踊る大捜査線
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作品概要
本作のタイトルは、映画『夜の大捜査線』と『踊る大紐育』に由来する[注 1]。なお、同局で過去に放送していた杉良太郎主演の『大捜査線』とは無関係。
織田裕二が演じる青島俊作巡査部長(後に係長、警部補に昇進)が主人公の「警察ドラマ」。連続ドラマ版放映開始当時までの刑事ドラマは、犯人の逮捕までを追う描写が多く、また銃撃戦やカーチェイスといった派手な追跡劇や所轄警察署が広域事件・テロ事件を解決させるといったような、エンターテイメント性を重視した描写が主流であったが、当作品ではそれらの要素を可能なかぎり排除し現実の警察組織と近い業務形態や実情を採用した作風となっている。より現実味ある描写をメインとし、警察機構を会社組織に置き換え、署内の権力争いや本店(=警視庁)と支店(=所轄署)の綱引きなどを、湾岸警察署を中心に描いている。本作品で登場した具体的な例としては、刑事のことを「デカ」ではなく「捜査員」と呼ぶ、加害者のことを「ホシ」ではなく「被疑者」と呼ぶ、「発砲許可」に対して手続きが存在するなどである。
青島刑事以外にも恩田すみれ(深津絵里)・和久平八郎(いかりや長介)・真下正義(ユースケ・サンタマリア)などの湾岸警察署員や事件の被害者でのちに刑事となる柏木雪乃(水野美紀)、湾岸警察署の署長ら三人組(通称『スリーアミーゴス』)、警察庁のキャリア・室井慎次(柳葉敏郎)らにもスポットライトが当てられる。
事件を追うだけでなく、警察の抱えるさまざまな内部矛盾、特に警察組織の厳格なキャリア制度の問題、官僚主義の問題、縦割り行政の問題、民事不介入の問題も大きなテーマとなっている。これら警察に関するリアルな描写は、以降の刑事ドラマ全般にも多大な影響を与えた。
連続ドラマ版(1997年)放映当初は決して高視聴率とは言えなかった。しかし、ドラマの視聴率が次第に上昇する中でプロデューサーの亀山が上司に対して「最終回の視聴率が20%を超えたら映画化してよい」との約束を取り付け、実際に最終回の視聴率が20%を超えたため映画化が実現した[1]。連続ドラマ終了後、2本のスペシャルドラマ版と1本の番外編ドラマを経て映画化され、第1作・第2作ともに記録的なヒットとなった。映画の第1作から第2作までの間は、見えないストーリーが進行されていて、色々なエピソードが第2作で刑事らのセリフとして登場する(潜水艦事件など)。
2005年には映画版第2作の内容と連動した外伝的物語「踊るレジェンド」として『交渉人 真下正義』、『容疑者 室井慎次』が映画公開された。更に、2005年から2006年にかけて『交渉人 真下正義』の前日談として『逃亡者 木島丈一郎』が、『容疑者 室井慎次』の後日談として『弁護士 灰島秀樹』が、2007年には『トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜』との共同制作である短編『警護官 内田晋三』がテレビ放送された。
2010年に7年ぶりに、『THE MOVIE 3』を映画公開。その、スピンオフとして『係長 青島俊作』を携帯ドラマとして発信。
2012年、14年ぶりとなるスペシャルドラマ『THE LAST TV』を放送、『THE FINAL』を映画公開、シリーズ15年の歴史に幕を閉じた。
2023年12月、本作の続編が、2025年の映画公開に向けて、早ければ2024年2月にもクランクインする予定だと報じられた[2]。
2024年3月18日、劇場版最終作の公式サイトが「映画『室井慎次』公式サイト」に変更され、「『踊るプロジェクト』再始動――2024年秋公開.」などとする情報が解禁された[3][4]。
注釈
- ^ いかりや長介『だめだこりゃ』p.200-201に、いかりやがプロデューサーの亀山に尋ねたときの会話が掲載されている。
- ^ (同クールにフジテレビが放映していた恋愛ドラマ(月曜9時枠「バージンロード」のこと)の視聴率が比較的よかったため、同じ恋愛ものをぶつけるのは足の引っ張り合いになりかねない)
- ^ テレビシリーズのオープニングのプロフィールがB型になっている。現在のプロフィールではA型。
- ^ この回では、犯人確保時に犯人がバタフライナイフを出すシーンがある。このナイフを使った殺傷事件が発生して以降は再放送ではこのシーンでモザイク処理が掛けられていたが、事件が風化した2012年現在は特に処理は掛けられていない
- ^ 木村多江に関しては映画本編に出ているものの看護師役である。
- ^ 事件発生は1997年3月17日18時59分
- ^ 後半の一部はその数か月後の時間軸である。
- ^ 冒頭で12月21日の字幕が出るため、少なくとも同日を含めた数日間である。
- ^ 『危機一髪』自体はこの他、ドビュッシー『海』の一節を用いるなど様々な有名曲メロディの集合体のような曲である。
- ^ 権利の関係から、VHSやDVD等では別の曲へ変更されている。
- ^ 演じているのは元プロ野球選手・近藤昭仁と女優の北沢典子の次女で女優の近藤典子である。
- ^ THE MOVIE2ではすみれが青島に公務災害の申請書を渡していた。
- ^ 実際の東京湾岸警察署は東京水上警察署の機能を引き継いだため、東京都区部の沿岸地域全体や東京港、河川なども管轄する中規模警察署である。
出典
- ^ 君塚良一『「踊る大捜査線」あの名台詞が書けたわけ』朝日新書307、朝日新聞出版、2011年7月、p. 82。 ISBN 978-4-0227-3407-5
- ^ https://news.yahoo.co.jp/articles/9e113db0ee5ca15cf78db1552b9b0d7448f14996 難色示していた織田裕二もGO『踊る大捜査線』続編報道にSNS歓喜「今度はどんな名言が?」 2024年2月9日
- ^ 令和の時代に「踊る大捜査線」トレンド入り 公式サイト「映画『室井慎次』」に衣替え でファンどよめきJcastニュース、2024年3月18日
- ^ 「映画『室井慎次』公式サイト」2024年3月18日
- ^ a b c d 大高宏雄「『TOKYO JOE』公開特別対談 1988年。そこから日本映画は変わった! 時代を変えたプロデューサー、亀山千広×奥山和由が語る『TOKYO JOE』、そして日本映画」『キネマ旬報』2008年12月下旬号、キネマ旬報社、61–68頁。
- ^ 「踊る大捜査線 COMPLETE DVD-BOX 付属特製ブックレット」p. 1。
- ^ 「踊る大捜査線 COMPLETE DVD-BOX 付属特製ブックレット」pp. 9-10。
- ^ 君塚良一「各話解説第4話」『踊る大捜査線 湾岸警察署事件簿』p. 126。
- ^ 『THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』TV 警視正 階級章
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “ついにファイナル!『踊る大捜査線』第4弾映画化が決定”. ORICON NEWS. (2011年12月29日) 2017年7月28日閲覧。
- ^ a b c d e f 「ススめる!ぴあ|踊るクロニクル年表」ぴあ株式会社p. 24-25、第39巻第12号通巻1312号、2010年6月17日発行
- ^ a b “「踊る大捜査線」最後のスペシャルドラマ 21・3%の高視聴率”. スポニチ (2012年9月3日). 2012年11月25日閲覧。
- ^ 日本国内歴代総合興行収入ランキング 1位 - 100位http://www.eiga-ranking.com/boxoffice/japan/alltime/total/
- ^ 日本映画の歴代興行収入一覧
- ^ “2003年(平成15年)興収10億円以上番組” (PDF). 日本映画製作者連盟 (2004年). 2013年11月15日閲覧。
- ^ ““香取両さん”映画で復活!シリーズ化も決定”. スポニチ (2011年3月4日). 2012年11月25日閲覧。
- ^ 一般社団法人 日本映画製作者連盟 (2011年1月27日). “2010年度(平成22年)興収10億円以上番組(平成23年1月発表)[邦画]” (PDF). 2011年1月28日閲覧。
- ^ “「踊る大捜査線」完結編製作が決定 15年の歴史に幕”. 映画.com. (2011年12月29日) 2011年12月31日閲覧。
- ^ “2013年記者発表資料(2012年度統計)” (PDF). 日本映画製作者連盟. p. 2 (2013年1月). 2013年2月1日閲覧。
- ^ 「君塚良一による踊る大捜査線 THE MOVIE解説」『踊る大捜査線THE MOVIE シナリオガイドブック』p. 116
- ^ a b 「3日間」『踊る大捜査線THE MOVIE 2レインボーブリッジを封鎖せよ!完全調書 お台場連続多発事件特別捜査本部報告書』p. 56。
- ^ 「踊る大捜査線 COMPLETE DVD-BOX 付属特製ブックレット」pp. 5-6。
- ^ 『『明星 踊る大捜査線 ザ・湾岸ラーメン 海鮮キムチ コク塩味』 2010年6月21日(月) 新発売』2010年5月25日 。2012年11月24日閲覧。
- ^ 『明星 踊る大捜査線 ザ・湾岸ラーメン ワンタン麺 エビ塩味 2012年8月27日(月) 新発売』2012年7月31日 。2012年11月24日閲覧。
- ^ 日本映画専門チャンネル編『「踊る大捜査線」は日本映画の何を変えたのか』幻冬舎、2010年9月、p.61。 ISBN 978-4344981867
- ^ “第40回 松本 晃彦 氏”. Musicman-NET (2003年12月18日). 2021年8月28日閲覧。
- ^ スマホ時代に着信メロディ復活元年 GIGAエンタメロディ「着信メロディ15年間ランキング」発表 歴代No.1アーティストはEXILE、PRTIMES(株式会社フェイス・ワンダワークス)、2015年1月20日。
- ^ "El Cacabel"の演奏例 YouTube
- ^ "El Cacabel"の演奏例 YouTube
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- ^ 実績紹介/クロス・ウェーブ府中
- ^ 映画『イノセンス』公式サイト
- ^ 世界が注目する映像クリエイター 押井守の世界
- ^ 『東京テレポート駅“発車ベル音”の変更について|インフォメーション一覧 2008年|りんかい線』 。2012年11月24日閲覧。
- ^ 『りんかい線 東京テレポート駅発車メロディーは、踊る大捜査線のテーマ曲です|りんかい線』 。2012年11月24日閲覧。
固有名詞の分類
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