適正技術とは? わかりやすく解説

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適正技術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/02 21:01 UTC 版)

適正技術(てきせいぎじゅつ、: appropriate technology)とは、その社会の与えられた環境条件ニーズに最も有効である技術、その技術の選択に対する考え方のことである[1]。特に、国際協力の分野では、途上国への技術移転を実施する際に、当該技術が途上国の経済や技術環境などの諸条件と合致した技術やその技術の選択を指す[2]第二次世界大戦の終結から冷戦の期間に、先進国から途上国へ活発に技術移転が行われたが、その成果が社会全体に波及せず、経済格差の是正も進展しなかった[1]。また先進国と途上国の経済格差も縮小することなくむしろ拡大した[1]。このような多額の資金が必要となる近代技術の開発途上国への移転が失敗してきたという認識から、「途上国の発展や貧困を解消するためにどのような技術が必要か」という問題意識のもとで議論されている事柄である[3]。ただし適正技術の定義は論者によって異なり、また時代の変遷に応じて変化し、確立した厳密な定義は存在していない[4]


注釈

  1. ^ エルンスト・フリードリッヒ・シューマッハーは、1963年にインドを訪問しており、この時にマハトマ・ガンディーの思想の影響をうけたと考えられている[5]
  2. ^ ラングドン・ウィナーは実際に行うことは極めて困難だと考えており、「(適正技術を導入例として示されるような)小さい町にすむものならばだれでも知っていることだが、小さい共同体というものは他のどんな社会よりも、『技術的問題や社会的問題に対する多様な解決』を実行したがらないものである」と論じた[36]
  3. ^ 薪ストーブが広く普及したために、いくつかの地域では深刻な大気汚染が生じたことなどを例として挙げている[36]コブラ効果も参照。

出典

  1. ^ a b c 開発経済学事典 (2004, p. 358)
  2. ^ a b c 国際協力用語集 (2014, p. 209)
  3. ^ 田中、適正技術と代替社会 (2012, p. 32)
  4. ^ a b アジアの内発的発展 (2001, p. 176)
  5. ^ a b c d e 適正技術と経済開発 (1986, p. 5)
  6. ^ a b 科学技術を人間学から問う (2009, p. 94)
  7. ^ 中山、科学と社会の現代史 (1981, p. 148)
  8. ^ a b c d e f g アジアの内発的発展 (2001, p. 180)
  9. ^ 宇井、加害者からの出発 (2014, p. 56)
  10. ^ a b 宇井、加害者からの出発 (2014, p. 171)
  11. ^ 宇井、加害者からの出発 (2014, p. 165)
  12. ^ a b c 宇井、加害者からの出発 (2014, p. 166)
  13. ^ a b c 宇井、加害者からの出発 (2014, p. 168)
  14. ^ 宇井、加害者からの出発 (2014, p. 169)
  15. ^ アジアの内発的発展 (2001, p. 177)
  16. ^ スモール イズ ビューティフル (1986, pp. 236–237)
  17. ^ a b c スモール イズ ビューティフル (1986, p. 231)
  18. ^ a b c スモール イズ ビューティフル (1986, p. 232)
  19. ^ スモール イズ ビューティフル (1986, p. 204)
  20. ^ a b アジアの内発的発展 (2001, p. 178)
  21. ^ 経済発展と技術選択 (1990, p. 19)
  22. ^ a b 適正技術と経済開発 (1986, p. 8)
  23. ^ a b c d 適正技術と経済開発 (1986, p. 9)
  24. ^ a b c d e f g 適正技術と経済開発 (1986, p. 10)
  25. ^ a b c d e f 適正技術と経済開発 (1986, p. 11)
  26. ^ a b 田中、適正技術と代替社会 (2012, p. 33)
  27. ^ a b c d 適正技術と経済開発 (1986, p. 12)
  28. ^ 適正技術と経済開発 (1986, p. 29)
  29. ^ a b c d e f 適正技術と経済開発 (1986, p. 13)
  30. ^ オルターナティブ・テクノロジー 技術変革の政治学 (1980, p. 39)
  31. ^ a b c d e f 適正技術と経済開発 (1986, p. 16)
  32. ^ 中山、科学と社会の現代史 (1981, p. 159)
  33. ^ a b 適正技術と経済開発 (1986, p. 17)
  34. ^ a b 鯨と原子炉 (2000, p. 109)
  35. ^ 鯨と原子炉 (2000, p. 110)
  36. ^ a b c 鯨と原子炉 (2000, p. 127)
  37. ^ 鯨と原子炉 (2000, p. 125)
  38. ^ 鯨と原子炉 (2000, p. 126)
  39. ^ 鯨と原子炉 (2000, p. 141)
  40. ^ A.Smith, The Alternative Technology Movement (2005)
  41. ^ a b 鯨と原子炉 (2000, p. 128)
  42. ^ a b アジアの内発的発展 (2001, p. 199)


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