第一インターナショナル
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ローザンヌ大会
1867年のローザンヌ大会では、普墺戦争への非難が行われたほか、マッツィーニやユゴー、バクーニン、ルイ・ブランによる平和自由連盟との一時的ではあるが協調が図られた[29]。一方、ブリテンの労働組合主義者は、選挙法改正運動や労働組合活動に関する王立調査委員会の招集で多忙となってしまったために大半が欠席しており、もはやいないも同然であった[30]。
ローザンヌ大会では白熱した議論を呼び起こす問題もあった。1)国有化問題、2)政治参加の要求、これらに関する討議が主要な衝突点であった。「国有化経済」は社会主義者たちの大願であり、プルードン派にとっては死守すべき「小財産」すなわち農地所有の争点となっていた「生産手段の集団化」が議論された。このときの「土地国有化」の決議案は審議されたものの否決されることとなった。一方、オーウェン派やプルードン派が主張していた「人民銀行」や「信用銀行」の設置も否決された。マルクス派とプルードン派の経済問題に関する衝突は引き分けとなっていた[31]。しかし、政治問題に関して、マルクス派の勝利に終わった。
「政治的自由がうばわれていることは、労働者の社会的解放の一障害であり、社会の混乱の主な原因の一つではないか?どうすれば速やかに政治的自由を再建することができるか?政治的自由がうばわれていることは、人民の社会的進歩とプロレタリアートの解放とに対する一障害であると考え、大会は次のように決議する。一、労働者の社会的解放は、労働者の政治的解放なしには実現できない。二、政治的自由の確立は準備段階として絶対に必要である。」[31]
マルクスは政治活動の重要性を度々強調して、政治力を梃子に運動を強化していく方向性がより現実的であると考えていた。社会組織の変革が必要で、そのために政治的自由の獲得が必須であることを宣言した。この考え方に基づいて経済機構の構造改革には労働者階級の政治的権利の獲得は急務であり、各国で労働者階級を包括する普通選挙が実現されるべきだとする認識が打ち出されている。アメリカやフランスでは早い段階で成人男子選挙が実施されており、ブリテンも1867年のまさにこの年に限定的ながら戸主参政権が実現した。しかし、依然として東欧や南欧、そして南米など大半の国では労働者階級の政治参加はまだまだ夢物語であった。マルクスは社会主義者の勇敢な闘争によって世界中で政治参加への障壁とこうした世界的ギャップが是正され、民主主義と社会主義の世界的な運動が胎動していく新時代の到来を予感し、挑戦していたのである。20世紀後半に入るとこれらの活動目標は歴史的に実現されるようになった。しかし、19世紀半ばに位置するこの時代においては、プルードン派に引導を渡すという歴史的意味合いがはるかに濃いのである[31]。
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