CLANNAD (ゲーム)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/02 05:43 UTC 版)
スタッフ
- 企画 - 麻枝准[9]
- シナリオ - 麻枝准[9]、涼元悠一[9]、魁[9]、(丘野塔也)
- 原画 - 樋上いたる[9]
- 音楽 - 折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准[9]
- エグゼクティブプロデューサー - 馬場隆博(株式会社ビジュアルアーツ代表取締役社長)
主題歌・音楽
- オープニングテーマ「メグメル」
- 作詞・歌 - riya[9] / 作曲 - eufonius[9] / 編曲 - kiku[9] / Mix - 大久保将
- エンディングテーマ「-影二つ-」
- 作詞 - 魁[9] / 作曲・編曲 - 戸越まごめ[9] / 歌 - riya[9]
- 挿入歌 『Ana』
- 作詞 - 萩原ゆう[9] / 作曲 - traditional[9] / 編曲 - 戸越まごめ[9] / 歌 - Lia[9]
- オーラスエンドテーマ「小さなてのひら」
- 作詞・作曲 - 麻枝准[9] / 編曲 - 戸越まごめ[9] / 歌 - riya[9]
批評
ライターの佐藤心は、本作には個々のシナリオで失敗しているとみられる箇所はみられるとしながらも、一ノ瀬ことみのシナリオを除けば全体的にトラウマの描写が禁欲的であることがそれ以前のKey作品からの変容であり、その意識は評価できると述べている[10]。
評論家の更科修一郎は、本作のシナリオライターである麻枝准の傾向として「テーマに対して真正面から向き合うがゆえに、物語上の落とし穴に落ちると、そのミスを引きずって歪んだまま物語が終わってしまう」「ただ、いままではその歪みがカルトな魅力になっていた」ということを指摘しつつ、その傾向が薄くなった本作はそれによって評価がわかれるのだと説明している[11]。
批評家の東浩紀によると、本作と前作の『AIR』はともに「家族の再生」をテーマとしているがその描き方は正反対であるという。『AIR』の場合、主人公が(あるいはプレイヤーが)ヒロインの悲劇を傍観するほかないという構造を持っており[注 5]、それがプレイヤーであるオタク層に対して「父にはなれない」というラディカルなメッセージとして機能したのに対し(「父になる」とは異性からの承認を受けて社会化するということの比喩)、本作では主人公の岡崎朋也がヒロインの古河渚と結婚するなど「父になれる」という正反対の保守的なメッセージを帯びている。そのため、『AIR』がオタクの解離的な態度に対する批判的な側面を持っていたにもかかわらずヒットしたのに比べると、オタクの欲望を再強化する形のメッセージを帯びた本作がヒットするのはごく自然なことだという[12]。
アダルトゲーム雑誌BugBugの2022年のアンケート「あなたが美少女ゲームにハマるきっかけになったタイトルは?」において、「CLANNAD」が8位となった。[13]
劇場版
2007年9月15日に東映アニメーションによる劇場版アニメが公開された。
2006年4月にKeyの公式サイトで製作の決定が発表された。しかし、東映が積極的なPR・宣伝活動を開始したのはその約1年後からである。監督は劇場版『AIR』の監督でもある出崎統が務めている。
前作『AIR』への意見を踏まえてか、本作ではさらに原作に近い構成を意識したつくりとなっている。劇場パンフレット等の解説で、その意向が垣間見える。一方で前作と同じく「もう一つのCLANNAD」というコンセプトは変わらず引き継がれ、独自解釈に基づく世界観や設定の大幅な再構成も行われた。その後、監修であるKeyに確認をとったうえで完成した。上述の通り発表は一年前に行われていたが、製作時間には余裕がなかったという。
上映時間の制約やストーリー進行上、原作の登場キャラクターの多くが削られている。このことはAIRリバイバル上映の際に配られたチラシで、だんご大兄弟のブログ作成者が触れている。ただしことみは台詞なしでゲスト出演しており、風子はデザイン画のみ存在する。
東京単館(ミニシアター)公開作品の週末観客動員数ランキング(ぴあ調べ)で初登場第1位を記録。その後もロングランや公開拡大等が行われた。
2008年3月7日に当作品のDVD版が3種類(通常版、コレクターズエディション、スペシャルエディション)発売された[14]。後者2つは付属特典が異なる。
制作スタッフ
- 原作・監修 - ビジュアルアーツ / Key
- 監督 - 出崎統
- 脚本 - 中村誠
- キャラクター原案 - 樋上いたる
- キャラクターデザイン - 門之園恵美
- コスチュームデザイン補 - 堀江由美
- 作画監督 - 大西陽一
- CGディレクター - 吉安徹
- 美術デザイン - 河野次郎
- 美術監督 - 杦浦正一郎
- 色彩設定 - 辻田邦夫
- 原曲 - 折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准
- 音楽 - 猪股義周
- 音楽監督 - 鈴木清司
- 音響監督 - 山田知明
- デジタル撮影監督 - 三晃プロダクション 福田岳志、白鳥友和
- 編集 - 後藤正浩
- 製作担当 - 杉本隆一
- 製作 - 東映アニメーション、フロンティアワークス
主題歌
- オープニングテーマ「メグメル」
- 作詞・歌 - riya / 作曲 - eufonius / 編曲 - kiku / Mix - 大久保将
- エンディングテーマ「小さなてのひら 〜eufonius Ver.〜」
- 作詞・作曲 - 麻枝准 / 編曲 - 菊地創 / 歌 - eufonius
- エンディングテーマ・イメージソング「マルメロ 〜fildychrom〜」
- 作詞 - riya / 作曲・編曲 - 菊地創 / 歌 - eufonius
- エンディングテーマ・挿入歌「だんご だんご だんご」
- 作詞 - 出崎統 / 作曲・編曲 - 猪股義周 / 歌 - 付属光坂高等学校在校生
- スペシャルイメージソング「約束」
- 作詞 - こさかなおみ / 作曲 - 大森俊之 / 編曲 - 菊地創 / 歌 - Lia
- 「メグメル 〜frequency⇒e Ver.〜」
- 作詞・歌 - riya / 作曲 - eufonius / 編曲 - kiku
エンディングは、「小さなてのひら」→「マルメロ」→「だんご だんご だんご」の順で曲がメドレーしていく、なお、前売り券やサウンドトラックに収録されているメグメルのアレンジバージョンである「メグメル 〜frequency⇒e Ver.〜」、そしてイメージソングの「約束」は、本編未使用。
劇中において「だんご だんご だんご」は渚が歌っているが、そのバージョンはコレクターズBOXに収録された。
その他
- 本編上映に先立ち、渚より劇場内の注意事項について説明アナウンスがなされる。これは、各映画館独自の注意事項アナウンスに追加する形で上映される。渚のほかにも智代・杏バージョンが存在するが、これらは池袋シネマサンシャイン限定だった。なお、これらはDVDスペシャルエディション版特典DVDに収録されている。
- 池袋シネマサンシャインでは最長期間のロングラン公開が行われ、最終上映ではファン感謝祭の開催場所になった。また、公開直前には前作・劇場版『AIR』のリバイバル上映も行われている。
- 本編には登場していないが、『AIR』のリバイバル上映の際には風子のデザイン画が掲載されたチラシが全員に配布されている。
- 後に発売されたサウンドトラックには、前作『AIR』には収録されていた「原作BGMのアレンジバージョン」が収録されず、本作のために製作された楽曲のみとなった。アレンジBGMを収録したCD等は、その後リリースされていない。
注釈
- ^ その後電撃G's Festival! COMICにて移籍連載)」においてしゃあの作画、「コミデジ+」において藤井理乃の作画(タイトル『CLANNAD 〜光見守る坂道で〜』)にてもそれぞれ連載された。
- ^ VA購買部出張所では2013年8月10日より先行発売。
- ^ 主にキャラクターの登場シーン等で再生される。
- ^ エンディングクレジットでは「シマ猫」と表記。
- ^ AIR (ゲーム)#批評も参照。
- ^ なおその後、2010年1月9日25時30分(1月10日1時30分)にTBSチャンネルにおいてテレビ初放送されている。
- ^ 翌日にアニメ公式サイトで完売が発表された。
- ^ 規格品番:FCCM-0198、発売元:フロンティアワークス。
- ^ 発行日(出版年月日)が国会図書館サーチでは2013年8月と先行発売における日付になっている。
出典
- ^ 『ファミ通ゲーム白書2007』エンターブレイン、2007年、397頁。ISBN 978-4-7577-3577-4。
- ^ 『ファミ通ゲーム白書2012 補完データ編(分冊版)』エンターブレイン、2012年。
- ^ “ついにPS3に移植決定!『CLANNAD -クラナド-』”. ファミ通.com. エンターブレイン (2010年4月3日). 2014年6月21日閲覧。
- ^ 過去に劇場版『AIR』を制作した。
- ^ “ミニシアター観客動員数ランキング第1位になりました!”. 劇場版 CLANNAD ウラサイト. 劇場版 CLANNAD -クラナド- OFFICIAL SITE (2007年9月27日). 2014年6月21日閲覧。
- ^ 過去にTVアニメ版『AIR』、『kanon』(第2作)も制作した。
- ^ “「光の軌跡 〜CLANNAD 10th Anniversary Art Book〜」|Key Official HomePage”. CLANNAD 10th Anniversary 特設サイト. Key (2013年4月12日). 2014年12月4日閲覧。
- ^ “『CLANNAD -クラナド-』コラボキャンペーン!”. 2019年9月27日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 『リスアニ! Vol.49.2』 ソニー・ミュージックソリューションズ、2022年9月29日発行・発売、88頁、ISBN 978-4-7897-7346-1
- ^ 『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』、266-267頁。
- ^ 『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』、269頁。
- ^ 『文学環境論集 東浩紀コレクションL』、666-673頁。
- ^ “【BugBug】「あなたが美少女ゲームにハマるきっかけになったタイトルは?」 3月号掲載の美少女ゲーム売上げランキング&1月号で募集した読者アンケート結果を大発表!!”. BugBug (2022年3月2日). 2022年3月9日閲覧。
- ^ “2008年3月7日 DVD(2バージョン)同時発売!!”. 劇場版 CLANNAD −クラナド− OFFICIAL SITE. VisualArt's/Key/東映アニメーション/フロンティアワークス. 2010年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月8日閲覧。
- ^ “「CLANNAD AFTER STORY」パン缶発売!! 昨年以上の売れ行きで秋葉原駅は祭り状態に”. アキバ総研. カカクコム (2008年10月1日). 2015年9月10日閲覧。
- ^ “田村淳、CLANNADに感動「ヤバイくらいに泣きました…」「CLANNADは人生」 最初は「絵が苦手だなぁと思ってた」”. キャリコネニュース. 2019年6月9日閲覧。
- ^ “ロンブー田村淳、ついにアニメ「CLANNAD」を完走 「ヤバイくらいに泣きました」と人生を学ぶ”. ねとらぼ. 2019年6月9日閲覧。
- ^ “『CLANNAD』田村淳以外も!山本彩にハライチ岩井…有名人ガチオタエピソード6選”. ニコニコニュース. 2019年6月9日閲覧。
- ^ “ドラマCD「CLANNAD 光見守る坂道で」”. Prototype. 2013年4月23日閲覧。
- ^ “光の軌跡 〜CLANNAD 10th Anniversary Art Book〜”. CLANNAD 10th Anniversary 特設サイト. Key. 2014年12月4日閲覧。
- ^ “STAFF/CAST”. TVアニメ「かぎなど」オフィシャルサイト. 2021年9月24日閲覧。
- ^ 馬場隆博(@vavasyatyou) (2014年11月11日). “『CLANNAD』の英語化について...”. twitter. 2014年11月20日閲覧。
- ^ “『CLANNAD』英語版のクラウドファンディングが開始されました”. Key Official HomePage. Key (2014年11月11日). 2014年11月26日閲覧。
- ^ 馬場隆博(@vavasyatyou) (2014年11月11日). “おかげさまをもちまして...”. twitter. 2014年11月30日閲覧。
- ^ “「CLANNAD」が公式英語版製作のために出資募集、わずか数日で2000万円以上が集まり海外ファンからは「夢が叶ったよ!」「智代アフターも翻訳して欲しいな」の声”. GIGAZINE. OSA (2014年11月13日). 2014年11月20日閲覧。
- ^ “CLANNAD英語化 チャレンジ目標追加のお知らせ”. Key Official HomePage. Key (2014年12月19日). 2014年12月20日閲覧。
- ^ “Steam『planetarian』がセール開始!(後半部分)”. Key Official HomePage. Key (2014年11月27日). 2014年12月20日閲覧。
- ^ “『CLANNAD』英語化 チャレンジ目標2達成のお知らせ”. Key Official HomePage. Key (2014年12月22日). 2014年12月22日閲覧。
- ^ 馬場隆博(@vavasyatyou) (2014年1月3日). “【自動配信】『CLANNAD』の英語化ついに目標38万ドル達成し...”. twitter. 2014年1月4日閲覧。
- ^ “CLANNAD Anthology Manga Stretch Goal Achieved!” (英語). CLANNAD Official English Release by sekaiproject. Kickstarter (2015年1月1日). 2015年1月3日閲覧。
- ^ “『CLANNAD』英語化 チャレンジ目標3達成のお知らせ”. Key Official HomePage. Key (2015年1月5日). 2015年1月6日閲覧。
- ^ “$400,000 in funding reached!” (英語). CLANNAD Official English Release by sekaiproject. Kickstarter (2015年1月2日). 2015年1月3日閲覧。
- ^ “『CLANNAD』英語版のクラウドファンディング 明日早朝終了!”. Key Official HomePage. Key (2015年1月9日). 2015年1月10日閲覧。
- ^ “Final 24 hours and message from Shinji Orito + Jun Maeda + Itaru Hinoue!” (英語). CLANNAD Official English Release by sekaiproject. Kickstarter (2015年1月9日). 2015年1月10日閲覧。
- ^ “Thank you backers!” (英語). CLANNAD Official English Release by sekaiproject. Kickstarter (2015年1月10日). 2015年1月10日閲覧。
- ^ 馬場隆博(@vavasyatyou) (2015年1月10日). “『CLANNAD』のクラウドファンディングは無事終了いたしました”. twitter. 2015年1月13日閲覧。
- ^ “The Grisaia Trilogy: Three Huge Visual Novels for PC” (英語). kickstarter. 2015年5月4日閲覧。
- ^ “Steam:CLANNAD”. Steam (2015年11月24日). 2016年7月23日閲覧。
- ^ “『CLANNAD』簡体中国語版リリース”. Key 公式サイト. 2019年10月18日閲覧。
- CLANNAD (ゲーム)のページへのリンク