栄誉礼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/20 08:24 UTC 版)
スポーツ
栄誉礼(栄誉礼の堵列)は英語圏ではガード・オブ・オナー (英: guard of honour) と称するが、スポーツの試合でチームや個人をたたえる際に「ガード・オブ・オナー」と呼ばれる栄誉礼(の堵列)に準じた入退場のセレモニーが行われることがある。
称賛する側のチームの選手は2列に並んだ花道を作り、称賛される側(チームまたは個人)はその花道を、一般的には一列で通過する。
サッカー
近年、サッカーチームは、リーグ戦での優勝を既に決めたチームに対して(その試合で優勝が決まった場合は)試合後あるいは(直前の試合で優勝が決まった場合は)試合前に、ガード・オブ・オナーを作り敬意を示してきた[12]。ガード・オブ・オナーは場合によっては礼儀にかなっていると見なされるが、義務的とは考えられておらず、特にチームが激しいライバル関係にある場合はガード・オブ・オナーを行わない選択をすることもある[13]。スペインリーグでは「パシージョ(pasillo; 通路の意)」と呼ばれるが、過去にライバル同士のバルセロナとレアル・マドリードが互いにパシージョを拒否したことがある。Jリーグでは、2020年12月5日に行われたJ1第31節・清水エスパルス対川崎フロンターレ(IAIスタジアム日本平)で、前節優勝を決めた川崎の選手を清水の選手が迎え入れるガード・オブ・オナーが初めて行われた。清水の平岡宏章監督と運営サイドの提案によるものであるという[14]。J2リーグでも2022年10月19日に行われたJ2第41節・FC町田ゼルビア対ヴァンフォーレ甲府(町田GIONスタジアム)で、3日前の16日に第102回天皇杯で優勝した甲府の選手に対し、町田の選手がガード・オブ・オナーで迎え入れている[15]。
ガード・オブ・オナーは個人の選手に対して、そのキャリアが特に重要な転換期を迎えた時に行われることがある。例えば、スコティッシュプレミアリーグのレンジャーズの選手達は引退するダド・プルショに対して行った[16]。チェルシーはジョン・テリーの最終試合において試合の26分にテリーが途中出場する際にガード・オブ・オナーを作りピッチに送り出したが、これによって試合の進行が大きく遅延したため論議を呼んだ[17]。
オーストラリアンフットボール
オーストラリアンフットボールでは、選手は記念碑的な試合や引退試合後にフィールを離れる選手あるいはチームのためにしばしばガード・オブ・オナーを作る。例えば1996年、フリーマントルはクラブ合併前の最終試合となったフィッツロイのためにガード・オブ・オナーを作った。メルボルンとエッセンドンは2005年にスマトラ島沖地震の犠牲者トロイ・ブロードブリッジに哀悼の意を表わすためにガードを作った。コリンウッドとノース・メルボルンは両クラブで成功を収めたサヴェリオ・ロッカの引退に際して2006年にガード・オブ・オナーを作った。シニアの試合のハーフタイムに行われるリトルリーグでプレーした後、ジュニア選手らはシニア選手がフィールドに戻る際にガード・オブ・オナーを作る[18]。
クリケット
クリケットでは、通常は選手の最終試合において選手の(大抵はバッツマンとしての)功績を称えるためにガード・オブ・オナーを用いる。選手のチームメイトあるいは対戦相手は、バットを斜めに掲げてトンネルを作り、栄誉を受ける選手が歩いて通り抜ける。また、世界記録を破った時など歴史的な節目を示すためにも行われる。ボウラー(投手)が引退する時は、選手が最後にフィールドを離れる時、あるいは重要性のある会場における最終試合でプレーする時に一般的に行われる。
フィールドホッケー
近年、バルビール・シン・シニアやジェイミー・ドワイヤーのように自国のために価値のあることを成し遂げた人物のためのホッケー選手の間でガード・オブ・オナーが行われる。
- ^ 但し、師団等の創立記念における将補たる副師団長への部隊による敬礼は「頭中(かしらなか)」の敬礼が行われる事が多い。
- ^ 自衛隊法施行規則第13条
- ^ 自衛隊法施行規則第14条
- ^ 日本における法令上の標記は「と列」。
- ^ 自衛隊法施行規則第14条の2
- ^ 過去に於いては北部方面隊創隊50周年記念行事における観閲官(北部方面総監)に対する栄誉礼は、会場が札幌ドームであった関係上銃器の保管や持込に制限があり、「頭中」の敬礼をもって栄誉礼が行われた。
- ^ 基準であり、編成は状況により変化する。
- ^ 将補(一)職は4個ある冠譜のうち音程の高い順に1及び2、将補(二)職は冠譜の1または3と4を吹奏し当該階級・序列を示す。例としては旅団長に対してと団長や将補職の部隊長に対する冠譜は音程に大きな違いが明確になっており、便宜上冠譜1を一番音程が高い冠譜とすると冠譜1を最初に吹奏し団長や将補職部隊長へは2回目を3番目または4番目の2回に対して旅団長に対しては冠譜1と冠譜2を吹奏している。
- ^ 儀仗用として需要があるためスプリングフィールド・アーモリーが第二次世界大戦後も生産を継続していたことから多くの国で採用されていたが、生産終了により2010年頃から老朽化が始まっており、コピー品や外観が類似した儀仗専用銃への更新が始まっている。
- ^ Simon Dunstan (1996). The Guards : Britain's houshold division. London: Windrow & Greene. ISBN 978-1-85915-062-7
- Mike Chappell (1987). The British Army in the 1980s. London: Osprey Pub.. pp. p45. ISBN 978-0-85045-796-4
- ^ 昭和36年4月4日参議院内閣委員会における質疑応答。
- ^ “ON GUARD What is a guard of honour and do Watford have to give one to champions Chelsea?”. The Sun (2017年5月15日). 2017年12月29日閲覧。
- ^ “Hibernian will not grant Hearts a guard of honour”. Edinburgh News (2015年4月10日). 2017年12月29日閲覧。
- ^ 山下幸志朗 (2020年12月8日). “J初のガード・オブ・オナーに感じた、サッカー王国静岡の懐の深さ”. サンケイスポーツ 2020年12月8日閲覧。
- ^ “町田が天皇杯王者の甲府をリスペクト J2初の「ガード・オブ・オナー」で快挙を祝福”. スポーツニッポン. (2022年10月19日) 2022年10月20日閲覧。
- ^ “Football: TEARIO DADO; Prso breaks down as Gers stars give him an emotional send-off.”. Daily Record (2007年5月14日). 2017年12月29日閲覧。
- ^ “John Terry’s 26th-minute guard of honour send-off at Chelsea: fair or farce?”. The Guardian (2017年5月22日). 2017年12月29日閲覧。
- ^ Pedler, Emma (2013年7月30日). “Port Power missed our guard of honour”
栄誉礼と同じ種類の言葉
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