鉄器時代 日本の鉄器時代

鉄器時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/22 05:34 UTC 版)

日本の鉄器時代

日本で発掘された最も古い鉄器は、弥生時代初期(紀元前10世紀頃)のものとされ、福岡県糸島市二丈町の石崎曲がり田遺跡で出土した鋳造板状鉄器である[4]。石崎曲がり田遺跡は1979年の発掘調査により、稲作の始まりを裏付ける土器群や石器、竪穴建物、支石墓、甕棺墓などが発掘され、従来考えられていたよりもさらに古い時期から我が国で鉄器が使用されていた可能性が高くなっている。

埼玉県立さきたま史跡の博物館展示。左は表面、右は裏面。471年製造と考えられている

日本は、弥生時代に青銅器と鉄器がほぼ同時に流入しており、『魏志(「魏書」第30巻烏丸鮮卑東夷伝倭人条)』などによればその材料や器具はもっぱら輸入に頼っており[要出典]、日本で純粋に砂鉄・鉄鉱石から鉄器を製造出来るようになったのはたたら製鉄の原型となる製鉄技術が朝鮮半島から伝来し、確立した6世紀古墳時代に入ってからとの考えが一般的であった。製鉄遺跡は中国地方を中心に北九州から近畿地方にかけて存在する。7世紀以降は関東地方から東北地方にまで普及する。日本においては鉄器と青銅器がほぼ同時に伝来したため、耐久性や鋭利さに劣る青銅器は祭器としての利用が主となり、鉄器はもっぱら農具や武器といった実用の道具に使用されることとなった。

鉄器時代の訪れなかった地域

鉄器は旧大陸のオリエント地域で出現し、そこから世界各地へと伝播していったため、この地域と接触のない文化においては鉄器製造技術は伝播せず、鉄器時代を迎えることはなかった。代表的な無鉄器文明としては、新大陸のすべての文明が挙げられる。アステカ帝国マヤ文明に代表されるメソアメリカ文明も、インカ帝国に代表されるアンデス文明も、青銅器の利用すら装飾品としての利用にとどまり、金属加工レベルとしては金石併用時代にとどまっていて、製鉄技術を開発することはなかった[5]。南北アメリカ大陸に鉄器が到達するのは15世紀末のヨーロッパ人の大西洋横断を待たねばならず、その後も両文明は滅亡まで鉄器製造技術を手に入れることはなかった。鉄器を装備したスペイン人の一隊によって両文明が滅ぼされたのち、やってきたヨーロッパからの植民者たちによってはじめて新大陸に鉄器は普及することとなった。また、太平洋に広がったポリネシア人の文明も、小島嶼群という地域特性上、鉄鉱石の鉱脈がほぼ存在しなかったために金属を手に入れることができず、ヨーロッパ人との接触まで新石器時代の技術レベルにとどまった[6]

時代区分


  1. ^ 「文明の誕生」p128-129 小林登志子 中公新書 2015年6月25日発行
  2. ^ 「新書アフリカ史」第8版(宮本正興・松田素二編)、2003年2月20日(講談社現代新書)p126
  3. ^ 「新書アフリカ史」第8版(宮本正興・松田素二編)、2003年2月20日(講談社現代新書)p60
  4. ^ 藤尾慎一郎. “AMS-炭 素14年代測定法が明らかにした日本の鉄の歴史”. 2022年5月23日閲覧。
  5. ^ 「マヤ文明 密林に栄えた石器文化」p21 青山和夫 岩波新書 2012年4月20日第1刷
  6. ^ 「オセアニアを知る事典」平凡社 p269 1990年8月21日初版第1刷


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