旧本郷家住宅 本郷家隆盛の源 河港のまち「角間川」の歴史

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旧本郷家住宅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/08 23:40 UTC 版)

本郷家隆盛の源 河港のまち「角間川」の歴史

秋田県大仙市の南端に位置する角間川町地区は、秋田県の内陸南部に広がる日本有数の穀倉地帯である横手盆地の中央部に位置し、盆地西縁を北に向かって流れる「秋田の母なる川」とも称される雄物川とその支流の横手川の合流点に位置している。

角間川は、関ヶ原の戦い後に改易されたこの地方の豪族「小野寺」氏の城主格を含む旧臣72人が慶長7年(1602年)に佐竹藩に仕官を願い出て、梅津半右衛門憲忠組下の給人となり、侍の身分を持ちながら農夫として荒地の開墾を行い、新田開発により今日の基礎を築いた。[5]

江戸時代に、角間川港が米穀を中心とした物資の集積地、また生活物資等の集散地として、舟運の要衝に位置づけられ商業的な地主が成立し、明治期には県内を代表する地主町として広く知られ、角間川は大いに繁栄した。

近世における内町(侍町・給人屋敷)と外町(商人町)といった町割りは、大仙市内において特徴的であり、現在でも内町には、侍町の特徴を表す鉤型の通りが遺っている。

角間川給人屋敷のモミ群(大仙市指定天然記念物)

2019年(平成31年)4月24日、内町(角間川町字下中町地内)の旧落合家屋敷地(旧武家屋敷)に現存する9本のモミ群(幹周囲最大2.86 m - 最少1.88 m)が大仙市指定天然記念物に指定されている。

この9本のモミ群は、角間川聖人と慕われた儒学者「落合東堤」の生誕地に所在し、江戸後期に植えられたと考えられる。山間部において自生する群落林は他でも確認されているが、平地の町場でのこの規模の群生は珍しく貴重である。

モミ群は、北西からの季節風などを防ぐ防風林、防火、屋敷囲い、出世や家の繁栄を願う縁起の良い木、給人(武家)屋敷としての家の格式の誇示、土地の有力者を表す目印(ランドマーク)などの役割が想定でき、角間川給人屋敷の屋敷割りや、角間川地区の歴史的環境を語る視点からも重要な遺産である。

※現在個人住宅敷地であり敷地内へ入っての見学は不可。市道側からの望観見学は可能。

河港のまち角間川・歴史まちづくり事業

角間川町地区に遺る雄物川舟運の歴史を伝える建造物群等を活かしたまちづくりが、現在大仙市により進められている。基本計画が策定されており、事業期間は平成28年度 - 令和7年度までの10年間で、前期5年で建造物の保存修理や改修が行われる計画である。整備事業の一部に国交省所管の「空き家対策総合支援事業補助金」が活用されている。

旧本郷家住宅を中心に、隣接する同じく近代の大地主であった旧北島家住宅・旧荒川家住宅の三家の屋敷群、角間川五人衆の一人である旧最上家住宅、角間川港(河港)に現存する明治初期建築の浜倉などを回遊できる町内のゾーニングや、まち歩きガイドの養成などが計画されている。


注釈

  1. ^ 長岡安平は、「近代造園の祖」、また「近代公園の先駆者」とも称される明治期から大正期の造園家である。芝公園もみじ谷(東京都)や札幌大通り公園(北海道)のほか、秋田県では千秋公園(秋田市指定名勝)、旧池田氏庭園(大仙市所在、国の名勝)他多数を設計している。角間川町における長岡安平造園作品群については、関連作品群と連携させた広い範囲での調査研究の進展が望まれている。

出典

  1. ^ 『大仙市文化財調査報告書 第26集 河港のまち角間川・歴史まちづくり事業基本計画〜雄物川舟運の歴史を伝える建造物等を活かしたまちづくりの推進〜』2017年 秋田県大仙市・大仙市教育委員会 P15
  2. ^ 『大仙市文化財調査報告書 第26集 河港のまち角間川・歴史まちづくり事業基本計画〜雄物川舟運の歴史を伝える建造物等を活かしたまちづくりの推進〜』2017年 秋田県大仙市・大仙市教育委員会 P15
  3. ^ 『大仙市文化財調査報告書 第26集 河港のまち角間川・歴史まちづくり事業基本計画〜雄物川舟運の歴史を伝える建造物等を活かしたまちづくりの推進〜』2017年 秋田県大仙市・大仙市教育委員会 P15〜16
  4. ^ 『大仙市文化財調査報告書 第26集 河港のまち角間川・歴史まちづくり事業基本計画〜雄物川舟運の歴史を伝える建造物等を活かしたまちづくりの推進〜』2017年 秋田県大仙市・大仙市教育委員会P16
  5. ^ 『大仙市文化財調査報告書 第26集 河港のまち角間川・歴史まちづくり事業基本計画〜雄物川舟運の歴史を伝える建造物等を活かしたまちづくりの推進〜』2017年 秋田県大仙市・大仙市教育委員会 P3〜4


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