遅刻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 04:27 UTC 版)
時差や夏時間による遅刻
海外への出張や旅行などの場合、時差を失念すると遅刻を引き起こすことがある。アメリカなどでは州によって数時間の誤差が生じる(アメリカ国内では最大4時間、ロシアでは最大10時間。)ために、時計を修正することが必要である。また、渡航地域によっては夏時間による時間のずれも生じる。
スポーツやテーブルゲーム等における遅刻
スポーツの試合や対局を行うテーブルゲームなど相手がいる競技においても遅刻をしないことは原則であるが、遅刻した場合の扱いは、競技やゲームの種類による。
チェスは、試合開始の時刻と定められた時刻に、対局時計の先手側(つまり白色側)の時計を作動させ始め、持ち時間が減ってゆく。あらかじめそれぞれの持ち時間は30分と決められた試合では、先手が10分遅刻して到着すれば、すでに10分を消費した扱いになり残り20分の状態で初手を打ち始めることになる[6]。30分遅刻した段階で持ち時間ゼロという扱いになる[6]。
スポーツの場合は、一定時間の遅刻をすると、放棄試合や失格等の措置が取られ不戦敗となり、ペナルティーが課せられる事が多い。
- 日本の公認野球規則の規定では、球審が試合開始時刻にプレイを宣告してから、一方のチームが5分を経過してもなお競技場に出ない場合には没収試合となる。
- 囲碁の場合は、日本棋院の規定では、囲碁棋士が対局に遅刻した場合は遅刻時間の3倍の時間を持ち時間から引かれる。また原則として1時間の遅刻で不戦敗となる。
- 将棋の場合は、日本将棋連盟の規定では、将棋棋士が対局に遅刻した場合は遅刻時間の3倍の時間を持ち時間から引かれ、それにより持ち時間が無くなった場合は不戦敗となる。また、2013年に規定が改正され、たとえ持ち時間が3時間以上の棋戦であっても、1時間の遅刻で不戦敗とされるようになった[7]。
戦略・戦術的な遅刻
ロシアの大統領のウラジーミル・プーチンは首脳会談などで毎回遅刻することで有名である[8]。
2016年ころにドイツの調査会社がイギリスのインデペンデント紙の依頼でまとめた「ウラジミール・プーチンの会談の遅れぶり概算表」によると、最も長くプーチンに待たされた首脳はドイツのメルケル首相で、2014年に4時間15分の遅刻を記録。2位は僅差で、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ前大統領の4時間。3位は同率が3人おり、安倍晋三首相(当時)、ユーリヤ・ティモシェンコ元ウクライナ首相、ルカシェンコ・ベラルーシ大統領それぞれ3時間(2016年)だった。安倍首相は、2018年も2時間半待たされたことにより、その時点で累計記録でトップに立った可能性もあった[8]。
プーチンが遅刻する理由については、要人をあえて待たせることにより、自身の権威を高める「政治的なパワープレイ」だという指摘も多い[8]。米国大統領のドナルド・トランプも時刻を守らないことで知られていたが、ヘルシンキでの首脳会談では、プーチンのほう待ちぼうけを食らわせたことで、アメリカ大統領を「上回った」とビジネス・インサイダー誌は表現したという[8]。Newsweek誌もプーチンが遅刻するのは意図的常套手段であり、それにより会談を出だしから有利に進めることができると判断しているという[9]。
北朝鮮の指導者は(金正日も金正恩も)、友好国の中国へと専用列車で移動する時に、予定よりもわざと遅れて動いたり、逆に予定よりも早く動くということを繰り返し、事前に公表した予定どおりに動くことは意図的に避けている。一説によると、わざと気まぐれに遅刻したり早く動くことで、線路ごと爆破されて暗殺されることを防いでいるという。中国のメディアは2004年のリョンチョン駅列車爆発事件も金正日の暗殺を狙った事件と言う[10]。息子の金正恩に対しても、正恩を憎む北朝鮮国内の人物によって、専用列車を爆破する暗殺計画が練られたが、未遂に終わったという[11]。
- ^ 広辞苑第六版
- ^ a b c 『定刻発車 日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか』
- ^ a b c http://www.careerbuilder.com/share/aboutus/pressreleasesdetail.aspx?id=pr676&sd=1%2F12%2F2012&ed=12%2F31%2F2012
- ^ a b c d e 『遅刻の誕生』
- ^ a b “相談窓口担当者のための「多文化」ってこういうこと”. 公益財団法人 愛知県国際交流協会. 2020年12月5日閲覧。
- ^ a b [1]
- ^ 田丸の勝率、里見香奈女流四冠へのコメントと遅刻の罰則規定について - 田丸昇、2013年9月2日(2013年12月5日閲覧)。
- ^ a b c d [2]
- ^ Newsweek, 遅刻魔プーチンの本当の「思惑」とは
- ^ [3]
- ^ [4]
- 1 遅刻とは
- 2 遅刻の概要
- 3 概説
- 4 時差や夏時間による遅刻
- 5 日本史における有名な遅刻
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