旭川女子中学生いじめ凍死事件
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証言・問題点
証言
- 被害者の親族によれば、2019年4月から6月にかけて合計4回にわたり母親が2019年当時の担任教師へいじめの調査を依頼したが「本当に仲のいい友達です」などと返答された。また被害者が担任教師へいじめの相談をした際、加害者には言わないよう願い出たにも関わらず、その日中に加害者に知れ渡り不信を抱かせた[26]。
- いじめグループが所属していた他の中学校で弁護士同席のもと2019年8月29日に「謝罪の会」が実施されたが、被害者の中学校は弁護士同席に難色を示し旭川市教育委員会による指導の末2019年9月11日にようやく許可した。母親の支援者によれば、被害者の中学校の「謝罪の会」は、教員は全員退席し録音も禁止された[26][27]。
- 被害者の親族によれば、校内で起きた出来事ではないため、わいせつ画像の拡散に責任は負えないと、2019年当時被害者が通っていた中学校の教頭が母親に説明した[26]。
- 2019年当時被害者が通っていた中学校の校長は「被害者の女子生徒は小学生の頃からパニックになることがあり、小学校から引き継ぎされていた。自殺未遂をする6月22日の2日前に母娘で口論になり公園を飛び出す出来事があった。公園を飛び出すのは自傷行為と同義のため以前から自殺願望があったのだと思う。いじめに関するアンケート調査を毎年行っているがいじめは認識されていない。今回の事件もいじめではない。自慰行為強要と被害者の死亡に因果関係はないと思う」と話した[28]。
- 保護者の手記によると、被害者の中学校の教頭は、「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみて下さい」と被害者の母親に発言している[29][30]。また、被害者の母親は、被害者の携帯電話の中を確認して、問題のある写真や動画を撮影させられていた事実を把握し、それを学校側に告げたが、この教頭から「これは単なる悪ふざけ。いたずらの延長だったんだから。もうこれ以上、何を望んでいるですか」と繰り返し言われた。被害者の母親が「じゃあ、娘の記憶消してください」と答えたところ、教頭は「頭おかしくなっちゃったんですか? 病院に行ったほうがいいですよ」と発言し、被害者の母親が「学校に通うというのは、とても怖くてできないと思う」と言うと、教頭は「僕なら怖くないですよ。僕は男性なので、その気持ちはわかりません」と発言した[31][32]。一方、教頭は保護者の手記で公開された「10人の加害者の未来~」などの発言を否定し、誤解を与えた可能性について謝罪の意を示した[33]。
- 被害者の中学校の元校長は、文春の取材で「何でもかんでも、いじめとは言えない」「当然悪いことではあるので、指導はしていました。今回、(被害者)さんが亡くなった事と関連があると言いたいんですか?それはないんじゃないですか」「子供は失敗する存在です。そうやって成長していくんだし、それをしっかり乗り越えてかなきゃいけない」と発言した[34]。
- 被害者の中学校は、被害者の保護者や旭川市教育委員会に対していじめの事実はなかったと説明した[35]。
問題点・批判
- 過去にも旭川女子中学生集団暴行事件を防げず、市教委や学校の対応が後手になった反省から、市教委は同様の事態が発生した場合には迅速な対応を心掛けるようにしていたが、市教委の求めに学校は全く対応せず被害者の死亡を防げなかった[35]。
- 地元テレビ局の報道関係者は、被害者が凍死し、週刊文春が報道するまで一般の大手メディアが報道しなかった理由として、一般の大手メディアも事件をつかんでいたものの、自殺未遂報道はご法度なこと、加害者が全員未成年で小学生まで事件に関係していたために報道しにくかったこと、旭川市に地方都市独特の閉塞感があり、噂話が拡散して被害者を追い詰めてしまう可能性があったことを挙げている[6]。
- 事件発生時の市長だった西川将人は、市長を辞職して第49回衆議院議員総選挙に立憲民主党公認で北海道6区から出馬した。犯罪ジャーナリストの小川泰平は「責任放棄」と苦言を呈し「西川氏が市長を辞職して国政に出るという会見では、この地元で起きた事件については全く触れていなかったことに憤りを感じている」と批判した[36]。なお、西川は落選し、「公園で凍死した女子中学生の“いじめ問題”への対応などが逆風になった」と報じられた[37]。
被害者および関係者や第三者の個人情報流出
- TwitterをはじめとしたSNS上に被害者の顔写真や加害者とみなした一般人の個人情報公開が相次いだ[注 2]。実際に中学校OBの実家及び商店がいたずら電話の標的や風評被害にあっている。被害者の友人であったOB(中学の謝罪の会にも参加しており被害女子中学生との間に、理由が明らかになっていないトラブルがあった事を文春で語った)もSNSによって加害者扱いとされ誹謗中傷も受け、ノイローゼ状態となり眠れない日々があると語った[注 3]。被害者の遺族は「第三者委員会の調査の結果を信じて待ちたいと思います。ネットリンチもまた、形を変えたイジメであり、我々は望んでいません」と述べている[38]。
- あるYouTuberは、自らが加害者であると判断した女性宅に行き話を聞こうとしたとして強要未遂で2021年4月26日に逮捕され、5月17日に処分保留で釈放された[38][39]。
注釈
出典
- ^ a b c d 「文春オンライン」特集班 (2021年4月15日). “「娘の遺体は凍っていた」14歳少女がマイナス17℃の旭川で凍死 背景に上級生の凄惨イジメ《母親が涙の告白》”. 文春オンライン. 2021年4月20日閲覧。
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- ^ “旭川女子中学生凍死事件 衆院選出馬表明の旭川市長に対し、小川泰平氏が「責任放棄」と苦言”. デイリースポーツ (2021年8月29日). 2021年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月28日閲覧。
- ^ “北海道6区で敗戦 西川将人氏(立民・新人) いじめ問題など“逆風”と問われ「市長として最大限やってきた、後悔していない」(HBCニュース)…”. yahoo!ニュース (2021年10月31日). 2021年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月31日閲覧。
- ^ a b c 《ゼブラ柄コートの容疑者が突撃》無関係の旭川市民を晒しまくる“迷惑ユーチューバー”被害続出【1名逮捕】14歳少女イジメ凍死 - 文春オンライン、2021年5月2日閲覧
- ^ “自称ユーチューバーを釈放 いじめ問題で強要未遂疑い”. 産経新聞 (2021年5月17日). 2021年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月20日閲覧。
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