蘚類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/07 07:26 UTC 版)
蘚類 Bryophyta | |||||||||
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分類 | |||||||||
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下位分類 | |||||||||
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世界中に分布し、約1万種がある。日本には61科、約1000種が記録されている。
形態
蘚類は、コケ植物の中でもっとも種数が多い。その形も生活も多様である。
植物体は数cmに満たないものが多いが、大きいものでは立ち上がって高さ30cmに達するものがあり、這うものや樹枝から垂れ下がるものでは、もっと大きいものもある。小さいものは1mmに満たないものもある。
植物体は双子葉植物の茎と葉のような姿の、いわゆる茎葉体(けいようたい)である。スギゴケのように、あまり枝分かれせずに直立するものや、ハイゴケのように枝分かれしながら横に這うもの、ごく茎が短くてロゼット状(タンポポの葉のような感じ)になるものなど、さまざまである。多くの場合、群生して集団を作る。葉や茎などは、維管束植物のそれに似てはいるが、はるかに簡単である。しかし、それに対応した仕組みは備えている。
葉は薄くて楕円形の、双子葉植物のそれに近い形であるが、葉柄に当たる部分を持つものは少なく、茎を抱く形の場合が多い。葉の細胞はほぼ1層に並んでいる。中央に葉脈の主脈のような筋が入る場合が多く、これを中肋(ちゅうろく)という。この部分には、水を通す細胞も分化している。葉脈のように枝分かれすることはない。なお、セン類の葉は、大きく裂けた形になることはほとんどない。この点、苔類の多くが、大きく裂けて背面側と腹面側の分化が見られる葉を持っている事から、よい区別点となる。また、苔類の葉には中肋がない。
茎には表面に表層、中心に中心束が分化し、中心束は水の輸送を担っていると考えられる。分類群によってはこの間にレプトイドと呼ばれる部分が分化し、これは有機物の輸送を行っているとされる。茎の地下部からは糸状の毛根のようなものが出ている。これを仮根(かこん)といい、1列の細胞からなっている。
植物体の先端などから胞子のうを形成する。コケ植物の胞子のうはさくと呼ばれる。苞葉の間から伸び出した胞子のう柄(さく柄)の先に、膨らんだ胞子のう(さく)が形成され、その内部に胞子が作られる。さくはクロゴケ類のように4つの裂け目を生ずるなどのようにして胞子を散布するものもあるが、多くの種では、先端部に口が開くようになっている。先端部は蓋のように外れ、外れると丸い口が開き、胞子が放出される。口の周囲にはさく歯とよばれる三角形の突起がずらりと取り囲んでいる。さく歯は湿度の変化によって開いたり閉じたりする運動を行う。この動きは胞子の散布に役だっていると思われる。さくの蓋の上には帽とよばれる膜状の構造がかぶさっている。
生活環
コケ植物一般と同様に、主たる植物体は配偶体であり、造卵器と造精器を植物体上に作る。造卵器で受精が起きると、受精卵は発芽して胞子体となる。つまりさく(胞子のう)が胞子体に当たる訳である。ただし、その先端の帽は配偶体に由来するものである。セン類の場合、さくが丈夫で、比較的長期にわたって維持される。初期には葉緑体を持つ場合もある。
さくの内部では減数分裂が起きて胞子が形成される。胞子が発芽すると、糸状の原糸体となるが、蘚類の原糸体は他のグループより発達がよいとされる。糸状で分枝をしながら地表を這い、葉緑体を持っているので光合成ができる。一部の種では植物体本体の葉が退化し、一生を原糸体に頼って生活する。なお、一部の種では原糸体が葉状や塊状になる。
- ^ 石井龍一・岩槻邦男等編『植物の百科事典』(朝倉書店)から引用。ISBN 978-4-254-17137-2 C3545
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