末日聖徒イエス・キリスト教会
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批判と論争
教義について
キリスト教主流派の公式見解
- 全世界のカトリック教会を統率する組織であるローマ教皇庁の教理省は、モルモン教のバプテスマについて、キリストが制定したバプテスマではないことを表明している[6]。
- 米国最大のルーテル派教会である米国福音ルーテル教会は「神の言葉のモルモン理解はキリスト教の理解と同じではないので、キリスト教のバプテスマが起こっていないと言うのは正しいです。」と表明している[31]。
- 合同メソジスト教会の2000年総会公式見解では「モルモン教は自己定義によって、キリスト教信仰の歴史的、使徒的伝統の範囲内に収まりません。」とし、モルモン教のバプテスマを認めないことを表明している[7]。
- 米国最大の長老派教会である米国長老派教会は公式声明を発表し、モルモン教はキリスト教教会の歴史的な使徒的伝統とは異なる新宗教であるとしている[32]。
- ロシア正教会主教会議は「偽キリスト教セクト、新異教主義、オカルティズムについて」(1994年12月)においてモルモン教を挙げている[33]。ロシア政府は末日聖徒イエス・キリスト教会を「過激活動対策法」の対象団体としている[34]。これは布教活動を禁止し、宗教的なパンフレットの配布を制限する法律である[34]。
キリスト教関係書籍による見解
- E.ケァンズ著『基督教全史』[35]ではモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)をエホバの証人、クリスチャン・サイエンス、セブンスデー・アドベンチスト教会と同様に『非正統説の分派(異端)』として取り上げている。
- バーナード・ラムは著書『聖書解釈学概論』[36]において、モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)、エホバの証人、クリスチャン・サイエンス、セブンスデー・アドベンチスト教会に対し『聖書のほかに人間の声を加える諸教派に反対する』と述べている。
財政について
教会の財政に関して教会運営が秘密主義で透明性を欠いているとの批判がある[37][38][39]。教会が管理する1000億ドルのファンドが開示され、教会財産が過剰ではないかと批判された[40]。教会がその法人構造を利用して「非課税事業と通常事業間で融資か寄付か投資として金銭と資産を移動させて、財産と資本の管理を最適化させている」と批判的なコメンテーターは主張している[41]。
教会はオーストラリアで「重大な脱税」で告発された。オーストラリアの新聞『ジ・エイジ』と『ザ・サン・ヘラルド』の調査によると、教会の法人であるLDSチャリティーズオーストラリアは毎年7000万ドル近くの寄付を受け取っていた。しかし実はチャリティー(慈善活動)にはほとんど使っていなかったようである。調査によれば、収入の十分の一の献金や他の宗教献金が非課税であることを確実にするためにこの宗教団体を通されていた。調査報告はその発見について教会内部文書を参照して確認していない。[42][43]
注釈
出典
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