旭川女子中学生いじめ凍死事件 証言・問題点

旭川女子中学生いじめ凍死事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/15 08:30 UTC 版)

証言・問題点

証言

  • 被害者の親族によれば、2019年4月から6月にかけて合計4回にわたり母親が2019年当時の担任教師へいじめの調査を依頼したが「本当に仲のいい友達です」などと返答された。また被害者が担任教師へいじめの相談をした際、加害者には言わないよう願い出たにも関わらず、その日中に加害者に知れ渡り不信を抱かせた[26]
  • いじめグループが所属していた他の中学校で弁護士同席のもと2019年8月29日に「謝罪の会」が実施されたが、被害者の中学校は弁護士同席に難色を示し旭川市教育委員会による指導の末2019年9月11日にようやく許可した。母親の支援者によれば、被害者の中学校の「謝罪の会」は、教員は全員退席し録音も禁止された[26][27]
  • 被害者の親族によれば、校内で起きた出来事ではないため、わいせつ画像の拡散に責任は負えないと、2019年当時被害者が通っていた中学校の教頭が母親に説明した[26]
  • 2019年当時被害者が通っていた中学校の校長は「被害者の女子生徒は小学生の頃からパニックになることがあり、小学校から引き継ぎされていた。自殺未遂をする6月22日の2日前に母娘で口論になり公園を飛び出す出来事があった。公園を飛び出すのは自傷行為と同義のため以前から自殺願望があったのだと思う。いじめに関するアンケート調査を毎年行っているがいじめは認識されていない。今回の事件もいじめではない。自慰行為強要と被害者の死亡に因果関係はないと思う」と話した[28]
  • 保護者の手記によると、被害者の中学校の教頭は、「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみて下さい」と被害者の母親に発言している[29][30]。また、被害者の母親は、被害者の携帯電話の中を確認して、問題のある写真や動画を撮影させられていた事実を把握し、それを学校側に告げたが、この教頭から「これは単なる悪ふざけ。いたずらの延長だったんだから。もうこれ以上、何を望んでいるですか」と繰り返し言われた。被害者の母親が「じゃあ、娘の記憶消してください」と答えたところ、教頭は「頭おかしくなっちゃったんですか? 病院に行ったほうがいいですよ」と発言し、被害者の母親が「学校に通うというのは、とても怖くてできないと思う」と言うと、教頭は「僕なら怖くないですよ。僕は男性なので、その気持ちはわかりません」と発言した[31][32]。一方、教頭は保護者の手記で公開された「10人の加害者の未来~」などの発言を否定し、誤解を与えた可能性について謝罪の意を示した[33]
  • 被害者の中学校の元校長は、文春の取材で「何でもかんでも、いじめとは言えない」「当然悪いことではあるので、指導はしていました。今回、(被害者)さんが亡くなった事と関連があると言いたいんですか?それはないんじゃないですか」「子供は失敗する存在です。そうやって成長していくんだし、それをしっかり乗り越えてかなきゃいけない」と発言した[34]
  • 被害者の中学校は、被害者の保護者や旭川市教育委員会に対していじめの事実はなかったと説明した[35]

問題点・批判

  • 過去にも旭川女子中学生集団暴行事件を防げず、市教委や学校の対応が後手になった反省から、市教委は同様の事態が発生した場合には迅速な対応を心掛けるようにしていたが、市教委の求めに学校は全く対応せず被害者の死亡を防げなかった[35]
  • 地元テレビ局の報道関係者は、被害者が凍死し、週刊文春が報道するまで一般の大手メディアが報道しなかった理由として、一般の大手メディアも事件をつかんでいたものの、自殺未遂報道はご法度なこと、加害者が全員未成年で小学生まで事件に関係していたために報道しにくかったこと、旭川市に地方都市独特の閉塞感があり、噂話が拡散して被害者を追い詰めてしまう可能性があったことを挙げている[6]
  • 事件発生時の市長だった西川将人は、市長を辞職して第49回衆議院議員総選挙立憲民主党公認で北海道6区から出馬した。犯罪ジャーナリストの小川泰平は「責任放棄」と苦言を呈し「西川氏が市長を辞職して国政に出るという会見では、この地元で起きた事件については全く触れていなかったことに憤りを感じている」と批判した[36]。なお、西川は落選し、「公園で凍死した女子中学生の“いじめ問題”への対応などが逆風になった」と報じられた[37]

被害者および関係者や第三者の個人情報流出

  • TwitterをはじめとしたSNS上に被害者の顔写真や加害者とみなした一般人の個人情報公開が相次いだ[注 2]。実際に中学校OBの実家及び商店がいたずら電話の標的や風評被害にあっている。被害者の友人であったOB(中学の謝罪の会にも参加しており被害女子中学生との間に、理由が明らかになっていないトラブルがあった事を文春で語った)もSNSによって加害者扱いとされ誹謗中傷も受け、ノイローゼ状態となり眠れない日々があると語った[注 3]。被害者の遺族は「第三者委員会の調査の結果を信じて待ちたいと思います。ネットリンチもまた、形を変えたイジメであり、我々は望んでいません」と述べている[38]
  • あるYouTuberは、自らが加害者であると判断した女性宅に行き話を聞こうとしたとして強要未遂で2021年4月26日に逮捕され、5月17日に処分保留で釈放された[38][39]

注釈

  1. ^ いじめの重大事態の調査に関するガイドライン” (PDF). 平成29年3月 文部科学省. 2021年5月1日閲覧。
  2. ^ 元埼玉県警の佐々木成三によれば、名誉毀損罪侮辱罪威力業務妨害罪等に問われる可能性がある。
  3. ^ 商店を経営する実家の息子であるOBや被害者の友人のOBについては、いじめ事件とは無関係とされている[38]

出典

  1. ^ a b c d 「文春オンライン」特集班 (2021年4月15日). “「娘の遺体は凍っていた」14歳少女がマイナス17℃の旭川で凍死 背景に上級生の凄惨イジメ《母親が涙の告白》”. 文春オンライン. 2021年4月20日閲覧。
  2. ^ a b 旭川の中2女子遺体で発見 いじめ報道で経緯を調査」『SANSPO.COM(サンスポ)』、2021年4月21日。2021年4月23日閲覧。
  3. ^ a b 日本放送協会. “女子中学生の死亡 報道受け “いじめ”調査へ 北海道 旭川”. NHKニュース. 2021年4月22日閲覧。
  4. ^ a b 旭川市、いじめ有無の調査検討へ 生徒死亡巡る報道受け:北海道新聞 どうしん電子版”. 北海道新聞 どうしん電子版. 2021年4月22日閲覧。
  5. ^ 月刊メディアあさひかわ』2019年10月号(第318号)72頁「北星中学校学校側は事件隠蔽に躍起 女子生徒が「いじめ」で自殺未遂」(株式会社メディアあさひかわ)
  6. ^ a b 編集部. “旭川・中学生いじめ自殺、校長の“おざなりな対応”露呈…市教委・警察は「いじめ」認識”. ビジネスジャーナル/Business Journal | ビジネスの本音に迫る. 2021年4月22日閲覧。
  7. ^ 「文春オンライン」特集班 (2021年4月15日). “「ママ、死にたい」自慰行為強要、わいせつ画像拡散……氷点下の旭川で凍死した14歳女子中学生への“壮絶イジメ”《親族告発》”. 文春オンライン. 2021年4月20日閲覧。
  8. ^ a b 「文春オンライン」特集班 (2021年4月15日). “「正直何も思ってなかった」自慰行為強要、わいせつ画像拡散のイジメ加害生徒らを直撃【旭川14歳女子凍死】”. 文春オンライン. 2021年4月21日閲覧。
  9. ^ a b c d e 「文春オンライン」特集班 (2021年4月15日). “「死ぬから画像を消してください」旭川14歳女子死亡“ウッペツ川飛び込み”イジメ事件の全貌《警察が出動》”. 文春オンライン. 2021年4月20日閲覧。
  10. ^ 死体検案書に誤った病名 凍死中2女子、服用薬から推測か”. 一般社団法人共同通信社. 2021/8/20 19:51 (JST)8/21 17:07 (JST)updated閲覧。
  11. ^ “「死亡原因」欄に誤病名 旭川中2死亡 道警、服用薬から推測か”. 北海道新聞. (2021年8月21日) 
  12. ^ 第204回国会 参議院 決算委員会 第5号 令和3年4月26日”. 国会会議録検索システム. 国立国会図書館. p. 26 (2021年4月26日). 2022年3月7日閲覧。
  13. ^ 第204回国会 参議院 決算委員会 第5号 令和3年4月26日”. 国会会議録検索システム. 国立国会図書館. p. 27 (2021年4月26日). 2022年3月7日閲覧。
  14. ^ 旭川の中2女子凍死、市教委が「重大事態」認定…いじめの可能性指摘で”. 読売新聞オンライン (2021年4月27日). 2021年5月4日閲覧。
  15. ^ 市長、議会でいじめ認める 北海道旭川の中2女子死亡」『産経新聞』産経新聞社、2021年10月28日。2021年10月28日閲覧。オリジナルの2021年10月28日時点におけるアーカイブ。
  16. ^ 旭川中2凍死、いじめ認定 第三者委が遺族に報告”. 産経デジタル (2022年3月27日). 2022年4月8日閲覧。
  17. ^ 教育長が遺族に謝罪 中2女子死亡、いじめ認定受け―北海道・旭川”. 時事ドットコム (2022年4月7日). 2022年4月8日閲覧。
  18. ^ 旭川中2女子凍死、教育長が遺族に謝罪 第三者委がいじめ認定で”. 朝日新聞デジタル. 2022年4月8日 16時30分閲覧。
  19. ^ 「校内でもいじめ疑い」 旭川・遺族弁護団意見書 アンケートに記載”. 朝日新聞デジタル. 2022年8月31日 16時30分閲覧。
  20. ^ 《旭川14歳少女凍死》「死んだ本人に話を聞けてないから推測の域を出ない」第三者委員会のイジメ調査“最終報告書”その驚きの詳細「イジメと自殺の因果関係は…」文春オンライン 2022年9月5日
  21. ^ 旭川市長直属の第三者委員会を新たに設置し再調査へ 遺族側の意向を受け 女子中学生いじめ問題北海道新聞 2022年9月3日
  22. ^ a b c d e f g h i 旭川 女子中学生いじめで死亡 最終報告書公表 市は再調査方針 | NHK”. NHKニュース. 日本放送協会 (2022年9月20日). 2022年9月20日閲覧。
  23. ^ a b c d 旭川女子中学生いじめ問題 第三者委最終報告…自殺の原因は「不明」 教育長陳謝の一方、市長は再調査を表明 | TBS NEWS DIG (1ページ)”. TBS NEWS DIG. 株式会社TBSテレビ (2022年9月20日). 2022年9月20日閲覧。
  24. ^ 旭川いじめ、市教委対応は「法律違反」 第三者委が最終報告書で見解:北海道新聞 どうしん電子版”. 北海道新聞 どうしん電子版. 北海道新聞社. 2022年9月20日閲覧。
  25. ^ “旭川いじめ 最終報告書を公表 黒蕨教育長が辞任明らかに”. NHKニュース. (2022年9月24日). https://web.archive.org/web/20220924103105/https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220924/7000050914.html 2022年9月24日閲覧。 
  26. ^ a b c 「文春オンライン」特集班 (2021年4月15日). “「加害者にも未来がある。学校は責任は負えない」旭川イジメ14歳凍死 中学校教頭が母親に告げた言葉”. 文春オンライン. 2021年4月21日閲覧。
  27. ^ 「メディアあさひかわ」2019年10月号 74頁
  28. ^ 「文春オンライン」特集班 (2021年4月15日). “「イジメはなかった。彼女の中には以前から死にたいって気持ちがあったんだと思います」旭川14歳女子凍死 中学校長を直撃”. 文春オンライン. 2021年4月21日閲覧。
  29. ^ 旭川・女子中学生死亡“いじめ疑い”母親の手記公開”. テレ朝news (2021年8月19日). 2021年8月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月29日閲覧。
  30. ^ 「10人の加害者の未来と1人の被害者の未来、どっちが大切か」? いじめ隠しの学校教頭のとんでも言動”. J-CAST テレビウォッチ. ジェイキャスト (2021年8月20日). 2022年9月20日閲覧。
  31. ^ 旭川中学生いじめ自殺、教頭が母親に「頭おかしい」…NHK特集、凄惨な内容に衝撃”. Business Journal (2021年11月10日). 2021年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月10日閲覧。
  32. ^ 旭川中学生いじめ自殺、教頭が母親に「頭おかしい」…NHK特集、凄惨な内容に衝撃”. ビジネスジャーナル/Business Journal | ビジネスの本音に迫る. 株式会社サイゾー (2021年11月10日). 2022年9月20日閲覧。
  33. ^ 旭川いじめ問題 凍死した女子中学生在籍した学校で説明会「10人の加害者の未来が大切」…教頭が初めて釈明”. TBS・JNN NEWS DIG (2022年11月21日). 2022年11月23日閲覧。[リンク切れ]
  34. ^ 「文春オンライン」特集班. “「イジメはなかった。彼女の中には以前から死にたいって気持ちがあったんだと思います」旭川14歳女子凍死 中学校長を直撃”. 文春オンライン. 2022年4月15日閲覧。
  35. ^ a b 「メディアあさひかわ」2019年10月号 73頁
  36. ^ 旭川女子中学生凍死事件 衆院選出馬表明の旭川市長に対し、小川泰平氏が「責任放棄」と苦言”. デイリースポーツ (2021年8月29日). 2021年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月28日閲覧。
  37. ^ 北海道6区で敗戦 西川将人氏(立民・新人) いじめ問題など“逆風”と問われ「市長として最大限やってきた、後悔していない」(HBCニュース)…”. yahoo!ニュース (2021年10月31日). 2021年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月31日閲覧。
  38. ^ a b c 《ゼブラ柄コートの容疑者が突撃》無関係の旭川市民を晒しまくる“迷惑ユーチューバー”被害続出【1名逮捕】14歳少女イジメ凍死 - 文春オンライン、2021年5月2日閲覧
  39. ^ 自称ユーチューバーを釈放 いじめ問題で強要未遂疑い”. 産経新聞 (2021年5月17日). 2021年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月20日閲覧。


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