倍加時間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/03 07:11 UTC 版)
倍加時間は、2の自然対数を、増加率の冪指数で割ることで求められる。あるいは、パーセントで表した増加率の数値で70を割ると概算値が求められる。さらに大まかな値を求めるのに、70の代わりに約数の多い72を使う方法が良く知られており、「72の法則」と呼ばれている。
倍加時間は指数関数的増加方程式の特性単位であり、倍加時間の逆の指数関数的減衰に対する同種の値が半減期である。
例えば、2006年のカナダの年間の人口増加率は0.9%であり、70を0.9で割るとおおよその倍加時間である78年が求められる。ここから、人口増加率が変わらない場合、2006年のときの3300万人から、78年後の2084年には倍の6600万人になることになる。
歴史
倍加時間という概念は、バビロニア数学において金の貸し借りに関する計算で現れる。紀元前2000年頃の粘土板に、「月に1/60の利率(複利なし)を与えたとき、倍加時間を求めよ」という演習が含まれている。この場合、年間の利率は12/60 = 20%であり、複利なしなので倍加時間は100/20で5年となる[1] [2]。この時代には、借りた額の2倍の額を一定期間後に返済するのが一般的な商慣習であった。紀元前1900年のアッシリアの一般的な金貸しは、2ミナの重さの金を借りて5年後に4ミナを返すというものだった[1]し、この時代のエジプトの諺に「富が利子のあるところに置かれれば、それは倍になって戻ってくる」というものがある[1][3]。
説明
単に成長率のパーセンテージを見るよりも、倍加時間を見る方が、長期的な成長の影響をより直感的に理解することができる。
単位時間あたりの成長率がr%の固定値であるとき、倍加時間Tdは以下の式で求められる。
- ^ a b c Why the “Miracle of Compound Interest” leads to Financial Crises, by Michael Hudson
- ^ Have we caught your interest? by John H. Webb
- ^ Miriam Lichtheim, Ancient Egyptian Literature, II:135.
- ^ 小西正朗; 堀内淳一 (2015), “細胞の増殖を捉える:計測法から比速度算出まで(続・生物工学基礎講座―バイオよもやま話―)”, 生物工学会誌 93 (3): 149–152, ISSN 0919-3758
- ^ “Life Technologies”. 2016年11月21日閲覧。
- ^ Human cardiac stem cells .
- 1 倍加時間とは
- 2 倍加時間の概要
- 3 細胞培養の倍加時間
- 4 関連項目