
  7. ^ = HARRIS “ABI Scan Mode Demonstration”. https://www.youtube.com/watch?v=qCAPwgQR13w = HARRIS 2018年4月1日閲覧。 
  8. ^ GOES-17 ABI Performance NOAA
  9. ^ 木川誠一郎「運輸多目的衛星新1号のイメージャについて」(PDF)『気象衛星センター技術報告』第39号、2001年3月。ISSN 03889653NCID AN00331581国立国会図書館書誌ID:5777386https://www.data.jma.go.jp/mscweb/technotes/msctechrep39-3.pdf2018年4月24日閲覧 
  10. ^ CIMSS Satellite Blog 2021年3月
  11. ^ USSF and NOAA Begin Joint Operations of Infrared Weather Satellite 2020年9月
  12. ^ CIMSS Satellite Blog 2021年3月
  13. ^ a b c Notification of GOES-12 (GOES-South America) Decommissioning 2013年7月9日関係国向け告知より
  14. ^ GOES-17 Post-Launch Testing and Transition to Operations 2018年10月
  15. ^ NOAA’s GOES-T blasts into orbit Earth from Orbit: NOAA’s GOES-18 is now GOES West 2023年1月4日
  16. ^ GOES HISTORY”. GOES-R. 2021年3月28日閲覧。
  17. ^ 総覧 世界の地球観測衛星 Web版 等を参照。
  18. ^ GOES-1”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年5月12日). 2009年6月23日閲覧。
  19. ^ a b GOES-2”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  20. ^ a b GOES-3”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  21. ^ GOES-4”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  22. ^ GOES-5”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  23. ^ a b GOES-6”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  24. ^ GOES-G”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  25. ^ GOES-7”. ESE 40th Anniversary. NASA (1999年4月22日). 2009年6月23日閲覧。
  26. ^ NOAA retires GOES-7 after 25 years as a weather and communications satellite NOAA 12 April 2012
  27. ^ GOES-8 STATUS”. NASA (2004年4月15日). 2009年6月23日閲覧。
  28. ^ GOES-9 STATUS”. NASA (2007年6月14日). 2009年6月23日閲覧。
  29. ^ NOAA Deactivates GOES-10 after 12 Years of Tracking Storms”. NOAA (2009年12月2日). 2009年12月3日閲覧。
  30. ^ Tomorrow's Operational GOES-West Transition Plan (GOES-11 to GOES-15), Issued: December 5, 2011, 1915 UTC”. NOAA. 2011年12月6日閲覧。
  31. ^ GOES 14 Operational Status”. NOAA (2015年1月15日). 2021年3月28日閲覧。
  32. ^ GOES 15 Operational Status”. NOAA (2019年2月28日). 2021年3月28日閲覧。
  33. ^ GSpace Force accepts second weather satellite through NOAA partnership”. USSF (2023年9月22日). 2023年10月25日閲覧。
  34. ^ GOES-16 wikipedia english gpage
  35. ^ GOES Operational Status”. NOAA. 2021年3月28日閲覧。
  36. ^ GOES-17 wikipedia english gpage
  37. ^ GOES Operational Status”. NOAA. 2023年1月7日閲覧。
  38. ^ GNOAA's GOES-18 Satellite”. NOAA. 2022年3月3日閲覧。
  39. ^ Earth from Orbit: NOAA’s GOES-18 is now GOES West”. NOAA. 2023年1月7日閲覧。



Goes!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/08 03:52 UTC 版)

Goes!』(ゴーズ)は、プチレーヴより2014年8月27日から2015年2月25日にかけて発売されたドラマCDシリーズおよびそれを原作とするPlayStation Vita用ゲームソフト。 本項では2015年11月26日に発売されたPlayStation Vita用ゲームソフト(以下ゲーム版)についても開設する。




「Goes!」の続きの解説一覧

フス (オランダ)

(GOES から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/23 22:42 UTC 版)

フスオランダ語: Goes [ɣus] ( 音声ファイル))は、オランダ南西部のゼーラント州のゾイト=ベーフェラント島にある基礎自治体(ヘメーンテ)および都市。後者の人口は約2万7000人である。


  1. ^ Samenstelling B&W” [Members of the board of mayor and aldermen] (Dutch). Gemeente Goes. 2013年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月10日閲覧。
  2. ^ Kerncijfers wijken en buurten” [Key figures for neighbourhoods] (Dutch). CBS Statline. CBS (2013年7月2日). 2013年7月11日閲覧。
  3. ^ Postcodetool for 4461GE” (Dutch). Actueel Hoogtebestand Nederland. Het Waterschapshuis. 2013年12月8日閲覧。
  4. ^ Bevolkingsontwikkeling; regio per maand” [Population growth; regions per month] (Dutch). CBS Statline. CBS (2013年12月23日). 2013年12月24日閲覧。


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