法規 建築法規と土木法規

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法規

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/28 07:54 UTC 版)

法規(ほうき)とは、広義においては法規範一般のことや一般的・抽象的法規範のことを指したり、単に法令と同義で使われることもあるが、狭義(又は本来的な意味)では、国民権利を制限し又は国民に義務を課す内容の法規範のことをいう。


注釈

  1. ^ なお、石川健治によれば、Rechtssatzを「権利命題」と訳すのは、客観法という意味で用いられているRechtを主観法(権利)という意味でのRechtと取り違えたものであって、端的にいって誤訳であるとされるが、日本国憲法41条論における「法規」概念は、結果として、もはや権利命題と読んでも大過ないものになっているのもまた、事実であるとされている[1]
  2. ^ もっとも、大日本帝国憲法下においても、学説において見解の対立があった[3]。例えば、穂積八束は、帝国議会の協賛を必要とする立法事項を憲法上に個別に明文規定がある場合に限定しており[4]美濃部達吉は、法規概念に一般性の要件を含めず[5]市村光恵は、逆に、実質的意味の法律を一般的抽象的規範として理解しつつ、大日本帝国憲法中の「法律」を全て形式的意味で捉え、形式的法律概念一元説に立っているとされる[6]
  3. ^ 19世紀のドイツ公法学に由来するといわれる一般的権利制限規範説を採用する論者は現在はいないとされているが、内閣法11条、内閣府設置法7条4項、国家行政組織法12条3項の背景には、一般的権利制限規範説の発想があるとされる[8]
  4. ^ 「一般的」とは、法の受範者が不特定多数人であることを意味し、「抽象的」とは、法の対象・事件が不特定多数であることを意味し、行政行為裁判と区別する意味で重視される。
  5. ^ 例えば、佐藤 1983, p. 628、芦部 2002, p. 270、杉原 1989, p. 214、樋口 1998, p. 214、浦部 2000, p. 528、阪本 2000, p. 277、辻村 2004, pp. 414–415であり、憲法学の多数説であるとされることがあるが[9][10]、むしろ、学説の分布状況としては、一般的規範説と一般的権利関係規範説とが拮抗しており、少数説ながら、権利関係規範説と形式的法律一元説が無視できない状況であると要約されている[3]
  6. ^ なお、一般的規範説は、国会が措置法処分的法律)と称される個別的・具体的な法規範を定立することを例外的に許す見解(例えば、芦部 2002, pp. 270–271であり、一般的規範説の中では多数説であるとされる[11]。)と、それを許さない見解(例えば、樋口 1998, p. 232、浦部 2000, p. 528、阪本 2000, pp. 277–278など。)とに分かれる[3]。しかしながら、一般的規範が全て国会で定められなければならないという主張と、国会は一般的規範しか定めることができないという主張とでは、次元が異なっている[3]。一般的規範の定立が国会の専管事項であると解釈しても、そのことから直ちに国会が他の国家機関との競合的所管事項として個別的規範を定立することは許されないという結論が導かれるわけではない[12]
  7. ^ 例えば、伊藤 1995, p. 421などがその数少ない例であるとされる[3]
  8. ^ 例えば、清宮 1979, p. 204、佐藤 1995, pp. 144–147、戸波 1998, p. 364、長谷部 2004, p. 326、内野 2005, p. 132[3]
  9. ^ 例えば、高橋 2001, pp. 215–216}、松井 2002, p. 157[3]

出典

  1. ^ 芹沢, 市川 & 阪口 2011, p. 302(石川健治執筆)
  2. ^ ラーバント, パウル 『歳計予算論』法制局、1890年。NDLJP:1079342 
  3. ^ a b c d e f g h i 赤坂 2005, p. 149.
  4. ^ 穂積八束 『憲法提要(下巻)』(第5版)有斐閣、1915年。NDLJP:1874579 
  5. ^ 美濃部達吉 『憲法撮要』(改訂第5版)有斐閣、1932年。NDLJP:1267441 
  6. ^ 市村光恵 『帝国憲法論』(改訂第13版)有斐閣、1927年。NDLJP:1080997 
  7. ^ 芦部信喜「現代における立法」 『憲法と議会政』東京大学出版会〈東大社会科学研究叢書〉、1971年。doi:10.11501/11894665 
  8. ^ a b c 赤坂 2005, p. 148.
  9. ^ 辻村 2004, p. 414.
  10. ^ 玉井克哉「憲法学原論――憲法解釈の基底にあるもの(13)国家作用としての立法――その憲法史的意義と現代憲法学」『法学教室』第239号、72頁、2000年https://cir.nii.ac.jp/crid/1522825130887143552 
  11. ^ 赤坂 2005, pp. 157–158注10
  12. ^ 赤坂 2005, pp. 149–150.
  13. ^ 赤坂 2005, pp. 148–149.


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