水素 同位体

水素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 08:19 UTC 版)

同位体

水素の同位体の原子図。左端からそれぞれ水素、重水素、三重水素。図中の赤い丸は陽子、黒い丸は中性子、青い丸は電子を表している。

質量数が2(原子核陽子1つと中性子1つ)の重水素2H)、質量数が3(原子核陽子1つと中性子2つ)の三重水素3H)等と区別して、質量数が1(原子核陽子1つのみ)の普通の水素(1H)を軽水素とも呼ぶ。

水素のもっとも一般的な同位元素であるプロチウムは、1つの陽子および1つの電子を持つ原子。安定している同位元素の中では、唯一中性子をまったく持っていないのが特徴である。

天然の水素には、水素(軽水素、プロチウム)1H重水素 2H (デュウテリウム、ジューテリウム[13]、略号D)、三重水素 3H (トリチウム、略号T)の3つの同位体が知られている[1]。このうち、もっとも軽い 1H は、1つの陽子と1つの電子のみによって構成されており、原子の中で中性子を持たない核種の1つである。存在が確認されている中でほかに中性子を持たない核種はリチウム3のみである。それぞれの同位体は質量の差が2倍、3倍となり、性質の違いも大きい。たとえばD2はH2よりも融点や沸点が高くなり、溶融潜熱は倍近くに、蒸気圧は10分の1近くとなる[14]。2013年現在、より重い同位体は水素4から水素7までが確認されている。もっとも重い水素7(原子核は陽子1、中性子6よりなる)はヘリウム8を軽水素に衝突させることで合成されている。質量数が4以上のものは寿命がきわめて短く、たとえば水素7では半減期が23 ys(= 2.3×10−23 s)ほどしかない[15]

水素原子における電子軌道エネルギー固有関数である。

水素の同位体は、それぞれの特徴を有効に活かした使い方をされる。重水素原子核反応での用途で、中性子の減速に使用され、化学生物学では同位体効果の研究、医療では診断薬の追跡[13]に使用されている。また、三重水素原子炉内で生成され、水素爆弾の反応物質や核融合燃料、放射性を利用したバイオテクノロジー分野でのトレーサーや発光塗料の励起源として使用されている。


注釈

  1. ^ 次いでヘリウムが約25 %[8][9]
  2. ^ Dias & Silvera (2017) は495 GPaの圧力において固体と推定される金属水素が得られたと発表したが、この実験結果については多くの科学者が疑問視している[22][23]
  3. ^ ハロゲンに近い性質を持つため、1周期系列と17族の位置に変更すべきというもの。

出典

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