確定拠出年金 特徴

確定拠出年金

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/09 18:55 UTC 版)

特徴

確定拠出年金法の目的は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする(第1条)。特徴は、年金資産を加入者が行った運用の指図の結果の損益に応じて年金額が決定されることにある。年金資産が個人別に区分され、残高の把握や転職時の資産の移行が容易に行える。事業主側からみた利点は、掛金を確定させれば、給付額は加入者の運用次第なので複雑な年金数理計算が不要となる。また掛金拠出の時点で費用計算をすれば後発債務が発生する心配もない。

企業と労働組合との合意の上で規約を定めれば、規約にて定められた日付から実施可能である。その際の企業規模は一切問わない。対象者が各個人で掛金を支払う「個人型年金」と、企業が掛金を支払う「企業型年金」の2通りがある(第2条)。掛金は自由に決められるが、上限が定められている。掛金は損金または所得控除の対象となる。

確定給付企業年金と最終的な目的を同じくするものの、目的の達成に至る段取りや方法に違いがあり、例えば確定拠出年金では給付を受ける者が厚生年金被保険者に限られないため、「個人」と言う表現を用いている点等が異なっている。

特定非営利活動法人確定拠出年金教育協会2001年(平成13年)10月1日に確定拠出年金法が制定されたことから毎年10月1日を「確定拠出年金の日」として一般社団法人日本記念日協会に記念日の登録をした[4]。協会では日頃から確定拠出年金についての調査やセミナーを行っている。

年金運用の3階建て部分であるこの制度における個人向けの運用が、いわゆる「iDeCo」(イデコ)である。拠出額が大きく所得税率が高い国民ほど節税効果も高まるため、「iDeCo」により最もおいしい果実を得られる国民は高所得者層である[5]。超富裕層は年金自体が不要であり、低所得者層にとっては国民年金の半額免除や全額免除のような救済措置[注釈 1]もなく3階部分の「iDeCo」のために拠出する余裕資金がほとんどない[注釈 2]


注釈

  1. ^ 免除部分も一定の割合で年金として将来受取ることができる。
  2. ^ この制度に類似した、積立投資ドルコスト平均法)による長期運用の制度である「つみたてNISA」は、いつでも換金・出金ができる点で「iDeCo」よりも運用に参加するためのハードルが低い。
  3. ^ この費用は定期預金だけであっても発生し、また拠出を停止しても最低限792円の年間手数料(事務委託手数料)がかかる。
  4. ^ 法令改正前から存在するプランでは、SBI証券(オリジナルプラン)の最大67本[11]SBI証券オリジナルプランでは29銘柄の買付が停止された
  5. ^ SBI証券[12]
  6. ^ iDeCoに関して、ここでは価格変動商品から定期預金へのスイッチングを売却とし、定期預金から価格変動商品へのスイッチングを再投資とする。

出典

  1. ^ DC(=Defined Contribution Plan)とは、「確定拠出型」を意味するが、日本においては確定拠出年金(企業型年金、個人型年金)のことを指す略称として用いられることが多い”. 企業年金連合会. 2009年4月25日閲覧。
  2. ^ 厚生労働白書 令和4年度』厚生労働省、2022年、資料編https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21-2/dl/11.pdf 
  3. ^ 被用者年金制度の一元化に伴い、2015年10月1日から公務員及び私学教職員も厚生年金に加入。また、共済年金の職域加算部分は廃止され、新たに退職等年金給付が創設。ただし、2015年9月30日までの共済年金に加入していた期間分については、2015年10月以後においても、加入期間に応じた職域加算部分を支給。
  4. ^ 「確定拠出年金の日(10月1日)」と 「NISA(ニーサ)の日(2月13日)」を制定しました。確定拠出年金教育協会
  5. ^ 高橋成壽 (2017年1月4日). “「iDeCo」をやらないほうがいい人 60歳まで下ろせない”. PRESIDENT Online. https://president.jp/articles/-/21047?page=2 
  6. ^ 個人型確定拠出年金制度 愛称募集キャンペーン”. 2016年9月16日閲覧。
  7. ^ a b iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数等について (PDF)
  8. ^ 個人型確定拠出年金取扱機関 かんたん比較&検索! | モーニングスター iDeCo(個人型確定拠出年金)情報 - モーニングスター
  9. ^ eMAXIS Slim米国株式(S&P500), SMBC・DCインデックスファンド(S&P500), DC米国株式インデックス・オープン(S&P500), iFreeNEXT NASDAQ100インデックス - 確定拠出年金教育協会 iDeCoナビ(個人型確定拠出年金ナビ)
  10. ^ 手数料でiDeCo(イデコ)金融機関を比較 | 個人型確定拠出年金ナビ「iDeCo(イデコ)ナビ」 - 確定拠出年金教育協会
  11. ^ 個人型確定拠出年金取扱機関 かんたん比較&検索! | モーニングスター iDeCo(個人型確定拠出年金)情報 : 商品内容検索 - モーニングスター
  12. ^ 対象商品数一覧 | モーニングスター つみたてNISA (積立NISA) 総合ガイド - モーニングスター
  13. ^ つみたてNISA対象商品届出一覧 2022年4月26日 - 金融庁
  14. ^ a b 確定拠出年金の統計|統計資料|企業年金連合会
  15. ^ 運営管理機関登録業者一覧”. 厚生労働省. 2011年11月19日閲覧。
  16. ^ 令和2年度税制改正要望事項(抄) (PDF)
  17. ^ 確定拠出年金の施行状況(毎月更新)”. 厚生労働省 (2016年8月31日). 2016年10月26日閲覧。






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