上には上がある
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/23 08:19 UTC 版)
上には上がある | |
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Puss Gets the Boot | |
監督 |
ジョセフ・バーベラ ウィリアム・ハンナ |
製作 |
ルドルフ・アイジング フレッド・クインビー(初公開版にはクレジット無し) |
出演者 | リリアン・ランドルフ |
音楽 | スコット・ブラッドリー |
配給 | メトロ・ゴールドウィン・メイヤー |
公開 | 1940年2月10日 |
上映時間 | 約9分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
次作 | 夜中のつまみ食い |
概要
現在では「トムとジェリー」シリーズの第1作と扱われているが、プロトタイプであったため、初公開時点では名前がそれぞれ「ジャスパー」「ジンクス」と名付けられていた(日本語版では「トム」と「ジェリー」に統一)。監督のジョセフ・バーベラは後年、本作について「シリーズ第1作ではないが、その直系の先祖にあたる作品であった」と述べている[2]。
監督を担当していたハンナ=バーベラをはじめとする多くの制作陣の名前はクレジットされていない。また、1940年代前半に製作された本シリーズ中、再公開が無かった珍しい作品である。冒頭は「A Rudolf Ising Production」とだけ書かれたカードと「Puss Gets the Boot」と書かれたタイトルカードのみ、エンドカードも1枚のみ。オープニング・エンディングの背景色は濃い紫色で、実写映画と同様にMGMの社章が入っている。
2022年、本作の劇場初公開日である2月10日が「トムとジェリーの誕生日」として、記念日に制定された[3]。
あらすじ
とある広い屋敷でペットとして飼われているネコのトムと屋敷に住み着いているネズミのジェリーの物語。
トムは本来餌であるジェリーを食べようとせず、遊び道具としてからかっていた。わざと逃がしてはすぐ捕まえたり、インクで偽の巣穴を描いて騙したりとジェリーに対し圧倒的優位に立つトム。しかしジェリーに左目を思いきり突かれたために隙を許してしまう。怒ったトムはジェリーを追いかけるも、うっかりして植木鉢を落として割ってしまい、植木鉢を乗せた台も壊してしまった。
その音を聞いて駆け付けたのは、トムの飼い主・お手伝いさん。カンカンに怒ったお手伝いさんは「今度何か壊したら、お前を家から追い出すから!」と警告した。追い出されては堪らないと恐れたトムはこれ以上物を壊さないよう注意を払う。しかし、そんなトムの弱みにつけ込んだジェリーが早速彼を挑発。ワイングラスを床へ落とそうとする作戦に出る。グラスを落とされては安易に太刀打ちできず、トムは逆にジェリーに一方的に殴られてしまう。さらにジェリーはトムが離れた隙に本当にグラスを放り投げてしまい、それを見たトムは慌ててグラスをキャッチ。さらにジェリーはトムへ続けざまにグラスやトレイなどを落とし続け散々トムを翻弄する。
ジェリーに形勢を逆転され悔しがるトムだが、床にソファのクッションを並べることでジェリーにグラスを落とされても割れない対策を講じる。勝ち目がなくなったジェリーは命乞いをするが既に手遅れ。ついにトムは本気でジェリーを食べようとするが、ジェリーはトムに高く放り投げられた際に天井近くの棚に飾られた皿をトムの頭上に次々と落としていく。皿に次ぐ皿、カップ、ポットなどを曲芸のように重ねてキャッチしていくトムの姿を面白がったジェリーは、うず高く積まれた「割れ物タワー」をトムが壁際で支えている隙に最後の一枚を遠方の床へ放り投げる。トムは飛んでいく皿をただ目で追うしかできなかった。
皿の割れる音を聞いてお手伝いさんが2階からいよいよトムを追い出しに下りてくる。その間にもジェリーはトムのミルクで泳いだりトムの尻尾で体を拭いたりとやりたい放題。そしてお手伝いさんの足音が近くなったところで、最後にジェリーはトムの尻を勢い良く一蹴り。その衝撃でトムが支えていた食器の山はついに崩壊。
予告通り家から追放されてしまったトムを悠々と見送るジェリー。今度は本物の「Home Sweet Home(楽しい我が家)」へ帰って行くのだった。
登場キャラクター
- トム(ジャスパー)
- 冒頭ではジェリーに対し優勢だったが、家の備品を壊したところを飼い主に見つかり「もし家の物を壊したら追い出す」と通告されたため慎重に行動する。その後もジェリーと一進一退の攻防を繰り広げるが、ジェリーの策略に嵌り家中の食器を割ってしまい万事休す。これに激怒した飼い主に追い出されてしまう。
- 以降のトムと比べると子ネコの体形に近く、豊かな表情や可愛らしさもなく悪意に満ちた表情をすることが多い。バーベラは後年「にやっと笑うチェシャ猫のようでもあった」と語っている[2]。
- ジェリー(ジンクス)
- 物語の序盤はトムのなすがままとなっていたが、その後はトムの攻撃に屈せずピンチをチャンスに変えて反撃。お手伝いさんにトムを追い出させ勝利する。
- 以降のジェリーと比べると痩せており、より本物のネズミに近いデザインである[2]。
- お手伝いさん
- ジェリーを捕まえられず家の備品を壊してばかりいるトムに「もし次に物を壊したら家から追い出す」と通告。ジェリーの作戦でトムが食器類を割ったのを見つけ、言った通りトムを外へ追い出した。
キャスト
キャラクター | 原語版声優 | TBS吹替版 | 現吹替版 |
---|---|---|---|
トム (ジャスパー) |
ハリー・ラング | 八代駿 | 肝付兼太 |
ジェリー (ジンクス) |
ウィリアム・ハンナ | 藤田淑子 | 堀絢子 |
お手伝いさん | リリアン・ランドルフ | 荘司美代子 | 片岡富枝 |
ナレーション | N/A | 谷幹一 | N/A |
- ^ a b Sennett, Ted (1989). The Art of Hanna-Barbera: Fifty Years of Creativity. Studio. pp. 14–17. ISBN 978-0670829781 2020年6月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g h Barbera, Joseph (1994). My Life in "Toons": From Flatbush to Bedrock in Under a Century. Turner Publishing. ISBN 978-1-57036-042-8
- ^ “トムジェリ史上初の記念日制定!2月10日は"トムとジェリーのお誕生日"!タリーズコラボ第3弾決定!”. 【ワーナー公式】ニュース. ワーナー・ブラザース (2022年2月2日). 2023年1月24日閲覧。
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