大漢和辞典 大漢和辞典の親字数

大漢和辞典

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 07:53 UTC 版)

大漢和辞典の親字数

大漢和辞典の親字番号(大漢和番号)は49,964番まであるが、本文中の各所でダッシュ付番号による親字の補入や、欠番による削除の形跡が見られる。また改版毎に画数の訂正等による順序の入れ替えも見られる。親字数の変遷は下表の通りである。補巻では追加された親字の番号が804番まである。これらを総計すると、修訂第二版では補巻を加え、親字は合計51,110文字あることになる。

大漢和辞典 発行年 欠番号 ダッシュ付番号 2ダッシュ付番号 親字総数 備考
初版 1955-1960 151番号 497番号 1番号 50,311
縮写版 1966-1968 154番号 502番号 2番号 50,314 3字追加、3字移動
修訂版 1984-1986 171番号 510番号 2番号 50,305 11字削除、2字追加、9字移動
修訂二版 1989-1990 174番号 513番号 3番号 50,306 1字追加、16字移動

ただし修訂第二版においても、親字の中には同形・同音を持つ漢字が多数散見される。これらは異なる出典から採取された同じ漢字が、たまたま異なる部首に配されたためにそのまま気付かれずに重複して掲載された可能性がある。これまでに同形でかつ、同音・同義またはそれと疑わしい漢字は70組ほど確認されており、それらを考慮すると大漢和辞典の親字の数は、約51,000程度であると言える。

JIS・UCS (Unicode) の漢字コードとの関係

大漢和辞典は日本の文字コードの策定にあたって、文字を同定するための参考図書として大きな影響を与えた。

1990年に制定されたJIS X 0212:1990および、2000年に制定されたJIS X 0213:2000年版のいずれにも、大漢和辞典の番号が参考情報として掲載されている。また、国際漢字符号標準化組織であるCJK-JRG(現在のISO/IEC JTC 1/SC 2/WG 2/IRG)が、1991年9月から12月にかけて日本・中国・台湾・韓国の漢字コードを整理して “Unified Repertoire and Ordering” (URO) を制定した際にも、文字の同定、および文字の並び順を決める際に、康熙字典と並んで大漢和辞典が利用された。その際、UROの20,902文字と大漢和辞典の番号との対応表が作成され、ISO/IEC 10646:1992の翻訳規格であるJIS X 0221:1995および2001の解説に掲載されている(2007年改正版では掲載は見送られた)。UROは、ISO/IEC 10646 (UCS) およびUnicodeの漢字コード表の基礎となった。

ISO/IEC 10646 (UCS) およびUnicodeでは、1998年から2017年にわたり拡張漢字AF(Extension-A to F)として63,000字以上が制定されている。大漢和辞典との公式な対応表は作成されていないが、実際には大漢和辞典収録文字のほとんどが戸籍統一文字に収録されているため、これを経てUCS/Unicodeへ符号化されている。拡張漢字Fまでに符号化されていないものは、独立行政法人情報処理推進機構の調査によれば25字[8]京都大学漢字情報研究センターの安岡孝一によればおよそ22字であり、これらをすべて追加提案する予定であるという[9]

大漢和辞典では一部の当用漢字において、1点之繞と2点之繞の違いしかない漢字や、3画の草冠と4画の草冠の違いしかない漢字などにも個別に親字を配している。一方で、UCS/Unicodeでは、これらの字形の違いは区別せず、さらに音義が異なっていても字形が類似した漢字は統合している[注釈 2]場合がある。そのため、大漢和辞典の親字をUCSで符号化するにあたってはおよそ500組程度の大漢和辞典の親字が同一符号となるが、こうした字体の区別をプレーンテキスト上で可能にさせるために異体字セレクタで対応している[10]

脚注


注釈

  1. ^ 完結を記念し、鎌田正(門下生・編者代表)による回顧録『大漢和辞典と我が九十年』(大修館書店、2001年)が刊行。
  2. ^ 例えば「書」(U+066F8)は、大漢和辞典番号 13928 と 14294 に対応する(脚の「日」と「曰」の異なり)。異体字セレクタ17(U+E0100)または異体字セレクタ18(U+E0101)を付加することでそれぞれ表現することができる。

出典

  1. ^ 大漢和辞典記念室 - 大修館書店 漢字文化資料館 (2020年11月閲覧)
  2. ^ 「諸橋大漢和」ついにデジタル化 不可能といわれた辞典プロジェクトが実現 - 朝日新聞社 好書好日 (2018年12月18日 コラム) (2020年11月閲覧)
  3. ^ 橋本行博『「大漢和辞典」編纂資料としての「新撰支那時文辞典」』(花園大学文学部研究紀要)
  4. ^ 詳しい経緯は、原田種成『漢文のすゝめ』-「第二章 諸橋〈大漢和辞典〉編纂秘話」
  5. ^ この間、ガイド本『「大漢和辞典」を読む』(紀田順一郎編、大修館書店、1986年)が刊行。第1部が紀田が、他は12名が執筆している
  6. ^ 大漢和辞典デジタル版 | 大修館書店 創業100周年記念企画(2018年9月閲覧)
  7. ^ Web版「大漢和辞典」をJK Lib追加コンテンツとして公開 - NetAdvance・2021年4月1日
  8. ^ 文字情報基盤 モジラボ - 字辞典UCS対応情報 (2016-08-30版による)
  9. ^ 安岡孝一『ISO/IEC 10646:2017にない日本の漢和辞典の漢字』2018年3月
  10. ^ Unicode コンソーシアム: Ideographic Variation Database - 2017年12月12日版では戸籍統一文字収録の6万字をカバーしている。


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