気候変動に関する政府間パネル 参加者

気候変動に関する政府間パネル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/09 22:58 UTC 版)

参加者

代表者、会員の氏名は非公開である。 名称は「政府間パネル」であるが、参加者は政府関係者だけに限られず、各関連分野の科学者など専門家も参加している。 2007年の第4次評価報告書の場合、130ヵ国以上からの450名超の代表執筆者・800名超の執筆協力者による寄稿、および2500名以上の専門家による査読を経て作成されている[10]

作業部会

評価報告書の作成は、下記のような3つの作業部会(Working Group; WG)に分かれて行われている。

知見の評価

IPCCが行う知見の評価とは、新しい調査や研究を行うのではなく、すでに発表されている論文を調査・評価を行うことである[7]。これには現在までに得られている科学的知見の信頼性、予測内容の発生可能性、根拠となる証拠の質や量、専門家間での意見の一致度なども含まれる。また、政策決定者向けの要約(Summary for Policymakers; SPM)も同時に提供している。

評価報告書

数年おきに発行され、地球温暖化に関して最も多くの専門家の科学的知見を集約し、かつ国際的に広く認められた報告書となっている。気候変動枠組条約(UNFCCC)の実行に関する内容を多く含み、国際政治に強い影響を与えつつある。

IPCC第1次評価報告書英語版(FAR)が1990年、IPCC第2次評価報告書英語版(SAR)が1995年IPCC第3次評価報告書英語版(TAR)が2001年に発表されている。第4次評価報告書(AR4)は2007年のIPCC第27回総会で承認された。また2014年に第5次評価報告書(AR5)の全体が発表された。第6次評価報告書は2022年の発表に向けて準備が進められている。

第4次評価報告書

内容には下記のような科学的知見の集約結果が記述されており[11][12]、結果的に地球温暖化の早急かつ大規模な緩和策の必要性を強く認識させる内容となっている。

  • 我々を取り巻く気候システムの温暖化は決定的に明確であり、人類の活動が直接的に関与している。」…人間による化石燃料の使用が地球温暖化の主因と考えられ、自然要因だけでは説明がつかないことの指摘。(第一作業部会報告書:自然科学的根拠
  • 気候変化はあらゆる場所において、発展に対する深刻な脅威である。」…気温や水温の変化や水資源、生態系などへの影響のほか、人間の社会に及ぼす被害の予測結果についての評価。(第二作業部会報告書:影響・適応・脆弱性
  • 地球温暖化の動きを遅らせ、さらには逆転させることは、我々の世代のみが可能な(defining)挑戦である。」…気候変動の緩和策の効果、経済的実現性と、温室効果ガスの濃度別に必要な緩和策の規模や被害等の分類などの評価。(第三作業部会報告書:気候変動の緩和策

これらは、下記のようなスケジュールで承認・公開されている。

  • 2007年1月29日〜2月1日 - 第1作業部会報告書(AR4 WG I : 自然科学的根拠)審議・承認
  • 2007年4月2日〜6日 - 第2作業部会報告書(AR4 WG II : 影響・適応・脆弱性)審議・承認
  • 2007年4月30日〜5月3日 - 第3作業部会報告書(AR4 WG III : 気候変動の緩和策)審議・承認
  • 2007年5月4日 - IPCC第26回総会で第4次評価報告書第1〜第3作業部会報告書を最終的に承認
  • 2007年11月12日〜16日 - IPCC第27回総会で統合報告書(AR4 SYN)を承認

いずれも審議の最終日もしくは翌日に報告書の内容が公表され、IPCCのサイトなどから自由に入手可能となっている。また日本語訳が気象庁、環境省、地球産業文化研究所によって提供されている([13]IPCC第4次評価報告書#原典および翻訳の節も参照)。

第5次評価報告書

  • 2013年9月26日 - 第1作業部会報告書(AR5 WG I : 自然科学的根拠)
  • 2014年3月29日 - 第2作業部会報告書(AR5 WG II : 影響・適応・脆弱性)
  • 2014年4月11日 - 第3作業部会報告書(AR5 WG III : 気候変動の緩和策)

表現

評価報告書の"政策決定者向けの要約(SPM)"と"専門家向けの要約(TS)"では、予測内容ごとの発生確率を「可能性(likelihood)」として下記のように表記している。[14]

  • ほぼ確実(virtually certain、99-100%)
  • 可能性が極めて高い(extremely likely、95-100%)
  • 可能性が非常に高い(very likely、90-100%)
  • 可能性が高い(likely、66-100%)
  • どちらかといえば(more likely than not、50-100%)
  • どちらも同程度(about as likely as not、33-66%)
  • 可能性が低い(unlikely、0-33%)
  • 可能性が非常に低い(very unlikely、0-10%)
  • 可能性が極めて低い(extremely unlikely、0-5%)
  • ほぼあり得ない(exceptionally unlikely、0-1%)

(なお一般に、危険率は5%(仮説検定#危険域の設定)、信頼限界は95%である。)

確信度(confidence; 基礎となる科学的知見の信頼性)を表すの場合は下記のように表記している[15]

  • 確信度が非常に高い(Very high confidence、正確率 90%)」
  • 確信度が高い(High confidence、正確率 80%)」
  • 中位の確信度 (Medium confidence、正確率 50%)」
  • 確信度が低い (Low confidence、正確率 20%)
  • 確信度がかなり低い (Very low confidence、正確率 10%未満)

その他、不確実性(uncertainty; 専門家の意見の一致水準、集まっている証拠の質や量)についても判断の尺度を提供している。




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