戦う司書シリーズ 戦う司書シリーズの概要

戦う司書シリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/11 23:09 UTC 版)

戦う司書シリーズ
ジャンル バトル[1]SF[2]ファンタジー[1]
小説
著者 山形石雄
イラスト 前嶋重機
出版社 集英社
レーベル スーパーダッシュ文庫
刊行期間 2005年9月22日 - 2010年1月22日
巻数 全10巻
漫画:戦う司書と恋する爆弾
原作・原案など 山形石雄
作画 篠原九
出版社 集英社
掲載誌 ウルトラジャンプエッグ
レーベル ヤングジャンプ・コミックス
発表期間 2008年3月 - 2009年10月
巻数 全3巻
アニメ:戦う司書 The Book of Bantorra
監督 篠原俊哉
シリーズ構成 岡田麿里
キャラクターデザイン 山田正樹
音楽 平野義久
アニメーション制作 david production
製作 バントーラ図書館
放送局 放送局参照
放送期間 2009年10月2日 - 2010年4月2日
話数 全27話
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画アニメ
ポータル 文学漫画アニメ

メディアミックス作品として、2008年3月から2009年10月まで、ウェブコミック誌ウルトラジャンプエッグ』において、篠原九の作画で『戦う司書と恋する爆弾』が漫画化、連載された。また、2009年10月から2010年4月にかけて、『戦う司書 The Book of Bantorra』のタイトルでテレビアニメが放送された。

ストーリー

図書館の『本』に死者の全てが収められる世界。その世界に生きる、記憶を、思考することを奪われ、胸に爆弾を埋め込まれた少年コリオ=トニスら3人は『本』の鉱山町であるトアットを訪れる。彼は、世界最強の武装司書であるハミュッツ=メセタを殺すことだけを目的に生きていた。しかし彼は、美しい姫の『本』に一目惚れをしてしまう。ハミュッツ=メセタを殺すために潜む暗殺者達とハミュッツ=メセタとの戦いが始まり、恋に落ちてしまったコリオもその渦中へと巻き込まれていく。

登場人物

武装司書

館長代行・一級

ハミュッツ=メセタ
- 朴璐美[3](少女期:喜多村英梨
本作の主人公。世界最強といわれる実力を持つ、現在バントーラ図書館の館長代行者を務める30代前半の女性。通称「ハミ」「代行」。施設・職員ともに華やかな雰囲気をまとう図書館の中では珍しく、そばかすのある顔に化粧をほとんどせず、黒いリボンにうさぎのアップリケがついたシャツ、ズボン姿、サンダルという、非常にラフな格好をしている。
一見ズボラでのんびりしているが、その本性は極めて冷酷かつ好戦的で、生への執着と同時に存在する「他者に殺されたい」という異質な被殺願望から、「全力での死闘の果てに殺されたい」という異常な行動理念を持ち、常に望んで自らを死地へと追いこんでいる。その好戦的な部分が目立つが、戦闘のないときは館長代行の職務をまっとうにこなしている。自身を図書館に引き入れたマットアラストとは、交際した期間もあるが離縁、復縁を数度繰り返した腐れ縁。刺繍が数少ない趣味。
触覚器・視覚器・聴覚器を見えない糸として放出する「触覚糸」と、「強い力で物を投げる」魔法権利を持っており、触覚糸によって最大50kmにも渡る広範囲の索敵を行い、特製の投石器によって半径35kmもの射程範囲を誇る超遠距離狙撃を得意とする。その投石器は神々の制作した『追憶の戦器』ですら破壊することは難しいとされるほどの強度を持ち、戦車のパーツや飛行機さえも射出することが可能。
マットアラスト=バロリー
声 - 大川透[3]
30代男性で、ハミュッツの右腕的存在。通称「マット」。ハミュッツらとともに武装司書の裏の顔や「天国」の存在を知る一人で、公表できない裏の仕事を密かに担当する。世界各地に私兵や隠れ家、隠し財産が存在し、裏社会での権力も高い。針子であったハミュッツに一目惚れし、彼女を口説き落として武装司書へと引き抜いた張本人であり、離縁、復縁を数度繰り返した腐れ縁でもある。
サボり魔・嘘つき・女好きと揃った飄々とした性格で、私生活も奔放だが、それに反して最年少で武装司書に上り詰めた天才でもあり、接近戦であればハミュッツと互角の実力を持つ。未来予知の魔法権利を持ち、2秒後を常時予知し続けることが可能。常人では撃てないレベルの反動がある拳銃を愛用し、高い身体能力と判断力によって、予知の内容を基に「斬られてから避ける、命中してから銃を撃つ」隙のない戦闘を行う。
イレイア=キティ
声 - 竹口安芸子[4](青年期:田村ゆかり
武装司書の指導教官をしている、古参の50代女性。気さくで落ち着きがあり、普段は図書館の休憩室で紅茶や自家製の菓子をふるまう、司書達にとっては母親のような存在。しかしそれに反して若い頃は武装司書屈指の武闘派として知られ、挑む者を震え上がらせる威厳は未だ健在であり、若かった頃のハミュッツやマットアラストを本気で畏怖させるほどの危険人物。武装司書であることに誇りを持っており、その潔癖な性格から実力者ながらも天国の正体は知らされていない。
終章の獣でさえ片手のみで吹っ飛ばすほどの凄まじい怪力を持ち、現役時代は自分の体より遥かに大きい鉄柱を片腕で振り回し標的を殲滅するという、掟破りの戦法を披露していた。「視界に映るものの時の流れを操作する」魔法権利を持ち、時の流れを遅らせる事で敵の動きを止めたり、逆に敵の新陳代謝の時を早める事で一瞬のうちに餓死させたりといった芸当を得意としている。自分や遮蔽物の時を止めて破壊されない状態にする事で、絶対的な防御力を得ることも可能。ただし最も根源的な理である時の操作は消耗が激しく、高齢も伴い持久力が低いのが弱点であり、現在は緊急事態でなければ出動はしない。
蒼淵呪病の大乱にて戦死するも、ルルタの仮想臓腑内での最後の戦いにおいて、ハミュッツの「『本』食われ」によってなぜか彼女のみ青年期の姿で召喚され、現役時代の圧倒的な破壊力を披露し多くの終章の獣を殲滅した。
モッカニア=フルール
声 - 石田彰[3]
ハミュッツと並んで最強の武装司書と言われる23歳の男。魔法権利は蟻の召喚。召喚した蟻で敵を圧死させるほど大量に召喚することも可能。動けない敵なら30秒ほどで白骨化できるほど。反面、優しすぎる性格の持ち主であり、協定違反した軍を攻撃する際に慰問に訪れていた少年楽団を巻き込んで全員殺してしまった一件がトラウマとなり、母がいた幼い頃に帰りたいと望むようになる。一般人と触れ合うことを避け、図書館の迷宮内部に母がいた頃を再現した部屋を作り、そこで生活している。
そんな中、ウインケニーによって偽の母親・レナスを与えられ、偽者と知りながらもその人との時間を守るために武装司書を裏切る。図書迷宮を占拠し、侵入してきたハミュッツと互角の戦いを繰り広げるが、偽の母親が本物の母親の『本』を読み、自分が偽者であることを知ってしまう。神溺教団によって全ての記憶を消されていた彼女はそれでもモッカニアの母として振舞うほかなかった。そして自分の勝手で彼女を傷つけてしまったことを悔い、自ら命を絶った。 ルルタの仮想臓腑内での最後の戦いにおいて、ハミュッツの「『本』食われ」によって召喚され、終章の獣相手に激戦を繰り広げる。
ユキゾナ=ハムロー
声 - 小西克幸
次期館長代行と目される男性。屈指の実力者で仕事にも熱心だが、治療不可能な胸の病気にかかっており、その治療が可能な実妹・ユーリと常に行動を共にしている。呼吸に影響が出る事から低温の地下迷宮での業務に向かないため、各国とバントーラ図書館との調停などを主に行っており、妹・ユーリとともにあまり図書館にはいない。モッカニアとは友人。天国の存在を知る者の一人。
幼い頃妹・ユーリへの強い嫉妬心が無意識のうちに魔術審議を行う事となり、腐壊波動(ふかいはどう)と呼ばれる黒い波動を放ち、触れた生き物は老化し、生き物でないものはすべて腐敗させる魔法権利を手に入れている。
フィーキー=クイン
声 - 竹本英史
迷宮の最速踏破記録を持つ真面目な性格の男性。魔法権利は鋼海潜行(地面や壁を水のように潜り、泳ぐこと)。単純な戦闘力でいえば見習い程度しかないが、この能力によって一度の戦闘も経ずに単独での迷宮制覇に成功、一級の資格を得た。なお大型の衛獣を相手取る場合は、体内へ侵入して内側から破壊するという戦法をとるため、第二封印迷宮の衛獣を相手にしても遅れを取ることはない。
モッカニアの反乱において功を焦るあまり戦死するも、ルルタの仮想臓腑内での最後の戦いにおいて、ハミュッツの「『本』食われ」によって召喚され、共に終章の獣と闘った。

二級

キャサリロ=トトナ
声 - 広橋涼[4]
20代半ばのウエスタン風の女性。能天気で飄々としているが、ヴォルケンに並ぶ実力を持つ有力な司書。リズリーの指導監督を務めており、ノロティとも交友がある。
精度の高い念動力の魔法権利を持ち、それにより複数の火器を一度に扱う戦法を得意とする。普段は12丁の拳銃を一度に扱っているが、必要の際はさらに重火器を一気に用意・発射する。
ルイーク=ハルトアイン
声 - 遠藤大輔
普段は北方辺境にある鉱山の管理を任されているベテラン男性でかなりの巨漢。全身を鋼鉄に変える魔法権利を持ち、その防御力と、100kgを超える巨大な鉄の槍を操る優れた体術を組み合わせて戦う。
ガモ=ロッソ
声 - 竹内良太[5]
ハミュッツとは同期の中年男性。五感を極限まで研ぎ澄ませる魔法権利を持ち、それによる情報支援を行う。
ボンボ=タータマル
クジラ使いの男。彼が操るクジラは空を飛ぶことができる(もともと飛べるクジラを操っているのか、魔法権利で飛ばせているのかは不明)。使用する魔法権利の性質上、屋外、特に海上での戦いを得意とし、迷宮に入ることはできないので一級への昇格はできていないが、鯨を相手の上に落下させる攻撃は強力で、1人で一国の海軍を撃破することも容易。ゆえに次代代行ナンバー2ともいわれる。また、食べることに異常な執着を持っており、かなりの肥満体型。性格はハミュッツをして「かなりのクソッタレ」と言わしめる人物で、魔法権利の特性の問題がなければ館長代行の最有力候補とされていた。天国の存在を知る者の一人。
ビザク=ジーグラス
声 - 後藤哲夫
鎧を着た40代の男性で図書館ではイレイアに次いで古参。槍を武器として使う。魔法権利は「敵へ向かって突撃するときだけ爆発的な加速力を得る」こと。ヴォルケンとは親しい仲。ヴォルケンと戦い負傷したところをダルトムに殺された。しかしその状況下から、ヴォルケンが殺害したと誤解されている。ルルタの仮想臓腑内での最後の戦いにおいて、ハミュッツの「『本』食われ」によって召喚され、共に終章の獣と闘った。
キャスマ=トト
声 - 坂巻学
銀色の長髪を持ち古風なローブをまとっている男性。あらかじめ特定の魔法権利を習得するのではなく、その場で印や呪言を使って魔術審議を組み立てる古いタイプの魔法使いで、戦闘には向かない分能力に応用が利くので、他の司書の補助に適しており、主にイレイア同様後進の指導を担当している。アロウ沖船舶強襲事件において、その能力を活かし白煙号周囲に張られたシャーロットの結界を解いてみせたが、人間爆弾の爆発に巻き込まれて戦死する。ルルタの仮想臓腑内での最後の戦いにおいて、ハミュッツの「『本』食われ」によって召喚され、共に終章の獣と闘った。

三級

ミレポック=ファインデル
声 - 沢城みゆき[3]
元グインベクス帝国の仕官候補生だった20歳前後の女性。通称「ミレポ」。在軍中マットアラストに気に入られてハミュッツに引き抜かれた。ノロティの指導役でもある。堅物ともいえるほどの真面目な仕事人間であり、休暇を取っただけで図書館内では戦慄が走るほど。ヴォルケンとは同期で、彼に好意を抱いている。
魔法権利はテレパシーによる思考共有。顔と名前がわかれば一度に多数の人間に、距離に関係なく使える。思考共有としては最上級レベルであるとともに、一定以上の戦闘能力を併せ持つ事から、武装司書としてはハミュッツ以上になくてはならない存在とされている。思考共有は通常送信しかできないが、相手も魔法権利を習得していれば送受信が可能(ハミュッツのようにそれができない人もいる)。
ミンス=チェザイン
声 - 三宅健太[4]
26歳の屈強な肉体を持つ男性。もとはイスモとよばれる街の盗賊だったが、イレイアに敗北してつかまり、ハミュッツによって強引に武装司書にされた。魔法権利は聖浄眼(人の心を観ること。どのような性格か、今怒っているのか悲しんでいるのか、嘘や隠し事があるか、などをすべて見抜く)。見た目に反して、前線で戦うよりもスパイの発見や尋問など後方支援に向いた人物。戦闘においては鉈のような剣を用いた肉弾戦を行う。
カチュア亡き後、「天国」の正体を聞かされ新たな楽園管理者に選ばれた。
ヴォルケン=マクマーニ
声 - 中村悠一[3](幼少時:木村はるか
20歳前後の男性。古風な武装司書の制服を常に着用するなど、武装司書であることに誇りを持つ、自他ともに厳しいながらも実直な青年。先代館長代行であるフォトナの養子で、彼をとりわけ敬愛している。自由自在に形状を決められる幻を作り出す魔法権利を生まれ持ち、その証である髪は若草色の髪を持つ。幻を自らの分身に変えて相手を撹乱しながら、鉄のリングに2本の小刀を仕込んだ専用の剣・『マクマーニの舞剣』を念動力によって宙を舞わせる事で、投擲武器や空中での足場として利用する身軽な戦法を行う。まだ若く三級ながらも実力・意識とも十分で、成長すれば館長代行まで上り詰めることが可能だと目されていた。しかしアロウ沖事件で白煙号を沈めたのはハミュッツであることを知り、その正義感から彼女に反旗を翻す。
武装司書は正義であると信じ続けてきたが、白煙号の件を自分以外の全員が知りながら黙認していたこと、神溺教団が武装司書の下部組織でありフォトナがそれを知りながら正義を語っていたことを知り絶望、その隙を突かれハミュッツに殺された。ルルタの仮想臓腑内での最後の戦いにおいて、ハミュッツの「『本』食われ」によって召喚され、共に闘った。アニメ版では原作とは違い、ハミュッツに武装司書の誇りを説き、決戦後には師であるビザクと共に誇りを抱きながら逝くという最期であった。
ルイモン=マハトン
声 - 遠藤大智[4]
若い男性で、身長193cm、体重110kgの巨漢。ノロティの指導教官でもあった。魔法権利は肉体強化、巨大な銃を扱い戦う。外見に反して穏やかな性格。
人間爆弾の自爆に巻き込まれ死亡。死後、『本』はザトウ=ロンドホーンに強奪され彼に食われることとなり、仮想臓腑の中でザトウの意識を封じ込めた。
ユーリ=ハムロー
声 - 佐藤利奈
ユキゾナとは2歳離れた実の妹。魔法権利は兄の病気を治療する事。ただし根本的な治療はできず、一時的な抑制のみに留まる為兄と離れて行動することはあまりなく、三級にも拘わらず天国の存在を知る者の一人である。戦闘時には拳銃を用いる。
ダルトム
声 - 岸尾だいすけ
トアット鉱山の管理を任されているオカマ。剣を用いた戦闘を得意とする。
裏の顔は神溺教団の擬人であり、カチュアの忠実な手足としてビザク、ノロティ、アーキットを殺害するも、達成後にその卑しい人格を嫌ったカチュアによって始末された。
テナ=ターノ
新人の少女。おかっぱ頭。奇怪ともとれる言動が目立つ。

見習い

ノロティ=マルチェ
声 - 戸松遥[3]
褐色肌の10代後半の少女。ポニーテールとへそ出しルックが特徴的。絶対に人を殺さないという信念を持っているため、殺さずに戦える方法を追求しており、両膝、両肘、拳に巻きつけた荒縄で打撃力を高めた素手での戦闘を行う。その信念から各地で「武装司書に向かない」と評され、本来後輩であるはずのミレポックに追い抜かれてしまう等成果は伸び悩み気味だが、その信念がエンリケ、そして武装司書そのものを救う事となる、最「優」の司書。武器を使わないながらも戦闘力そのものは高く、エンリケの特訓もあり三級武装司書なら軽く上回る実力の持ち主。
トアット鉱山における神溺教団のテロの阻止を命じられ、そこでアーキット=クロマと出会う。武装司書を強く憎むアーキットを殺すことなく説得し、心を許されるようになるが、アーキットの憎悪を完成させるために神溺教団に寝返ったダルトムに殺されてしまう。『本』はラスコールによってエンリケに届けられ、さらにエンリケの手でアーキットに伝えられ、彼女の思いは武装司書を救った。ルルタの仮想臓腑内での最後の戦いにおいて、ハミュッツの「『本』食われ」によって召喚され、終章の獣相手に激戦を繰り広げる。
リズリー=カロン
声 - 阿部敦[4]
小柄な18歳の少年。監督はキャサリロ。まだ見習いながらも実力は十分で、蒼淵呪病の大乱から1年後には武装司書に昇格している。レイピアから衝撃波を飛ばす魔法権利を持つ。料理と園芸が得意。
ヤンクゥ=クイン
15歳の少年。ノロティとは同村出身で、彼女への憧れから司書を目指すようになった。泥を操る魔法権利を持っている。ノロティが武装司書を目指して村を離れてからは彼が村を支えている。血は繋がっていないが、マニ=リッカーという9歳の妹がいる。

引退・死亡

フォトナ=バードギャモン
声 - 古澤徹
先代館長代行。10代後半の青年の顔立ちをしているが実年齢は40代。ハミュッツに代行の座を譲って以降、行方不明だったが、現在は虚構抹消杯アーガックスにより武装司書であった頃の記憶を捨て去り、郵便配達員(一般人)として生活している。厳格な性格だが記憶改変後は人当たりのいい顔をしている。
自身の「確信」をもった想念を現実に具現化する、夢想侵略(むそうしんりゃく)という魔法権利を持ち、これにより「切った」という確信だけで実際に切らずとも対象を切断するなど、対象の防御力などを無視した戦闘を行う。
マキア=デキシアート
声 - てらそままさき
ハミュッツの3代前の館長代行でカチュアが武装司書であった頃の同期。スペードの形をした眼帯が特徴の、飄々とした伊達男。卓越した身体能力と、念動力を込めた強力な斬撃を得意とする。また、予知能力を持ち、本人はこの力を自分の最高の能力だと自負している。しかし、仕事もほぼ人任せだった事から周囲からの評価は芳しくなかった。
人任せにしていた本当の理由は、自分の前の館長代行をルルタに殺された事に起因する。ルルタを憎み、かつ確実に殺す方法を探すため、ルルタの事を徹底的に調べ上げていた。そんな中ルルタに「自分を殺して欲しい」と依頼を受けた事から、代行の任から退き研究施設を設立。禁断の魔術「魂の改造」を研究・習得した後、生来の魔法権利から目を付けたハミュッツとチャコリーを生後間もないうちに誘拐、戦闘や魔法を叩き込んだ末に脳と魂を改造、ルルタを殺すためだけの道具へと育て上げた。そのためにハミュッツから憎悪される。後にチャコリーとハミュッツはマキアが病死するままに放置、ルルタを倒すために研究所跡を去り今に至る。
アニメ版では、研究施設はハミュッツの手で壊滅させられ、最後は使命を果たせなかったチャコリーの面倒を見るため、土砂運びとして過ごした末に死亡。『本』はラスコールの手によってハミュッツに届けられている。
ハイザ=ミーケン
声 - 宮坂俊蔵
二級武装司書の男性。長いこと勤めていたが実力はさほど高くない。グインベクス帝国軍と癒着した罪により処断された。フィーキーが見習いであったころの監督でもある。

過去神島の住民

エンリケ=ビスハイル
声 - 野島裕史[3]
雷撃と超回復能力の魔法権利を操る、透明な髪を持つ長身の男性。生前は「最強の怪物」を作ろうとしたガンバンゼルに集められた「肉」の少年で、雷撃の魔法権利を持っていたが、最期はザトウに殺害された後『本』として食われた。しかし、逆に仮想臓腑の中からザトウの意識に干渉してザトウの肉体を乗っ取り、最終的に心を通わせたノロティと仮想臓腑の中の修行仲間やルイモンの助けによって、ザトウの意識が封印されエンリケとして甦った。なお上記の透明な髪をはじめとした外見はザトウのもので、生前は黒い短髪に三白眼の少年だった。後に数年を経て身体が主人格となった魂に合わせて変質を遂げ、頭髪を除き本来のエンリケの容姿に近づきつつある。
ガンバンゼルに集められる前に出逢ったレーリアに影響を受け、「笑える」ようになろうと願うようになり、それを叶えてくれたノロティへの恩返しのため過去神島に留まり、図書館の非正規職員として武装司書に力を貸すようになる。ザトウの身体を得てからもなお仮想臓腑に秘められた能力を引き出し続ける(超回復能力は後述する修行仲間の少年カヤスの魔法権利)など、非常に高い魔術の才能を秘めており、武装司書ではないもののマットアラストと互角の戦闘能力を持つ。ノロティの死後は生気を失い放浪するも、ノロティや「肉」だった仲間の仇である天国への復讐を決意、オリビアから「菫色の願い」を受け継ぎ打倒天国のために暗躍する。
オリビア=リットレット
声 - 大原さやか
神溺教団の「肉」だった美女。ウインケニーらの手でモッカニアの母・レナスの人格を植えつけられた状態で過去神島に連れてこられ、その後本来の人格が甦り、自らの望みを果たすためヴォルケンやエンリケに協力する。男性のような口調で口が悪いが、狡猾な策略と強い意志を併せ持つ。幼い頃「肉」にされる前、自分を教団から守ってくれたベンド=ルガーの1体と友情を築いた事から、彼から「菫色の願い」を受け継いだ者でもあり、それによりハミュッツに狙われる。
幼少時、神溺教団の擬人に捕らわれ「肉」の一員となる。しかしその飛びぬけた容姿から、神溺教団の真人・シャーロットに拾われ、教団に奪われた記憶を取り戻そうと願い、自転人形ユックユックと周りの「肉」を利用して魔術を学んでいた。後に計画を知られてシャーロットともに再度記憶を消され、ウインケニーの手によってレナスに仕立て上げられる事となるも、過去神島で暮らすうちにオリビアの人格を取り戻し、ハミュッツの追跡を受けながらもヴォルケンの協力の下ユックユックに秘められた「教団の「肉」達に愛の記憶を取り戻す」魔法権利を発動させ、教団の瓦解の中心的な役割を担った。その後は記憶を取り戻したシャーロットの手でハミュッツの追跡を逃れ、天国の打倒を願うエンリケに「菫色の願い」を受け継がせた後、入念な下準備の基ミレポックを騙してアーガックスの水を飲み計画の総てを忘却した。
レナス=フルール
声 - 大原さやか
ウインケニーの手配でオリビアに植えつけられた、モッカニアの実母・レナスの人格を忠実にコピーした別人格。ウインケニーの計画により教団の思想や予備知識などは植えつけられておらず、暴力を嫌うおしとやかな性格。
モッカニアに武装司書への反乱を行わせるキーパーソンとして、視力と歩行能力を一時的に奪われた状態で過去神島に連れて来られる。自身をモッカニアの母であると信じ込んでいたが、偶然図書館迷宮でモッカニアが保管していたレナスの『本』を読んでしまった事で真実を知り、モッカニアを止める。その後は平穏に生活していたが、オリビアの人格が甦り2人の人格が混在し始める状態となり、オリビアに理解を示していたために彼女に人格を支配されることを了承した。

神溺教団

楽園管理者・真人

カチュア=ビーインハス
声 - 大木民夫[4]
神溺教団の総帥である楽園管理者。薄緑色の頭髪の、小柄・痩身の老人。元は一級武装司書だったが、マキアの館長代行就任と同時に楽園管理者に就任、それから積極的に神溺教団の勢力を拡大していき、反乱を起こして武装司書に取ってかわろうと目論んだ。「人の認識を操作する」魔法権利を生まれ持ち、その証である針葉樹色の髪を持つ。普段は自分を「単なる1人の男」として認識させる事で自分の存在を隠蔽しており、必要時には自分を「全くの他者」として認識させる事で変装も可能となる他、戦闘時には自分の位置を錯覚させる事による頭脳戦を行う。
この世の総てに不満を持ち、自分以外の存在をどうとも思わない歪んだ人格の持ち主で、成長するに従って「絶対的な「神」による支配体制の社会を作る」という野心を持つようになり、そのために武装司書となった珍しい人物。同僚だったマキアとともにルルタの絶対的な力を目の当たりにした事で彼に心酔し、武装司書を排除してルルタを自分の理想である「神」とした世界を作ろうと、神溺教団を自らの私兵として勢力を拡大していった。彼の計画は途中でベンド=ルガーを見たハミュッツにのみ見破られる事となったが、その上で被殺願望を持つ彼女の挑戦とも言うべき黙認を受けている。
最終的に蒼淵呪病にアーキットの憎しみを移植することで武装司書を壊滅寸前まで追い込んだが、エンリケの落雷を受けて死亡し、蒼淵呪病も彼が届けたノロティの『本』によって解除されてしまう。

  尚、楽園管理者は真人ではなく、擬人として扱われる。

シガル=クルケッサ
声 - 置鮎龍太郎[3]
神溺教団の真人。人間爆弾を生んだ人物の一人でもある。金を集めることに執着している。自身が幸福になることを第一と考え、自身以外の者が幸福になることを許さない、極端なまでに利己的な男。
シロン=ブーヤコーニッシュの『本』に遺された予知から、人間爆弾、龍骸咳と呼ばれる伝染病、そして台風を利用した作戦を立て、ハミュッツの戦闘能力を制限、常笑いの魔刀シュラムッフェンを構えハミュッツと対峙する。作戦の成功によって優位に戦闘を展開するが、シロンの予知によって戦う決意とただ一瞬の勝利の可能性を見出したコリオに致命傷を負わされ、最期はハミュッツの一撃により死亡した。
ガンバンゼル=グロフ
声 - 納谷六朗[4]
神溺教団の真人の老人。年老いるまでは普通の人生を送ってきたが、偶然目撃したハミュッツの圧倒的な戦闘能力に魅了され、秘められた破壊願望をカチュアに認められて入信した。自称博愛主義者
破壊願望を満たすため「最強の怪物」を作ることに執着、「肉」を集めて魔法権利を習得させ、『本』食いの能力者・ザトウに彼らの本を食わせ多くの魔法を扱えるようにする事で望みを果たそうとした。最期はハミュッツに殺される。
アニメ版ではエンリケに殺され、幸福のうちに『本』となってルルタに捧げられる。

擬人

ウインケニー=ビゼ
声 - 野島健児[4]
神溺教団の擬人。丸眼鏡の痩躯な体をした男性。子供の頃、母親(声 - 安芸けい子)に従って入信した。強力な武装司書になると予知されたモッカニアの天敵となるべく修行をした。しかし結果、得られた魔法権利は自分の体を石油に変える魔法のみだった。ゆえに役立たずのレッテルを貼られている。現在は表の顔として新聞記者を務めつつ、神溺教団の連絡員として活動している。
モッカニアを操り、反乱を起こさせるために彼の全てを調べ上げた。結果的にモッカニアを裏切らせることに成功したが、ハミュッツを殺すことは失敗した。
アルメ=ノートン
声 - 平田宏美
シガルの部下で、シガルを慕う20歳前後の女性。短髪の赤い髪、赤い肌を持つ。ハミュッツほど広域ではないが、触覚糸が使える。ヴァイオリンを弾くのが上手い。錆びた剣を打撃武器として使う。通称「赤錆の女」。
シガルに仕え、彼からも絶大な信頼を得ていた。しかしシガルに仕える自分は幸福であるという発言から、見捨てられてしまう。捨てられた後も彼を慕っていたが、捨てられた理由を理解出来ずにいた。そしてシガルが亡くなり、彼を殺した者への復讐としてラスコール=オセロを付け狙う中でミレポックと出会う。互いに共感しあうが戦いは避けられず、ミレポックとマットアラストに敗れて死亡。
ザトウ=ロンドホーン
声 - 浜田賢二[5]
身長185cmほどの透明な頭髪の男性。珍しいと言われている本喰いで、沼の仮想臓腑も持つ。ガンバンゼルの元で多くの『本』を食べ、多くの魔法権利を得て「怪物」となり、バントーラ図書館を奇襲する。
エンリケの『本』も食べ、彼の魔法権利を持つ。しかしたまたま触れたクモラの『本』がエンリケの人格を呼び出すきっかけとなり、一時的ながらもエンリケに人格を支配される。後に人格を取り戻すが、ルイモンやカヤスなどにより自身の仮想臓腑内に押さえ込まれ、エンリケに完全に支配された。
ロコロ=ボバッツ
神溺教団の擬人(戦士)の男性。それなりの戦闘力を持つが、軽薄で思慮浅い面があり、団員からは軽蔑されている。
ウインケニーにモッカニアを裏切らせる作戦を詳しく聞かされておらず、ドジを踏みモッカニアに殺される。
シャーロット
声 - 楠見尚己
神溺教団の擬人。小太りの男性。転送の魔法権利を持ち教団内でも高位にいた。「肉」であったオリビア=リットレットに目をつけ、自分のそばに置いていた。その後、オリビアの件で失態を犯した罰として「肉」へと降格した。
ボラモット=メイフ
声 - 岩崎正寛[5]
ガンバンゼルの部下である擬人の男性。身に纏う布を操る魔法権利を持つ。「最強の怪物」を作るために集めた少年たちの監督をしている。アルメやウインケニーの教官を務めていたこともある。エンリケに殺された。
ザッキー=マイロン
声 - 坂巻学[4]
神溺教団の擬人。パーニィに仕え、彼女に忠実な男性。山猫のごとく敵に飛び掛り殺害する。
オルト=ゴーラ
声 - 菊本平
神溺教団の擬人。ザッキー同様、パーニィに仕える老人の男性。
ラティ=マルグンド
声 - 牧口真幸
慈善団体「マルグンド人類進歩財団」の代表理事の女性。以前はパーニィの付き人をしていた。
アニメ版では楽園管理者に就いたミンスの付き人。

肉・兵器

コリオ=トニス
声 - 入野自由[3]
武装司書ハミュッツ=メセタを殺すために派遣された人間爆弾の少年。ハミュッツ殺害以外の事柄には関心が無く、ひどく無愛想な性格。しかしハミュッツを探す途中、『猫色の姫の本』を見つけたことで、彼の運命や考え方は大きく変わる。15歳前後で、猫背。
レーリア=ブックワット
声 - 遠藤大輔[4]
ハミュッツを殺すために派遣された人間爆弾の少年。20歳前後。人間爆弾でありながら、記憶や人格を残している。そのためか、人間爆弾の中でリーダー的な位置づけにある。過去にエンリケやクモラと出会い、彼らに影響を与えた。シガルを殺害しようと自身の胸の爆弾を爆発させ、死亡。
ヒョウエ=ジャンフス
声 - 江口拓也[4]
ハミュッツを殺すために派遣された人間爆弾の少年。常に顔色が悪い。17歳前後。爆弾を埋め込んだ傷が癒えず、体の不調を訴えていた。その後、暴発により死亡。
ベンド=ルガー
神溺教団に作られた兵器。鉛の体を持つ。元は神溺教団に属していた人間であり、魔術で動く自動人形とするべく動力回路を脳に埋め込まれた改造人間。なお、ベンド=ルガー1個体の名前ではなく、あくまで兵器の名前。思考共有されて思考は1つだが本体は何体も存在する。元はカチュアが対武装司書用に開発した物である。
カヤス
声 - 宮崎寛務[5]
ガンバンゼルが「最強の怪物」を作るために集めた少年たちの1人で、リーダー格。超回復の魔法権利を持つ。ボラモットに殺害され死亡。死後、ザトウに『本』を食われるものの、ルイモンとともに仮想臓腑内にザトウを押さえ込む。つまり現在のエンリケの超回復は彼のものである。
ロンケニー
声 - 井口祐一
ガンバンゼルが「最強の怪物」を作るために集めた少年たちの1人。炎を生成する魔法権利を持つ。エンリケに敗れ死亡。死後、ザトウに『本』を食われる。
ササリ
声 - 宮坂俊蔵
ガンバンゼルが「最強の怪物」を作るために集めた少年たちの1人。水を操る魔法権利を持つ。人一倍、エンリケを嫌悪していた。エンリケとほぼ互角であったが敗れ死亡。死後、ザトウに『本』を食われる。
クモラ
声 - 後藤沙緒里[5]
ガンバンゼルが「最強の怪物」を作るために集めた少年たちの世話係の少女。17歳前後で、小柄。過去にレーリアと出会い、人を助けたいと思うようになる。
エンリケを「殺し好きな人物」と思い、恐れており、彼に関わろうとしないようにしていた。しかしエンリケの本心を聞き、戸惑いながらも彼を許した。その思いは届くことなく、エンリケに殺害され死亡するが、死後、『本』はガンバンゼルの元へと渡り、後にザトウが偶然にも触れることとなる。

元・真人

シロン=ブーヤコーニッシュ
声 - 川澄綾子[3]
神溺教団の真人。約250年前の人間で、コリオ=トニスが見つけた『本』の少女。通称「常笑いの魔女」。三毛猫のようなまだら色の髪を持つ18歳。コリオからは「三毛猫色の姫様」、略して「猫色の姫様」と呼ばれている。空前絶後の予知能力者であり、1000年先の予言を可能とする。
チャコリー=ココット
声 - 野中藍
ハミュッツの2歳下の友人で、妹的存在。褐色の肌と、のような紫色の頭髪に前髪の一房だけが白髪なのが特徴。他者の心を読み取り、自身の考えを強制的に植えつけることのできる魔法権利・『心魂共有』を生まれつき持ち、菫色の髪はその証。魔法権利の譲渡も習得している。
生まれ持った魔法権利からマキアに目を付けられ、幼少期にハミュッツとともに誘拐され、ルルタを殺すための「道具」として育てられた。そのためルルタには異常ともいえるほどの執着心を抱いており、教団に所属しながらもルルタ=天国を滅ぼそうとした事から、『菫の咎人』と呼ばれ武装司書と神溺教団の両方から追われる身となる。結果的にルルタを殺す事には失敗したが、同時になすべき事がルルタを「救う」事と知り、その「菫色の願い」を教団で知り合ったベンド=ルガーに引き継いでいる。
原作では物語開始前にハミュッツに発見され殺されているが、アニメではハミュッツの「死より重い罰」としてあえて生かされ、マキアの庇護を受け廃人同然で生きている。
パーニィ=パールマンタ
声 - 林真里花
神溺教団の真人で、かつて人気を博した女優。本名リサ=パニス、23歳。突然何者かにより斬殺された。故人。
唯一の友人・メルと2人暮らしで、長いこと無名の女優であったが、女優業を諦めかけていた頃に神溺教団に目をつけられた。神溺教団により人気女優へと仕立て上げられ、幸福を手に入れる。しかしラスコールの存在を知り、会いたいと思うようになる。ラスコールを追うことは許されていないため、密かに探り始めるものの神溺教団に気付かれ、殺害された。

楽園時代の人物

ルルタ=クーザンクーナ
声 - 櫻井孝宏
バントーラ図書館二代目館長を務める、砂漠の仮想臓腑を持つ「『本』食い」の能力者であり、神溺教団の言う「天国」の正体。楽園時代、終章の獣に対抗するべく10万人もの戦士の『本』を捧げられたことで、肉体強化、超回復、思考共有、様々な魔法攻撃といった基本的な魔法から、樹木への変身による不老不死、シュラムッフェンよりも完全な因果抹消攻撃などの強力な魔法まで、膨大な数の魔法権利を獲得した無敵の存在。普段は図書館の地下迷宮にある第2封印書庫にて、樹木に変身した状態で佇んでいる。
猫色の髪を持つ予知能力者の予言から、「終章の獣から世界を救う英雄」という宿命を背負いながら生まれ、その責任感と恐怖心とのジレンマに自殺を考えるほど苦しんでいたが、それを理解したニーニウによって救われ、やがて愛し合ったニーニウを守ろうという意志によって恐怖心を克服した。しかしヴーエキサルの暗躍によって虚構抹消杯アーガックスの水を飲まされニーニウの事を忘却、ニーニウの変身した『虚無色の髪の石像』を打ち倒してしまう結果となり、残されたニーニウの『本』に触れて記憶を取り戻し世界に絶望、ニーニウの『本』を食う事でオルントーラの力を手に入れ彼自身が終章の獣を操る魔王となった。その後は仮想臓腑の中のニーニウの「滅びの意思」を鎮めるため、幸福に満ちた『本』から記憶を抽出してニーニウに与えることを思いつき、『本』を得るためにバントーラ図書館を牛耳り神溺教団を作らせ、2000年に渡る両組織による悲劇の元凶となった。
ニーニウ
声 - 能登麻美子
楽園時代の人間。苦しむ人々の心の声を感じ取り、癒しの歌によってその人物を救う「歌い人」と呼ばれる10代後半の少女。三つ編みにした長い金髪に、前髪の一房だけが赤紫色をしている。かつてルルタの心の叫びを感じ取り、彼と深く愛し合うようになったが、それを嫌ったヴーエキサルによって暗殺されてしまい、深い絶望から未来神オルントーラと同化し『虚無色の髪の石像』へと変化、終章の獣を操り世界を滅ぼす『滅びの意思』そのものとなってしまう。世界を滅ぼそうとするもルルタに敗北し再度死亡、残された『本』は全ての真実を知ったルルタによって食われ、これにより『虚無色の髪の石像』としての機能は全てルルタへと受け継がれた。
ヴーエキサル=メリオト
声 - 青山穣
楽園時代のメリオト国王。ルルタから絶大な信頼を得ており、彼自身もルルタを崇拝している。ニーニウ殺害後、ルルタに虚構抹消杯アーガックスを飲ませ、ニーニウの存在を消し去る。しかしニーニウの記憶を思い出し、激昂したルルタに殺害される。
ヒハク=ヤンモ
楽園時代の人間。兵士で、30代の痩せた男性。カーロイという7歳の息子と2人暮らし。体を樹木に変える魔法権利を持つ。死後、その『本』はルルタに食べられ、ルルタがその魔法権利を手に入れる。そのお陰で2000年近くもの間、彼は生き続けている。
ミエナ=ヤンモ
楽園時代の人間。ヒハクの妻。魔法権利は針使い。故人。

その他の主要人物

ラスコール=オセロ
声 - 川久保潔(老人姿)、中津川南美(少女姿)
500年以上前から世界中を暗躍し、追憶の戦器『過ぎ去りし石剣ヨル』の力で死人の魂を一瞬のうちに『本』に変え、人から人へと受け継がせていく謎の『本』屋。特定の人物の『本』を読む事で何らかの行動を起こすであろう人間に『本』を読ませる事で、本編で起こる大半の出来事の仕掛け人となっている存在。
その正体は石剣ヨルそのものであり、石剣の持ち主となっている人間はあくまで石剣に操られた死体に過ぎず、そのため登場するごとに老人、少女といった様々な外見で現れている。館長代行、楽園管理者の双方と接触し、双方から存在を秘匿されているが、ラスコール自身は武装司書、神溺教団といった勢力に加わる事はなく、石剣に込められた『人々の紡ぐ物語の続きを観る』という強い欲求を行動原理としている。
アーキット=クロマ
声 - 釘宮理恵
武装司書嫌いの10歳前後の少年。かつてモッカニアが巻き込んでしまった少年楽団員の生き残りで、そのことで武装司書を強く憎んでいる。そして、その憎悪をカチュアに利用され蒼淵呪病を用いた計画に使われようとする。しかし、ノロティと出会い彼女に心を許す。それを見て、カチュアは裏切り者のダルトムを使ってノロティを殺し、アーキットにより深い憎しみを抱かせることに成功する。
その後、鬱黒蜥蜴に魂を移植され、蒼淵呪病の病原に変えられる。しかし、エンリケによって届けられたノロティの『本』を読み、憎むことを止め、蒼淵呪病は消滅する。
イア=ミラ
声 - 吉田聖子
トアット鉱山街に住む売春婦。カートヘロ=マッシェアの恋人で、彼より1歳下。カートヘロが亡くなり、気落ちしていたところ、コリオと出会う。その後、神溺教団により竜骸咳に感染させられてしまう。
カートヘロ=マッシェア
声 - 中田隼人
トアット鉱山街に住む男性。イアの恋人。三毛ボンという名前の三毛猫を飼っている。パンを売り、生活している。ヒョウエの爆破に巻き込まれ、死亡。シロンの『本』を所持しており、イアとともに『本』の中の彼女に呼びかけていた。

作中の大きな事件

アロウ沖船舶強襲事件(アロウおきせんぱくきょうしゅうじけん)
イスモ共和国東岸の北方辺境にほど近い海・アロウ湾にて、擬人達と大量の人間爆弾を含めた「肉」が搭乗する神溺教団の船・白煙号(はくえんごう)を、ハミュッツ率いる武装司書が強襲した事件。二級武装司書・キャスマが人間爆弾の奇襲により戦死しながらも、擬人らは武装司書の手で全滅し制圧が完了。その後は「肉」の救助が行われる手はずだったが、ベンド=ルガーの意志を継ぐ存在・オリビア=リットレットの存在を知ったハミュッツによって、船は「肉」達もろとも沈められてしまった。
武装司書とカチュア率いる神溺教団の戦争の幕開けとなった事件であり、シロン=ブーヤコーニッシュの『本』の一部と龍骸咳の病原体、そして自転人形ユックユックなどの数々の物品が発見され、後に起こる様々な事件を示唆する出来事となった。
龍骸咳事件(りゅうがいぜきじけん)
神溺教団の真人・シガル=クルケッサが伝染病の蔓延を計画した事件。未遂。
致死性・感染力が高い伝染病である龍骸咳の病原体とその治療法を手に入れたシガルが、龍骸咳を蔓延させた上で治療薬を独占販売することで巨万の富を得ようと画策した。武装司書の介入を避けるための作戦としてハミュッツ=メセタをおびき寄せて殺害しようと計画していたが失敗、首謀者であるシガルは死亡。
武装司書が龍骸咳の治療法を手に入れたため、若干の感染者は出たものの大きな被害や混乱はないまま事件は未遂に終わった。
怪物事件(かいぶつじけん)
神溺教団の真人・ガンバンゼル=グロフが計画した、「怪物」・ザトウ=ロンドホーンによって図書館が襲撃された事件。
モッカニアの反乱(モッカニアのはんらん)
神溺教団の擬人ウィンケニー=ビゼがモッカニア=フルールを裏切らせ、バントーラ図書館を攻撃した事件。
蒼淵呪病の大乱(そうえんじゅびょうのたいらん)
神溺教団の楽園管理者カチュア=ビーインハスが、改造した蒼淵呪病によって世界中の人々に武装司書を敵視させ、バントーラ図書館を壊滅させようと計画した事件。
バントーラ図書館の終焉(バントーラとしょかんのしゅうえん)
突如バントーラ図書館館長・ルルタが「世界を滅ぼす」と宣言。「涙なき結末の力」によって図書館を含む全世界の人間を眠らせる。わずかに残った数人がルルタと戦い、同時にルルタの仮想臓腑の中でルルタに食われた『本』の人物がルルタを止めるために行動する。
戦いの中でバントーラ図書館の来歴が全世界に対して公表され建物も倒壊してしまったため、バントーラ図書館は再建されることなく消滅。『本』を収集、保管する業務は別の団体へ引き継がれた。

  1. ^ a b c 榎本秋『ライトノベル最強!ブックガイド 少年系』NTT出版、2009年12月3日初版第1刷発行、124-125頁。ISBN 978-4-7571-4231-2 
  2. ^ 『SFが読みたい! 2006年版』早川書房、2006年2月、113頁。ISBN 4-15-208706-4 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『メガミマガジン 2009年12月号』 学習研究社、2009年10月30日発売、160頁、ASIN B002SUI9KS
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 戦う司書 The Book of Bantorra”. allcinema. 2022年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月16日閲覧。
  5. ^ a b c d e 戦う司書 The Book of Bantorra”. メディア芸術データベース. 2023年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月16日閲覧。
  6. ^ 戦う司書と恋する爆弾”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。
  7. ^ 戦う司書と雷の愚者”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。
  8. ^ 戦う司書と黒蟻の迷宮”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。
  9. ^ 戦う司書と神の石剣”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。
  10. ^ 戦う司書と追想の魔女”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。
  11. ^ 戦う司書と荒縄の姫君”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。
  12. ^ 戦う司書と虚言者の宴”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。
  13. ^ 戦う司書と終章の獣”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。
  14. ^ 戦う司書と絶望の魔王”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。
  15. ^ 戦う司書と世界の力”. 集英社. 2023年11月23日閲覧。


「戦う司書シリーズ」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「戦う司書シリーズ」の関連用語

戦う司書シリーズのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



戦う司書シリーズのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの戦う司書シリーズ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS