洞窟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/12 15:14 UTC 版)
利用と文化
利用
洞窟は、信仰・祭祀・修業の場、住居、墓地、栽培養殖場、氷室 ・貯蔵庫・醸成庫、洞窟治療所などとして利用されている[1]。
洞窟は古くから人間に利用されてきた。文明が発達する以前から、天然の洞窟は往々にしてヒトの住居となっていた。主として洞口に休息の場を求めたと考えられる。隠れ場所としては優れているが、ヒトは夜目が利かないから、奥部までを利用したものではなかったであろう。例外的に、アメリカやヨーロッパの洞窟でミネラルの採取や、原始宗教目的での壁画等の作成のために奥深くまで入った例が知られている。
洞窟を古来住居や軍事、祭祀等に利用した例は多い。文明が発達した後も、中国の窰洞などのように、人工的に洞窟を掘り、利用していることがある。それ以外にも、様々なものを格納し、保存する場所、またゴミ捨て場としても使われた。洞窟内の温度、湿度は一定しているため、農産物などの保存、ワインの醸成場、キノコの栽培場、氷室等に利用されている例がある。また、ハンガリーやイタリアなどの温水が湧くカルスト地域では浴場として利用されている洞窟がある。また呼吸器系疾患の治療に利用されている洞窟もある。
洞窟内の湧水や鍾乳石、洞窟堆積物も資源として利用されている[1]。
そのほか、洞窟は観光資源としても利用されていたり、学術研究やスポーツでの洞窟探検の場にもなっている[1]。
文化
日本では洞窟内に神仏を祭った例が各地にみられ(宮崎県鵜戸神宮、埼玉県橋立鍾乳洞など)、洞窟そのものをご神体とする例も多い。
文化的には洞窟は死後の世界や異世界への入り口と見なされた例が多い。イザナギノミコトがイザナミノミコトを求めて黄泉の国へと行ったのも地下へ続く洞窟を通ってである。琉球地方では、かつて洗骨後の追葬(風葬)のために石灰岩の小さなほら穴が利用されていた。
同時に、洞窟は危険なものでもある。奥は闇で何も見えず、行方不明になりやすく、縦穴に落ちる可能性もある。また、危険な獣が棲み着いている場合もある。中国ではトラは洞穴に棲むものとされ、ついでに妖怪や魔物も洞窟をねぐらとする。日本にも怪奇伝説のある洞窟は多い[9]。また、英雄の冒険は往々にして洞窟を探検し、猛獣や魔物を退治する。いわゆるロールプレイングゲームにおけるダンジョンはこれを模したものである。
- 洞窟の方言 [10]
- 湯釜(北海道:温水が湧く)
- ワックズ(岩泉:地下水が湧く)
- フトコロ(青海)
- ガマ(秩父)
- ズリドオシ(安曇)
- シンキチアナ(小笠原)
- ウド(伊予)
- カナチアナ(備中:鍾乳洞の意)
- ヂバス(秋吉:縦穴の意)
- ハトアナ(平尾台:縦穴の意)
- ムゴ・テゥル・イェー・イョー・ガマ・ガーマ・ガネ・アブ・ミードー・クムイ・グー(琉球)
- クラゴー・グラゴー・クラガー・アブガー・ガラガラー・ウリカー・カーラ(琉球:地下水流のあるほら穴の意)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 鹿島愛彦. “洞窟・鍾乳石と人間”. 洞窟環境NET学会. 2019年10月22日閲覧。
- ^ ニール・シェイ (2008年11月). “特集 潜入! 巨大結晶の洞窟”. ナショナルジオグラフィックマガジン 2008年11月号. 日経ナショナルジオグラフィック社. 2019年10月4日閲覧。
- ^ http://jp.sciencenewsline.com/articles/2014071800430034.html 月面には200個の垂直洞窟が存在している、NASAの月面観測衛星による調査で判明 [リンク切れ]
- ^ 「????????????」『朝日新聞』朝日新聞社、2015年7月19日。2019年10月4日閲覧。
- ^ Morphogenetics of Karst Region by L.Jakucs, 1977. Adam Hilger, Bristol.
- ^ ナショジオ 2015 [要ページ番号]
- ^ アニマ 1982 [要ページ番号]
- ^ 上野・鹿島 1978 [要ページ番号]
- ^ 遠藤 1983 [要ページ番号]
- ^ 日本地理学会 1993 [要ページ番号]
- ^ 「洞窟の長さ238.38キロと確認 貴州・双河洞、アジア最大」『AFPBB News』フランス通信社 (AFP)、2018年4月12日。2018年4月14日閲覧。
- ^ Bisharat, Andrew (2015年5月21日). “世界的冒険家のディーン・ポッター氏が墜落死 米国ヨセミテ国立公園で何が起きたのか”. ナショナルジオグラフィック日本版. 日経ナショナルジオグラフィック社. 2018年4月16日閲覧。
- ^ “絶景ロケ地多数!ノーCGアクション映画「X−ミッション」の凄すぎるロケ地まとめ”. RETRIP(リトリップ). 株式会社trippiece (2017年5月30日). 2018年4月16日閲覧。
- ^ a b Freeman, David「世界一深い水中洞窟を発見 「21世紀のコロンブスになった気分だ」」『ハフポスト日本版』ハフポスト、2016年10月5日。2018年4月22日閲覧。
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