全国人民代表大会常務委員会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/24 20:58 UTC 版)
常務委員会の構成員
委員長(1名)、副委員長(若干名)、秘書長(1名)、委員(約200名)によって構成される。毎期の全人代第1回会議における大会主席団が全人代議員から立候補者を指名し、大会の全体会議において選挙を行って選出される。任期は5年。構成員の連続当選の制限はない。ただし、委員長と副委員長の職に連続して2期を超えて就くことはできない。なお、常務委員会の構成員は国家行政機関・監察機関[2]・裁判機関・検察機関の職務の兼任を禁止されている[1]。
常務委員会の権限
全国人民代表大会代表(議員)選挙を主宰し(憲法59条)、全人代を召集し(憲法61条)、憲法改正の提議を行い(憲法64条)、全人代閉会中に各専門委員会の指導を行い(憲法70条)、必要な場合は調査委員会を組織して国家機関等に対し調査を行う(憲法71条)ほか、以下の職権を行使する(憲法67条)[3]。
- 憲法を解釈し、憲法の施行を監督する。
- 全国人民代表大会が制定しなければならない法律[注 1]以外のその他の法律を制定し、及び、改正する。
- 全国人民代表大会閉会期間において、全国人民代表大会が制定した法律に対して部分的に補充し、及び、改正するが、但し、当該法律の基本原則と抵触してはならない。
- 法律を解釈する。
- 全国人民代表大会閉会期間において、国民経済および社会発展計画、国家予算の執行過程において行わなければならない部分的調整プログラムを審査し、及び、承認する。
- 国務院、中央軍事委員会、国家監察委員会[注 2] 、最高人民法院及び最高人民検察院の任務遂行を監督する。
- 憲法・法律に抵触する、国務院が制定する行政法規、決定及び命令を取り消す。
- 省、自治区、直轄市の国家権力機関が制定する、憲法、法律及び行政法規と抵触する地方性法規及び決議を取り消す。
- 全国人民代表大会閉会期間において、国務院総理の指名に基づいて、部長(大臣)・委員会主任(大臣級)・監査長(会計検査長)・秘書長の人選を決定する。
- 全国人民代表大会閉会期間において、中央軍事委員会主席の指名に基づいて、中央軍事委員会のその他の要員の人選を決定する。
- 国家監察委員会主任の指名に基づき、国家監察委員会副主任、同委員会委員を任免する[注 2]。
- 最高人民法院院長の提案に基づき、最高人民法院副院長・裁判員(裁判官)・裁判委員会委員及び軍事法院院長を任免する。
- 最高人民検察院検察長の提案に基づき、最高人民検察院副検察長・検察員(検察官)・検察委員会委員及び軍事検察院検察長を任免し、かつ、省、自治区、直轄市の人民検察院検察長の任免を承認する。
- 駐外全権代表の任免を決定する。
- 外国と締結する条約及び重要な協定の承認及び廃棄を決定する。
- 軍人及び外交要員の官等制度及びその他の専門官等制度を定める。
- 国家の勲章・栄誉称号を定め、及び、授与を決定する。
- 特赦を決定する。
- 全国人民代表大会閉会期間において、国家が武力侵犯を受け、または、国際的に共同して侵略を防止する条約を履行しなければならない状況にある場合には、戦争状態を宣布する。
- 全国総動員または局部動員を決定する。
- 全国または個別の省、自治区、直轄市が緊急状態に入ったことを決定する。
- 全国人民代表大会が授与するその他の職権。
常務委員会構成員の権限
常務委員会構成員は、法律の定める手続きにしたがい、常務委員会の権限に属する議案を提出する権利を有する(憲法72条)。また常務委員会開会中、法律の定める手続きにしたがい、国務院または国務院各部、各委員会に対し、質問書を提出する権利を有する。質問を受けた機関は責任をもって回答しなければならない(憲法73条)。
注釈
- ^ 憲法第62条第3号に全人代の職権として「刑事、民事、国家機構及びその他の基本的法律を制定及び改正する。」と規定されている。この基本的法律(基本法)として民法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、国務院組織法、地方各級人民代表大会および地方各級人民政府組織法、人民法院組織法、人民検察院組織法、選挙法、民族区域自治法、特別行政区の設立および特別行政区の管理制度に関する法律などが挙げられる[4][5]。
- ^ a b 2018年の憲法改正により国家監察委員会の事項が追加された[4]。
- ^ この他に全人代主席団、各代表団が全人代に法律案を提出でき、全人代代表も30名以上の連名により全人代に法律案を提出できる(立法法14条・15条)。
出典
- 全国人民代表大会常務委員会のページへのリンク