原初年代記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/11 13:43 UTC 版)
評価
ヨーロッパの修道士によって書かれた多くの中世年代記と違い、原初年代記は東スラヴ人の古代の歴史に関する唯一の記された証拠である点において極めてユニークである。重要な訂正が『ノヴゴロド第一年代記』(en)によって与えられているとはいえ、キエフ大公国の歴史に関するその包括的な記載はほかの情報源では見られないものである。また、本年代記は古代東スラヴ文学(en)を研究する上での標本としても第1級の価値を持っている。
日本語訳書
- 除村吉太郎「原初年代記」『ロシヤ年代記』弘文堂書房、1943年。doi:10.11501/3441782。
- 除村吉太郎『ユーラシア叢書30 ロシヤ年代記』原書房 1979年
- 國本哲男 / 山口巌 / 中条直樹(訳者代表)『ロシア原初年代記』名古屋大学出版会 1987年 ISBN 4930689759
- 中澤敦夫「『イパーチイ年代記』翻訳と注釈(1) : 『原初年代記』への追加記事(1110~1117年)」『富山大学人文学部紀要』第61巻、富山大学人文学部、2014年8月、233-268頁、CRID 1390853649736563968、doi:10.15099/00000292、hdl:10110/12937、ISSN 03865975。
このうち1943年初出の除村訳『原初年代記』について、中村喜和は「この年代記の名称の確定」と「古拙で雄勁な文体」の2点で後進にとって記念碑的意義をもち「我が国のロシア研究者にきわめて大きな影響をおよぼした」訳書だとしている(中村 1988, p. 78)。また國本らによる『ロシア原初年代記』についても「ロシア研究における新しい記念碑として歴史にのこるであろう」と評価している(中村 1988, p. 81)。
脚注
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