停電
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/24 05:28 UTC 版)
概要
電気は19世紀以後より非常に便利なエネルギー源として、多くの文明がある地域で利用されるに至っており、多くの人がこれに依存した生活を送っている。このため供給が滞れば、これらの人々の生活が混乱する。停電は、この電力供給が停止した状態であるが、現象ないし事件としては、この電力供給停止に伴って発生した混乱とセットで扱われる。
現在の日本では他国に比べて電力供給が非常に安定しており、停電はかなり少なく、その少なさは先進国中でも突出している。2001–2002年における一般家庭の年間平均停電時間は、アメリカ 73分、イギリス 63分、フランス 57分、日本 9分[1]となっている。これは、平成8年(1996年)の改正まで電気事業法により、各電力会社は電力を供給する義務が課せられていたことと、電気に対し非常に高い品質を要求した消費者[注 1]があり、それに対し設備の設計上の工夫や増強、ならびに停電復旧の迅速化などを絶え間なく行って応えた電力会社の努力の結果に負うところが大きい。このため、社会インフラ・各家庭等でも「停電は無いもの」「あってもすぐに復旧する」として、停電用の備えをしていない場合が多い。
日本でも2011年3月11日の東日本大震災では大規模な停電を生じ、その後、震災の影響による電力供給の低下により計画停電が実施されるなど節電や停電への備えが社会的な課題となっている。
開発途上国・貧困国では老朽化した送電設備や発電所の問題により、日に数時間停電するのは当たり前となっている地域も少なくない。かつてオイルショック時代のフランス等が早朝の送電を停止していた例のように、停電が計画的に実施されることもある。
なお日本などでは電力供給が滞りなく行われるのが通例であるため、計画停電を除き、電力会社側が原因で停電した場合には、電力料金を割り引く制度(停電割引)がある。
東京電力の場合、一般家庭契約で一時間以上の停電が有った場合、一日あたり基本料金の4%を割り引く。停電情報は「東京電力パワーグリッド」の停電情報を参照することで確認できる。
停電するのが常態となっているような地域では、余りそのような制度は見られず、ガスのように消費電力量のみによって使用料が請求される。
注釈
出典
- ^ 電気事業の現状2001-2002 電気事業連合会
- ^ “阪神・淡路大震災〜応急送電までの7Days”. 関西電力株式会社. 2024年1月3日閲覧。
- ^ “4原発が同時停止、ウクライナで前例のない「停電」 ロシアの空爆で”. CNN (2022年11月25日). 2023年7月3日閲覧。
- ^ “アメリカで高まる極右過激派テロの懸念 南部の大規模停電にも関与? トランプ氏敗北で暴力加速との指摘”. 中日新聞 (2022年12月13日). 2023年7月3日閲覧。
- ^ Yahoo!JAPANのデータセンターで「瞬間的な停電」15日未明まで障害(インターネットウォッチ2005年7月15日13:39)2010年12月10日閲覧
- ^ 東芝の工場が瞬間停電で操業停止、NAND出荷量最大2割減も(ロイター2010年12月9日19:56)2010年12月10日閲覧
- ^ 雪で停電 22万世帯暗い昼 『中国新聞』 1975年1月23日 朝刊15面
- ^ "停電の原因「需給バランス崩れる ブラックアウト」北海道電力". NHK. 2018年9月6日. 2018年9月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月7日閲覧。
- ^ “道内全域停電をもたらした、ブラックアウトとは?”. ハフィントンポスト (2018年9月6日). 2018年9月7日閲覧。
- ^ “令和元年台風15号における鉄塔及び電柱の損壊事故調査検討ワーキンググループ中間報告”. 経済産業省 (2020年). 2022年2月2日閲覧。
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