同一性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 01:28 UTC 版)
同一性(どういつせい)とは、主に英語の「identity」を翻訳した語であり、多義語である。日本語に即して説明すれば、ひとくちに同一性といっても二種類の意味があり、「Aは何者なのか」という意味での同一性と、「AとBは同じだ」という意味での同一性がある。さらに以下のように細分化して言い換えられる。
- ^ a b 飯田隆「同一性」『岩波 哲学・思想事典』岩波書店、1998年、ISBN 9784000800891
- ^ 英語には「idem」に直接あたる語が無い。一方でドイツ語などにはある。(ラテン語の文法#指示代名詞の格変化 などを参照)
- ^ Russell 1912:72,1997 edition.
- ^ 「(全ての定義はそもそも分割可能ではあるにしても、)2つのものは、それぞれの本質について述べる定義の一方が、もう一方について我々に対し表現する別の定義から分割できないとき、1つのものとして呼ばれる。」-アリストテレス「形而上学」第4書、第4部(c)
- ^ 「しかるに、それぞれの物自体およびその本質は、これまでの議論および、少なくとも一方の事物を知ることはその本質を知ることにほかならないことから、単なる偶然ではなくひとつの同一のものである。よって、両者がひとつのものに違いないということは明らかなのである。」-アリストテレス「形而上学」第7書、第6部
- ^ 「もしある事物の定義がその事物の本質を指し示す表現であり、その事物について述べる際に含まれる(複数の)述語もまたそれぞれがその事物の本質のカテゴリー(アリストテレスは、「範疇論」において、述語の種類を実体・量・質・関係…などの10種類のカテゴリーに分類し、どの個物もひとつの分類に属さねばならないものとした)の中で叙述される唯一のものであるならば、かつそれら(複数の)述語の類似点や相違点が同様にそのような本質のカテゴリーの中で叙述されるならば、その述語がそのカテゴリーにおいて叙述される唯一の属性であると言ってよい場合にその述語を含む叙述表現が必然的にその事物の定義であることは明らかである。なぜならば、本質のカテゴリーにおいてその事物についての他の叙述の仕方は存在しようがないと理解されるため、他のいかなる叙述もその事物についての定義とはなり得ないからである。」-アリストテレス「トピカ」第7書、第1部
- ^ 決定的命題とは、その命題の中に存在するある語が他の語の定義となっているものを指す(例:希望とは未来を喜びに満ちて見通すことである)。
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