特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/11 00:23 UTC 版)
従来のダフ屋取締りとの関係
ダフ屋行為はおおむね、本法律および罰則の施行日や、本法律の禁止行為対象であるかどうかとは関係なく、従来のダフ屋規制条例等による取締りや、詐欺罪・文書偽造罪等としての検挙対象となっている。
ダフ屋からチケット類を(高額で)購入した者が、身分証明書を偽造・変造して行使し、検挙や逮捕される事例が出ている。購入者側ではなく、ダフ屋側が不正入場に便宜を図る目的で身分証明書を偽造・変造し、転売チケットの購入者に行使させる事例もある。購入チケット類の名義の本人確認のために、運営側が身分証明書等による確認を現場で行うケースがあるが、その際に偽造・変造をした身分証明書を提示すれば、有印公(私)文書偽造罪・同変造罪、同行使罪などの文書偽造の罪に問われる。さらに、転売目的でチケットを入手する事自体を詐欺罪として検挙する傾向もある[10]。詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役(公訴時効7年)とこの法律の罪よりも重く、文書偽造の罪も客体によるが概ねこの法律の罪よりも重い。
よって、本法律の施行後の行為として第3条(不正転売)または第4条(不正転売目的入手)に抵触した場合は形式的に検挙、処罰(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)されるのは元より、犯情が重くかつ前述のように詐欺罪や文書偽造の罪でも立件可能と判断された場合には、この法律よりも重いこれらの罪で検挙、処罰される。
罪数論
第4条(不正転売目的入手)違反行為と詐欺罪とは一所為数法として観念的競合となると考えられる。これら以外の、第3条(不正転売)違反行為、偽造身分証等の文書偽造の罪は、併合罪となると考えられる。
脚注
注釈
- ^ 興行主(興行の主催者)又は興行主の同意を得て興行入場券の販売を業として行う者。
- ^ 入出力装置を含む。(なお、「入出力装置」とは、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の定義などにも見られ、端末(本体)に接続された表示デバイスなどの事を指すと思われる)
- ^ 興行主等が指定した入場資格者を言う。
出典
- ^ “入場券転売禁止法が成立 東京五輪へ対策強化”. 共同通信. (2018年12月8日) 2018年12月18日閲覧。
- ^ “入場券転売禁止法が成立”. 四国新聞. (2018年12月9日) 2018年12月18日閲覧。[リンク切れ] 入場券転売禁止法が成立 - ウェイバックマシン(2018年12月9日アーカイブ分)
- ^ “チケット不正転売禁止法 何をしてはダメなのか”. Ascii倶楽部 (2018年12月17日). 2018年12月18日閲覧。
- ^ “チケットのルール”. 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会. 2019年6月14日閲覧。
- ^ “消費生活センターからの重要なお知らせ”. 諏訪市消費生活センター (2019年10月30日). 2020年4月23日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “チケットを転売すると犯罪になるの?”. 大阪弁護士会 総合法律相談センター (2020年1月16日). 2020年4月23日閲覧。
- ^ “ダフ屋行為禁止法案提出へ ネット含む不正転売に刑事罰:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2018年12月25日閲覧。
- ^ a b c d “衆法 第197回国会 5 特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律案”. 衆議院 2018年12月17日閲覧。
- ^ “第197回国会2018年 12月 8日投票結果 特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律案(衆議院提出)”. 参議院 2018年12月17日閲覧。
- ^ “悪質転売ヤーを詐欺罪で立件 不正転売禁止法の施行待たず9件目の逮捕”. ORICON NEWS. 2019年1月10日閲覧。
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