染織 染織の概要

染織

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/22 05:36 UTC 版)

ハリリコレクション日本美術英語版日光東照宮の染織」(1890年)

染織は工芸もしくは工業に属し、優れた染織品は美術品と認識される。また、世界各地に多種多様な染織の様式があり、衣装等の形で民族文化を象徴する場合がある。染織を専門に行う人を「染織家」と呼ぶ。

染織を染色と機織の工程に分けた場合、

  1. 全く染めない
  2. 糸(繊維)を染めてから織る(先染め)
  3. 布地を織ってから染める(後染め)

の3種に分類できる。

先染めは糸の段階で染め、その染めた糸を用いて織りあげる。無地のものもあるが、色糸の配置を計算して織り上げることで、様々な模様を織り出すことができる(西陣織博多織など)。格子模様も、先染めによって実現される。糸の配置を精密に計算・設計・実行しなければならないため、ジャカード織機が登場するまでは、職人の高い技術に拠る手法であり、複雑なものは非常な手間と時間がかかり、一般的には後染めより価格が高い。江戸時代の日本では、縞帳という見本帳が作られ、各家庭や問屋で継承されていた。

後染めは、染めていない糸で織り上げた織物(白生地)を、染料に浸けたり、型紙や筆などを用いて捺染する(更紗友禅染など)。単に「染め物」という時は後染めを指す場合が多い。模様のない染めのみの生地、あるいはその生地で仕立てた着物を色無地という。和服において、仕立てた時に模様が続くように染めるものを絵羽(えば)という。絵羽は手間がかかるため高価であり、江戸初期頃までは、公家や武家の上流階級しか着用できなかったが、中期頃から富裕な商人・町人層にも広がった。「ひいながた」(雛型)と呼ばれる、今のデザイン・カタログにあたるものが作られ、人々はその中から好みの模様を選び、あるいは誂えた一点物を注文した。

なお、例えば、京都の丹後産の繻子織は後染め、京都市の西陣産の繻子織は先染めというように、同種の織り方でも産地によって染めの手順は異なることがある。


  1. ^ 角山幸洋「染織」『日本大百科全書』。


「染織」の続きの解説一覧




染織と同じ種類の言葉


品詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「染織」の関連用語

染織のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



染織のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの染織 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS