交響曲第31番 (ハイドン) 交響曲第31番 (ハイドン)の概要

交響曲第31番 (ハイドン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/11 05:34 UTC 版)

概要

第28番から本作までの4曲は、残された自筆原稿から1765年に作曲されたことが判明している[1]。作曲当時、ハイドンはエステルハージ家の副楽長だったが、エステルハージ家に4人のホルン奏者がいた時期は特定されていて、1763年8月から12月と、1765年5月から1766年2月である[2][3]。4本のホルンを使った交響曲にはこの曲のほかに第13番第39番第72番があり、ほかに『7声のディヴェルティメント(カッサシオン)ニ長調』(Hob. II:D22)も4本のホルンを使用するが、いずれもこの時期に書かれたと考えられている(ただし第39番については議論あり)。この中では本作がホルンをもっとも効果的に使っている。なお第72番は第2楽章で独奏楽器が活躍し、最終楽章がさまざまな楽器の活躍する変奏曲になっているなど、本曲との共通点が多い。

一般に使われる『ホルン信号』という愛称は後世のものだが、すべての楽章でホルンが活躍するこの曲の特徴をよく表している。愛称にはほかにも『狩場にて』(auf dem Anstand)や『ニュルンベルクの郵便ホルン』などがある。ただし軍楽信号と郵便ホルンの音は使われているが、狩のホルンの旋律は使われていない[3][4]

第2楽章と第4楽章ではホルン以外にも独奏楽器が協奏曲的に活躍する。特に第4楽章ではコントラバスにも独奏を与えている。

長らく、ハイドンの交響曲は後期のもの以外無視されてきたが、本作は初期の交響曲の中で例外的によく知られる。しばしばハイドンの作品を取り上げたことで知られるイタリア指揮者アルトゥーロ・トスカニーニは、1931年以来3回この曲を指揮し、1938年の演奏の録音が残っている[5]

楽器編成

フルート1、オーボエ2、ホルン4、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、低音(チェロファゴットコントラバス)。

ホルンは4本ともD管を使用する。ただし第2楽章では2本がD管、2本がG管を使用する。


  1. ^ 大宮真琴 『新版 ハイドン』音楽之友社〈大作曲家 人と作品〉、1981年、表4頁。ISBN 4276220025 
  2. ^ 大宮(1981) p.71
  3. ^ a b デッカ・レコードのホグウッドによるハイドン交響曲全集第4巻、ウェブスターによる解説、1990年
  4. ^ 大宮(1981) p.175
  5. ^ Sonimex の CD「Toscanini dirige Haydn: Symphonies 31 (Horncall) + 98」CR 1842 の Harvey Sachs による解説、1983年


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