曲線の特異点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 07:51 UTC 版)
平面代数曲線
平面の代数曲線は、f を多項式関数 f: R2 → R として、f(x, y) = 0 の形の方程式を満たす点 (x, y) の集合として定義できる。f が
二重点 (double point) のタイプを描写する3つのパスカルの蝸牛形 (limaçon)。左の曲線は原点で孤立点をもち、これは平面において孤立した点である。真ん中の曲線、カージオイド (cardioid) は原点で尖点をもつ。右の曲線は原点で結節点をもち、曲線は自分自身と交わりループをなす。 上記の展開において b0, b1 がともに 0 だが c0, c1, c2 のうち少なくとも 1 つは 0 でないならば、原点は曲線の二重点 (double point) と呼ばれる。再び y = mx とおいて、f を
原点で三重点をもつ曲線。 一般に、f において次数が k よりも小さいすべての項が 0 であり、次数 k の項の少なくとも 1 つが 0 でなければ、曲線は位数 k の多重点 (multiple point) あるいは k-重点 (k-ple point) をもっていると言われる。曲線は一般に原点において k 個の接線をもつ。これらの接線のうちいくつかは虚の接線かもしれないが[5]。
媒介表示曲線
R2 において媒介変数表示された曲線は関数 g: R → R2, g(t) = (g1(t), g2(t)) の像として定義される。特異点は
カスプ 多くの曲線はどちらの仕方でも定義できるが、2つの定義は一致しないかもしれない。例えば尖点は代数曲線 x3 − y2 = 0 としても、媒介変数曲線 g(t) = (t2,t3) としても定義できて、両方の定義は原点において特異点を与える。しかしながら、y2 − x3 − x2 = 0 の原点におけるノードのような結節点は代数曲線として考えれば曲線の特異点であるが、g(t) = (t2 − 1, t(t2 − 1)) として径数付ければ、g'(t) は決して消えず、したがってノードは上で定義された媒介表示曲線の特異点「ではない」。
径数付けを選ぶときには注意が必要である。例えば直線 y = 0 は原点で特異性をもつ g(t) = (t3, 0) によって径数付けできる。g(t) = (t,0) によって径数付けされたときには非特異である。したがって、曲線の特異点よりもむしろ滑らかな写像の特異点を議論するのが技術的により正しい。
上の定義は滑らかな関数の零点集合 f−1(0) として定義される陰伏曲線をカバーするように拡張でき、代数多様体だけを考える必要はない。定義はより高次元の曲線をカバーするように拡張できる。
ハスラー・ホイットニーによる定理[6][7] は次のように述べている。
- 定理 (Whitney)
- Rn の任意の閉集合はある滑らかな関数 f: Rn → R に対する f−1(0) の解集合として生じる。
任意の媒介表示曲線は陰伏曲線として定義することもでき、曲線の特異点の分類は代数多様体の特異点の分類として研究できる。
- ^ 高木 1983, p. 311.
- ^ Hilton Chapter II §1
- ^ a b 阿部 2003, p. 43.
- ^ Hilton Chapter II §2
- ^ Hilton Chapter II §3
- ^ Brooker and Larden, Differential Germs and Catastrophes, London Mathematical Society. Lecture Notes 17. Cambridge, (1975)
- ^ Bruce and Giblin, Curves and singularities, (1984, 1992) ISBN 0-521-41985-9, ISBN 0-521-42999-4 (paperback)
- ^ 高木 1983, pp. 313–314.
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- 2 曲線の特異点の概要
- 3 特異点の種類
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