自己免疫性溶血性貧血 検査

自己免疫性溶血性貧血

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/01 05:28 UTC 版)

検査

生化学検査上、他の溶血性貧血と同様、間接ビリルビンの増加、ハプトグロビンの低下がみられる[3]

赤血球が脾臓を通過する際に膜を損傷するため、末梢血の塗抹標本には小型の球状赤血球が認められる[2]。一方で代償的に造血が亢進し、末梢血に出現した大きめの網赤血球が増加する[2]。これにより赤血球の平均容積は相殺され、一般に末梢血は正球性正色素性貧血を呈する[2]。また造血の亢進を反映して、骨髄は赤芽球優位の過形成となる[2]

免疫学的にはクームス試験が重要である[2]。この疾患において感作された赤血球の膜上には温式抗体(化学的には免疫グロブリンという蛋白質)が付着している[2]。この既に赤血球に付着している免疫グロブリンを検出するのが「直接クームス試験」である[6]。具体的には、この免疫グロブリンを標的とする抗免疫グロブリン抗体を添加することにより、感作された赤血球どうしが架橋されて患者の赤血球は凝集する[6]。この疾患では大部分が直接クームス試験陽性となるが、一部例外もある(クームス陰性AIHA)[7]

逆にこの疾患の患者の血清には、赤血球を感作する抗体が含まれているため、これに健常者の赤血球を反応させた後、前述の抗免疫グロブリン抗体を加えて凝集の有無をみるのが「間接クームス試験」である[6]。ただし患者血清中の温式抗体が少なければ陰性となるため、この疾患に対する間接クームス試験の感度は50%程度である[2]


  1. ^ 『やさしい臨床医学テキスト』薬事日報社、2008年。274-275頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 『PDA版 STEP内科〈2〉感染症・血液』海馬書房、2011年。M2PLUS for AndroidOS, バージョン400, 提供日2011年2月17日。「自己免疫性溶血性貧血」の項目。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 自己免疫性溶血性貧血 診断・治療指針(医療従事者向け)」難病情報センター。情報更新日2014年12月21日。2015年6月3日閲覧。
  4. ^ 『PDA版 イヤーノート2014』メディックメディア、2014年。M2PLUS for AndroidOS, バージョン390, 提供日2014年3月10日。「自己免疫性溶血性貧血」の項目。
  5. ^ a b c d e f 『PDA版 内科学書改訂第7版』中山書店、2009年。M2PLUS for AndroidOS, バージョン130, 提供日2009年11月10日。「後天性溶血性貧血」の項目。
  6. ^ a b c 『PDA版今日の臨床検査2011-2012』南江堂、2012年。M2PLUS for AndroidOS, バージョン180, 提供日2012年01月18日。「Coombs, 抗グロブリン試験, 赤血球Coombs試験」の項目。
  7. ^ a b c d e f g h i j 自己免疫性溶血性貧血 診療の参照ガイド(平成22年度改訂版)」自治医科大学、2010年。2015年6月3日閲覧。
  8. ^ a b c d e 『改訂版ステロイドの選び方・使い方ハンドブック』羊土社、2011年。M2PLUS for AndroidOS, バージョン100, 提供日2012年11月22日。100-102頁。
  9. ^ 要約 赤血球濃厚液の適正使用」厚生労働省、2005年。2015年6月3日閲覧。






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