海龍 (潜水艇) その他

海龍 (潜水艇)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 07:43 UTC 版)

その他

2015年8月5日下田港沖で海龍とみられる特殊潜水艇が発見された[24][25]。下田に入港した4隻のうち1隻が座礁したという記録があるため、その1隻ではないかと推測されている[26]。爆薬が残っている可能性があるため注意喚起が行われた[27]

型式

海龍(量産後期型)の内部構造図。艇内は狭く、講習に際して教官は艇長席後方の低圧タンクに腹ばいになったため、後に練習艇が製造された。
試作艇[28]

外見上、艇首が尖っているのが量産前期型とは大きく異なる部分。試作艇の公試の際、追尾船を艇首により沈没させてしまったため、量産前期型では艇首に丸みがつけられたとされる。江田島海上自衛隊第一術科学校の校舎前で展示中の海龍は試作3号艇。

量産前期型[29]

外見上は試作艇の艇首に丸みをつけ、水中翼の翼弦長を短くしたもの。内部艤装では艇首の燃料タンクを爆薬に置き換えたため、前部トリミングタンクの位置を少しだけ前方へ移している。なお「前期型」なる兵器名は存在しないが、後述する「後期型」との区別のため便宜上用いる。

量産後期型[29]

量産前期型が艇内に装備した九七式転輪羅針儀が不調のため、セイル内の前方覗き窓を廃してセイル前方に四式磁気羅針儀を設置したもの。艇体からの磁気の影響を抑えるため、羅針儀は木製容器で覆われた。

量産後期型練習艇[30]

量産後期型を基に5人乗りの訓練専用艇としたもの。艇体を1m延長して全長を18.28mとし、教官用に水防眼鏡3型改5を1本追加した。横須賀海軍工廠で20基製造された。

諸元(計画時)

  • 全長:17.2m
  • 全幅:3.5m
  • 排水量:水中19.3t
  • 最大速度:水上6.5kt、水中10kt
  • 水中航続距離:69km(37.5海里)/5kt
  • 水上航続距離:832.5km(450海里)/3kt
  • 兵装:外装式53cm魚雷×2もしくは爆薬600kg

  1. ^ a b c 歴史群像『海龍と回天』、pp 87-88。
  2. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』245頁
  3. ^ a b 昭和17年8月10日.昭和20年7月13日 内令及び海軍公報(軍極秘)/昭和20年6月/昭和20年6月1日(金)海軍公報 第一四二號(甲配付) p.1」 アジア歴史資料センター Ref.C12070204800 『内令兵第二五號(軍極秘) 回天、海龍及蛟龍ヲ兵器ニ採用ス 昭和二十年五月二十八日 海軍大臣』
  4. ^ 明治百年史叢書『昭和造船史 第1巻』、pp. 617-618。
  5. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』243頁
  6. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』244-246頁
  7. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』246頁
  8. ^ 白石『特殊潜航艇海龍』45-46頁
  9. ^ 歴史群像 太平洋戦史シリーズ17「伊号潜水艦」学習研究社 刊
  10. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』246-247頁
  11. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』244頁
  12. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』250頁
  13. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』248頁
  14. ^ 白石『特殊潜航艇海龍』46-47頁
  15. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』251頁
  16. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』252-253頁
  17. ^ 「丸」編集部『特攻の記録』258-259頁
  18. ^ 白石『特殊潜航艇海龍』74頁
  19. ^ 白石『特殊潜航艇海龍』72、80頁
  20. ^ 白石『特殊潜航艇海龍』46頁
  21. ^ 白石『特殊潜航艇海龍』72-73頁
  22. ^ 白石『特殊潜航艇海龍』71-72頁
  23. ^ 白石『特殊潜航艇海龍』53頁
  24. ^ 特攻兵器「海龍」、下田沖に眠る 旧海軍の潜水艇発見”. 静岡新聞 (2015年8月6日). 2015年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月10日閲覧。
  25. ^ 海龍「とんでもない兵器」 海軍兵学校OBが乗組員に思いはせ”. 静岡新聞 (2015年8月6日). 2015年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月10日閲覧。
  26. ^ 特攻潜水艇・海龍「乗組員は無事」 元隊員が証言 下田沖に座礁”. 静岡新聞 (2015年8月10日). 2015年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月10日閲覧。
  27. ^ 「爆薬残存の恐れ」 下田沖・特攻潜水艇「海龍」”. 静岡新聞 (2015年8月7日). 2015年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月10日閲覧。
  28. ^ 歴史群像『海龍と回天』、p. 10、p. 25、p. 119。
  29. ^ a b 歴史群像『海龍と回天』、pp. 10-12、pp. 119-120。
  30. ^ 歴史群像『海龍と回天』、pp. 39-46、p. 88、p. 90、p. 120。





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